【投稿】混乱の中で、生まれた自治労新綱領「21世紀宣言」

【投稿】混乱の中で、生まれた自治労新綱領「21世紀宣言」

<本部提案、3分の2に達せず否決>
 自治労は、9月28日、東京厚生年金会館において第74回定期大会の続開大会を開催した。この続開大会においては、焦点となっていた「21世紀宣言」新綱領が採択されたが、実は新綱領は、8月の定期大会(横浜大会)では否決されている。その顛末について報告する。
 自治労は、この間、新綱領を組合員討議にかけていたが、一昨年の自治労不祥事の中で討議期間を1年間延長し、今年の8月定期大会での採択をめざした。綱領自体は、私の目から見てもあまり出来栄えの良いものではない。とくに「労使の協働で有効な政府をつくる」というくだりは、主流派の中でも「地方政府(自治体)ならまだしも中央政府を労使で作るとは、どういうことか?」との反発を生んだ。
 一方社民党系13県本部は、岩手県本部(社民党系)出身の竹花副委員長が新綱領の提案責任者であるにもかかわらず、横浜大会の場で新綱領そのものが「労使協調である」「わかりづらい」等の不満含んでの発言を行なう場面もあった。8月の横浜大会では、人事上の不満【君島書記長(長野県本部・社民党系)が副委員長へ、竹花副委員長が自治労共済へ】という処遇への反発もあり、13県本部側が、底流において不信任票へと回った。結果として主流派県本部内反対票もあり、8月大会では賛成票が3分の2にわずかに足りず、否決となった。
 この事態は、自治労各県本部にとって衝撃的なことであった。本部側は、この事態を受け8月大会最終日、緊急の「県本部代表者会議」を開催、「このままでは役員選挙で不信任が出る」「自治労を第二の国労にするのか」等の声が続出し、8月大会を休会とし、9月末続開大会を開催し、役員選挙もそれまで凍結することとなった。

<9月28日続開大会新綱領可決>
 続開大会にあたっては、「自治労の団結のもとに新綱領可決」を方針に主流派、反主流派ともに、全国的な働きかけを強め、続開大会に臨んだ。結果としては、新綱領は、投票総数1000票のうち賛成票748票(3分の2以上)で可決された。しかしながら、反対票238票、無効,白票14票と4分の1の反対票が投じられた。このことの総括は今後必要である。
 いずれにしても、この1ヶ月の混乱に終止符が打たれたわけである。
 裏話をしてしまえば、実は、単組連合体である自治労にとって綱領は、さほど意味を持たない。簡単にいってしまえば盲腸のようなものである。県本部級の役員ですら、旧綱領(階級闘争主義)を、ほとんどが読んでないのではないか。
 今回の混乱と収束は、綱領をめぐる基本路線の争いというよりも、この間の主流派(民主系)と反主流派(社民系)の拮抗や、人事問題を背景にし、ある程度の批判票をと思った反主流派が、幹部の思惑を超え3分の1の批判票を組織したというのが本当のところであろう。
 いま、自治労は、市町村合併や、長期不況のもとでの地方財政危機と賃金改悪、現業・保育等の合理化とのたたかいが急務となっており、戦列の強化と全国的な闘いが求められている。(S・I)

 【出典】 アサート No.311 2003年10月25日

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