青年の旗 1986年2月1日 第108号
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【主張】 ソ連三段階核廃絶提案支持!国際平和年を宇宙軍拡阻止の年に
<国際平和年を成功させよう>
本年一九八六年は「国際平和年」である。昨年十月二十四日、第四十回国連総会は、五十二ケ国の共同提案による「国際平和年」の決議を採択するとともに「国際平和年宣言」を承認した、「宣言」は「平和と国際安全保障の促進には、戦争の防止、核の脅威を含む平和への脅威の除去、軍縮、平和目的への宇宙の確保」等の諸国人民の積極的行動の必要性を強調すると同時に、「たんなる祝典あるいは記念行事ではなく、行動する」ことを訴えた。この呼びかけに基づき、本年一月二十日からNGOが主催する「平和のために力を合せて」とする会議がジュネーブで開かれ、さらに十月十五日から十九日まで、コペンハーゲンに於いて世界平和評議会(WPC)の呼びかけによって「国際平和年のための世界大会」の開催が決定されている。国内に於いても平和団体や非核都市宣言を行った自治体からの強い要請の中で、二月初旬には、外務省内に「国連加盟三十周年、国際平和年連絡事務局」が発足される。更に国連大学では国連事務総長の要請によって、十月の国連軍縮行動週間に世界各国の平和運動家・学者文化人を集め、大阪で「平和に生きる世界づくり」世界会議の開催を決定し、これを受けて大阪府でも府主催の「世界平和を考える大阪会議」を開催する。又、千葉県なども行事を計画している。こうした各自治体の取り組みは、第二回国連軍縮特別総会に向けて展開された一千万人署名運動の成果が、草の根の声として引き継がれていることを示している。しかし、大切なことは、こうした取り組みを単なるキャンペーンに終わらせることなく、中曽根自民党内閣の軍拡政策を転換させるカヘと発展させていくことであり、八十八年に予定されている第三回国連軍縮特別総会を、米帝国主義を中心とする戦争勢力を最も幅の広い統一戦線で包囲していく結集軸にしていかなければならない。
<対ソ包囲を強める日米安保協議>
一月十五日、第十六回日米安保事務レベル協議がハワイで一年半ぶりに行われた。三日間に渡って行われたこの会議では、シーレーン構想の中でも重要な位置を占める超地平線(OTH)レーダーの設置間題が中心課題となった。OTHレーダーは、普通のレーダーの監視距離が約四百キロ程度なのに対し、三千から四千キロ先まで監視できるものであり、米国はグァム島とアリューシャン列島に設置することを明らかにしてる。日本が設置を計画している場所は南西諸島とされており、この三つのレーダー基地によって、オホーツク海、サハリン、ウラジオストク、朝鮮半島ベトナムのカムラン湾などが監視範囲となり、極東に於ける対ソ監視体制を強化することになるのである。更に会議では極東情勢も論議されているが、この中では、日本の中期防衛力整備計画と来年度防衛予算が高く評価されると同時に、「ソ連軍の地域的規模での軍事力増強」が強調され、ソ米首脳会談、ソ連外相の来日などによるデタント・軍縮への流れに対してまでも危機感が叫ばれていた。日米とも軍拡のためには極東太平洋に於ける「緊張」が常に必要不可欠のものであり、日本はレーガンの世界戦略の重要な一翼を担っていることが強調されたのである。
<SDI阻止へ平和勢力の統一した力を>
一月十六日、ソ連邦ゴルバチョフ書記長から発表された核兵器全廃に向けた提案は、平和を擁護し核軍縮の推進者が誰であるかを全世界に明らかにした。核軍縮のステップを三段階に分け、第一段階では米ソの核を五〇%削減、第二段階で他の核保有団も含め凍結宣言、第三段階で一九九九年までに全廃とする提案は昨年十一月のソ米首脳会談の成果を引き継ぎ、具体的に進めていくものとしてあり、全世界の平和勢力のみならず、帝国主義者ですら「歓迎」と表明せぎるを得ないものである。更にこの提案と同時に、八五年八月六日から同年十二月三十一日までの期眼付きで行ってきた、全ての核実験の一方的凍結措置の三ケ月間延長を明らかにし、現実の行動でレーガンを初めとする帝国主義者を追いつめている。こうしたソ連の提案及び具体的行動は、ますますSDl計画の危険性、犯罪性を明らかにしてきている中で、レーガンはSDlに固執し、米帝国主義の逃げ道をつくり出そうとしている。しかしそれは先のない行止まりの道であることを、全世界の平和勢力の力で明らかにしていかなければならない。「国際平和年」を真に実りのある年とし、デタントと平和のイニシアチブを取り戻す武器を平和勢力は確実に我が手にしている。日本に於ける闘いは、SDIへの協力、極東アジアに於けるレーガンの対ソ核戦略の補完部隊となっている中曽根の軍拡政策との対決を抜きにはあり得ない。全ての民主勢力の力を統一し、中曽根軍拡と対決しよう。