青年の旗 1986年1月1日 第107号

青年の旗 1986年1月1日 第107号
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【主張】 年頭にあたって
       軍拡・行革・増税の中曽根内閣に大衆闘争で反撃を強化しよう!

一九八六年の年頭にあたり、労働青年同盟(準)は、十年間の闘いと、その教訓を踏まえ労働運動、平和のための闘争、全ゆる民主主義闘争の最先頭で闘う決意を新たにするものである。

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一九八〇年代前半は、レーガン・サッチャー・中曽根の登場に象徴されるように、三大反帝平和勢力の、たゆみない努力によって闘い取った、デタントの流れに対する猛然たる巻き返しの時代であった。「新国家主義」「新保守主義」を標ぼうし、国独資の危機を救うために打ち出した彼らの政策は、かつてのように公共投資などの社会的支出を増大させ、需要を換起し、「福祉国家」たらんとする中で、軍事費を膨張させてきたものから、全ての妥協を切り捨て、国民所得の再分配分を、独占資本と軍事費の増大へと、より有利に大きく変えるとともに、労働者階級の権利を徹底的に破壊することを使命とすることへと変えてきている。そのもたらすものは、失業の増大という基礎の上で、合理化の徹底した推進、経済効率の悪い企業の切り捨て、独占と一部富者への更なる富の集中、社会的支出の切り捨てといった形で現れ、それは全て軍事費へと注がれていくのである。そしてその為に労働運動に対する攻撃にとどまらず、平和運動を始め、全ゆる民主的運動に対する弾圧を必至としている。
しかし、こうした国独資の危機乗り切り策は必然的に、政治的不安定性を深化させていかぎるを得なくなり、各国に於ける労働者階級の闘い、平和を求める聞いの可燃物は増々生起してくるのである。一九八五年は、こうした力が国際的に発揮された年でもあった。昨年十一月、六年ぶりに開催されたソ米首脳会談は、核戦争の危機を未然に防ぎ、再びデタントを国際関係の基調へと押し戻すうえで重大な要因を持つものであった。会談は共同声明として「核戦争を絶対に起こしてはならない」「この戦争で勝利はあり得ない」ことを確認した。「強いアメリカの復権」を掲げ、ソ連邦を「悪の帝国」とするレーガンをしてこの共同声明に調印させた力は、何よりも第一に、ソ連による相次ぐ軍縮提案と、それを支持する全世界平和勢力の大衆的力の形成であった。第二に、ドル高政策によって疲幣した米国経済の中で、国防費が突出し、これ以上軍需への資本投下は、米国経済そのものを破綻へと落とし込んでしまうといった、レーガノミクスの破綻である。第三に、西欧州に於ける中距離ミサイル配備や、レーガノミクスに対する同盟内での分岐であった。
大陸間弾道弾ミサイル・トライデント型原潜・B1爆撃機など、全ゆるレベルでの核軍拡を進めるSDIを阻止することが、反帝平和勢力の闘うべき重要な課題であり、この中でオランダ政府は、NATO決定に基づく米製新型核ミサイル配備を決定したが、国内の平和運動の高まりの中で、同時にF16の核投下装置など、二つの核戦略任務の放棄を発表した。スペインでは、NATO脱退をめざす国民投票に向けた闘いが拡大しており、ニュージーランドでも、核積載艦・原潜寄港阻止の反核法案が閣議決定され、今夏成立に向け闘いが進められている。今、全世界の平和勢力に求められていることは、ソ米首脳会談での共同声明を誠実に実行させ、SDI阻止に向けた闘いを前進させることである。

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中曽根自民党内閣が誕生してから三年間が経過した。「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根のもと、この三年間で進められたのは、勤労人民への収奪、政治的・思想的支配の強化、これと対極をなす独占資本への全ゆる形の援助、そして軍拡であった。このことは十二月二十八日決定した八六年度予算案に、はっきりと現われている。防衛費は、大蔵原案の五二%増から復活折衝の中で、公共事業以外に用意された八〇〇億円の調整金の半分以上を投入し、今年度比二〇六四億円、六・五八%へと増加した。給与ペア分を含めると実質的伸び率は、七・〇四%となり前年度の六・九%を上回った。一般歳出に占める割合も一〇.三%と、一九六五年度以来二十一年ぶりに10%を突破した。中曽根は過去四回の予算編成で、一般歳出を計三六〇億円減らしたが、防衛費は七五〇〇億円以上も増加させている。
一方社会保障費は、九兆八三四六億円で、前年度比二・七%増にとどまった。これは五年連続三%以下の伸び率であり、この実態は老人入院者の負担分一日三〇〇円から五〇〇円への引き上げ、社会福祉施設の運営補助を七割から五割へ、児童扶養手当給付負担を八割から七割へと引き下げたものである。
厚生年金・共済年金改悪、国家支配強化を狙う地方行革、電々・タバコに続く国鉄への分割民営化攻撃、臨教審による教育の国家統制、八七年度大型間接税導入を目論む税制改悪策動、スパイ防止法案、GNP一%突破を前提とした新防衛計画の政府計画への格上げなど、政府独占の軍拡・行革攻撃は益々激しさを増している。
中曽根のこの矢継早やの攻撃にもかかわらず、日本資本主義の危機は一切解決せず、逆に深まりつつある。国家財政の赤字はより深刻になっており、釆年度国債発行額は二兆円にもなり、残高は今年度末で一三〇兆円に
も達している。
出口のない危機の中で進められる「戦後政治の総決算」の一方で、これら政府の反人民的政策により「中流」意識なるものは、急速に薄れつつあり、労働者の不満は、加速度的に蓄積してきている。こうした中で中曽根は、十二月二十八日、内閣の改造人事を行ったが、官房長官に後藤田を再起用し、外務・大蔵・防衛庁長官に安部・竹下・加藤を留任させるなど、中曽根第二次内閣の性格は全く変わっていない。特に運輸大臣に、国鉄分割民営化の急先鋒である三塚を配置させ、その執念を表わしている。再開国会以降、政府独占と反独占勢力の対決環は、来年度予算編成、とりわけ軍事費の拡大を阻止し、民生予算への振り替え、国鉄分割民営化攻撃へと集中されていく。この課題に対し八六春闘を闘う全ての労働者を中心とした反独占勢力の力で闘い抜き、中曽根内閣を打倒することが今要請されている。

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八六春闘に向けて「賃闘連絡会議」「国民春闘共闘合議」が既に発足され活動を展開している。「春闘共闘」は産別自決態勢を基本に地域春闘と官民一体の闘争を追求するとの、「基本構想を確認し」「自粛した要求を捨て、自らの労働にふさわしい賃金を要求しよう」と打ち上げた。一方、日経連会長大槻は、JCがベースアップについて、統一要求基準を「七%又は、一四〇〇〇円以上」としたことに反論し、「景気が下り坂に向かい、来年度の実質経済成長が三%と予想される中で、七%というのは、非常識極まりない」とし「生産性基準原理」による賃金抑圧への強い姿勢を示している。
こうした中で闘われる八六春闘は、第一に行革-収奪攻撃と対決し、国鉄分割民営化粉砕へ向けた闘いとして、第二に、1%突破阻止、軍拡と対決し、平和と軍縮を克ち取る闘いとして、第三に、総評を中軸とし、全民労協の運動を、闘う労戦統一・全的統一へと発展させ、新たな展望を切り拓く闘いとしてある。予算国会を包囲し、八六春闘勝利へ全力で闘い抜かなければならない。
一九八六年を政府独占は、「天皇在位六〇周年」、東京サミット、参院選を通じ、更に反動とファシズムの時代へと落とし込もうとしている。これと対決する闘いは、社会主義世界体制を先頭とする三大革命勢力の闘いと連帯し、平和・軍縮・社会進歩を掲げ、レーガン戦略と連動する「戦後政治の総決算」と対決し、労働運動を基軸とした反独占統一戦線の力で、予算国会を包囲し、八六春闘勝利から軍拡・行革-生活・権利破壊の中曽根内閣打倒へと前進させなければならない。
労働青年同盟(準)は、かかる闘いの最先頭で全ての青年労働者とともに反独占勢力の一翼として闘う決意である。

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