青年の旗 1989年1月1日 第142号
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【年頭にあたって】
<平和共存の流れを確固たるものに!>
今日、世界は冷戦対立の時代から緊張緩和・平和共存の時代へと明確に流れている。INF条約の批准から十二月国連総会におけるゴルバチョフソ連書記長の通常兵力五〇万人一方的削減は、世界の平和勢力・人民から圧倒的支持をもって迎えられた。ソ連ゴルバチョフ政権の世界平和政策は、核戦争ー人類破滅の危機から救い、世界の安定平和へ大きな貢献を果たしている。我々もまた、これに呼応し、より積極的な世界平和勢力と連帯した闘いの展開が求められている。特に双子の赤字に悩むアメリカ・レーガン政権は、表面上、ソ連の五〇万人通常兵力削減に歓迎の意を表明しつつも、自からの軍事力削減には、何ら積極的な対応を示さず、一方では日本政府・自民党においても軍事費の一%枠突破等に見られる軍事力の増強、更には、「日米安全保障体制」の強化が図られようとしており、一層、帝国主義に対して軍縮政策への転換を余儀なくさせる闘いが、国際的にも国内的にも求められてきている。
<新たな平和運動の展開を!>
日本における平和運動の情況は、八六年原水禁世界大会の分裂開催以降の分裂の固定化、また本年総評解散-原水禁国民会議、護憲連合の組織的弱体化が迫られている中で、広範な平和運動を担う人々、団体が結集する統一的組織が失われている。しかしながら、それにもかかわらず以前によりもまして、三宅島、逗子、日置川等の住民主導型の反基地、反原発闘争や市民レベルでの平和集会・イベントの取り組み等、草の根的平和運動は一層、広がりを見せ、平和を求める大衆的エネルギーは、より大きなものとなっている。
今日の平和運動で求められていることは、市民・大衆自から積極的に担う地域平和運動を、より広範に巻き起こし、これまで幾度となく繰り返してきたセクト的引き回しを排除しながらも、更に個々の平和運動を結合する平和ネットワークを創り上げていくことが、新たな平和運動の統一を進めていく上で、極めて重要であろう。現に本年九月、大阪において総評センターの大阪版である「平和・人権センター」が結成されるなど、具体的な提起がなされる情況にあり、我々は、こうした動きに敏感に呼応し、大衆的平和運動の貢献と地域平和センターの創設・連帯に向け、一層、奮闘していかなければならない。
<竹下政権の反国民的政治路線糾弾!竹下内閣打倒に向
け大衆的反撃を!>
自民党竹下内閣は、六月二八日、消費税導入閣議決定以降、圧倒的反対世論を無視し強行した。この消費税は、八七年中曽根内閣時代において、国民的な反対闘争の前に廃案に追い込まれた「売上税」を、インボイス方式から帳簿方式に改めるなど一定、中小業者に受け入れ安いものにし、「長期安定大衆収奪」をネライとして、とにかく「消費税」なるものを導入することを至上命題に、なりふり構わず、強行したのである。
この消費税に対する反対世論の大きさは、商業新聞による世論調査やリクルート疑惑とも併せて竹下内閣の支持率の大幅な低下を見ても明らかである。にもかかわらず、この消費税-税制改革法案が、再び廃案に葬ることのできなかった最大の理由は、政府・自民党の院内におけるリクルート疑惑を逆利用した野党分断、そして院外における「消費税反対」という一点で一致する国民的な統一行動・共闘の輪が、形成されなかったところにある。しかしながら衆参両院における自民党の強行採決もあって、強行決定以降、国民の竹下内閣への不満・怒りは、一層、増幅されつつあり、我々は、今からでも、その不満エネルギーを結集し、竹下内閣打倒、消費税の実行阻止に向け奮起しなければならない。
またリクルート疑惑について言えば、政・官・財界に広がる汚染の情況は、圧倒的大多数の国民に政治に対する不信・不満を募らせている。しかしながら我々は、このリクルート疑惑を単なる「政治家不信」に終わらせるのではなく、疑惑の最大の中心である中曽根前首相が、民間活力導入を推進し、また文部官僚・労働官僚が、これによって反国民的・反労働者的行政施策を押し進めていったことからして、このリクルート疑惑が、実は権力構造汚職であり、「疑惑」の本質が、国家行政が、政界と財界との癒着関係、独占資本の利益擁護にあることを大衆的に暴露していかなければならない。
更に異常なまでの天皇報道、自粛ムードについて言うならば、消費税反対闘争においても直接、間接の悪影響をもたらしたことからしても常に天皇イデオロギーが、最大限、支配の道具として動員されていることに改めて認識するものである。特に、この間の天皇報道・自粛ムードは、天皇批判のみならず、体制批判、権力批判自体も圧殺する風潮にあり、本島長崎市長の天皇戦争責任発言に対する右翼の暴力的圧力など、言論の自由自体をも脅かし、一層、政治反動の素地が創られる重大な問題であることを指摘しなければならない。
我々は、こうした天皇制イデオロギーの吹聴と国民の自由と権利を脅かす動きには、毅然とした態度・行動で臨むとともに、今まで我々が担ってきた反差別・人権擁護民主主義諸闘争を対置して一層奮闘するものである。
<労働戦線の全的統一と更なる労働運動の発展のために!>
現局面における労戦統一を巡る基本的課題は、「全的統一」の名にふさわしく、いかに官民統一を促進するか、また連合が、八九春闘を前に賃上げ・時短・政策制度闘争を三本柱に総合生活改善闘争に取り組むことを表明しているが、旧同盟系から総評系民間単産まで巾広く結集する連合において、いかに政府・独占に迫る闘いを展開するかにあろう。
特に官民統一について言えば、戦後の総評労働運動の、とりわけ反戦・平和民主主義閉争の中心的部隊であった自治労・日教組が、連合に結集する中で、その産別的特性を生かし、従来からの闘いを継承・発展しうるかが問われており、そのことが連合の質的発展を遂げるためにも極めて重要である。しかしながら現実の官民統一の動きは、日共-統一労組懇が、こうした全的統一に背を向けて、反連合「階級的ナショナルセンター」の結成に向けて少なからぬ単産・単組で組織分裂・混乱を引き起こしており、我々は、こうした分裂「階級的ナショナルセンター」の創設が、結果として労働者全般の統一と団結を乱し、労働者階級総体の力量低下を招くものとして断固として批判しなければならない。
一方、同時に全的統一が達成された連合を展望して、旧同盟系を中心としてある労使協調的・労務管理的労働組合活動を克服して、いかに労働者的国民的統一要求を掲げて反自民・反独占闘争を展開していくか、また平和・人権・民主主義擁護の闘いを組み込んでいくか、八九春闘をその前段として、少なくとも活動者レベルで具体的論議を始める時期にきているといえよう。
八九年は、労戦統一をはじめとして九〇年代労働運動を展望する節目の年である。それだけに目まぐるしく変化する労働運動現場において、我々及び我々を取り巻く民主的・進歩的労働者が、職場・地域に根ざした闘いを基礎に、新たな労働運動発展のために、より積極的な役割を果たし、労働者・組合員の先頭に立って闘う決意を固めようではないか。
<労青全国協結成を基盤に一層、組織の飛躍的発展を勝ち取ろう!>
昨年八月二〇日、労働青年同盟は、それまでの準備会に終止符を打ち、新たに全国協議会を発足し正式結成した。そして三回の全国協議会を開催し、今後の全国組織としての運動の形成とその組織確立について議論を行った。八九年は、それをいよいよ具体的実践でもって展開していかなければならない正念場の年といえよう。特に正式結成論議の中で出された全国的観点での基本的政策・方針の提起や各地方・戦線の活動・情報の交流・交換等々、その一つ一つを地味ながらも着実に成果を上げていかなければならない時にきている。そして、それは同盟員の全員参加と意見・見解の相違があっても同志的議論と大衆運動全体の利益を常に優先する行動の統一でもって達成されるものである。
全国協議会は、その組織的責任を十分に果たし、同盟員の先頭に立って奮闘するとともに、全同盟員の一層の奪起を期待するものです。