青年の旗 1989年7月1日 第147号

青年の旗 1989年7月1日 第147号
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【主張】 自民党政治を転換させる反独占の統一闘争を!

消費税の存続、撤廃を最大の争点として東京都議会議員選挙、参議員選挙が闘かわれている。これらの選挙は二十世紀最後の、これからの十年間の日本の政治動向を大きく規定する一歩となるであろう。日本の支配階級によるこの国のこれまでの政治支配構造が大きく変動せざるを得ないということが誰の目にも明らかになった中でこれらの選挙戦は闘われているのである。

<高まる自民党政治への不満>
参議院福岡補欠選挙を皮切りとした今春からの一連の選挙結果が示していることは、自民党が一党で政権を握り続けることに対する民衆の不同意である。政府自民党の農業政策、新たなる収奪強化・増税策たる消費税導人、これら日本資本主義が直面する危機への支配階級の対応策に露骨なまでに示されている人民への犠牲転嫁、そしてリクルート疑獄に示された政・財・官の癒着構造・独占資本のためにのみこの国の政治を動かす構造ができあがっているということの事実、これらを契機として自民党一党による政治支配構造が大さく揺すられている。リクルート疑獄の舞台となった「民営化・規制緩和・市場自由化・国際化」という80年代自民党政治によって、農業の切り捨て、中央と地方の格差拡大、急激な経済の国際化・自由化による地方・中小企業への打撃など、これまでの自民党の政治支配構造が急激に掘り崩されたのである。自民党首相経験者をして「保守二大政党制への移行」の必要性を主張させねばならない程の政界・政治戦線再編の時なのである。

<政治戦線再編をうながす国内外情勢の進展>
80年代に歴史上最大規模の債務国へと史上かつてなかった速度で転落し、帝国主義陣営内におけるその政治的・経済的影響力の後退を余儀なくされた米国、資本主義諸国間の経済摩擦・競争の激化、一方での92年EC市場統合、そしてソ連の新しい軍事・外交政策に牽引されて世界中で進む核軍縮・通常軍備縮小、緊張緩和と相互理解・対話の拡大。これら国際政治・経済の急激な展開の中で世界最大の債権国、世界のGNPの十三%を占める国となった日本の支配階級は、これら国際関係との調整のために今まで以上に日本の民衆・労働者階級に犠牲を押し付け、これまで彼らの政治支配を支えてきた構造を大きく変動させざるを得なくなっている。
一方、国内においては自民党はそもそも金融独占の政治的代理人でありながらその政治支配を貫徹するために、主に農村部を支持基盤としながら独占資本のための政治を行ってきたわけであるが、このやり方が農業人口が総就業人口の八・一%しかなくなった(85年)今日においてはもはや不可能になっていること。同時に四五〇〇万人を越え拡大し続ける労働者(特に第三次産業において急速に拡大し、二〇〇〇年には就業者の六割を越える見通し、これらの労働者の多くは東京をはじめとする都市近郊に居住している)が労働組合に充分組織されることなく、当然これら労働者の要求に応える政策がどこからも示されていない。これら産業構造の第三次産業型への急激な再編という国内の事情からも自民党のこれまでの政治支配が変動せぎるを得なくなっている。

<労働者の「体制内化」で政治支配・再編狙う支配階級>
支配階級はこれらの状況の中で新たなる政治支配体制の再編を狙っている。農民と都市労働者の間への分断持込み、消費税に対する不満を「税を受取りながら国へ納めなくても制度上許される」という免税業者の存在に向けさせるなどの中小自営業者と消費者(すなわち労働者)の間への分断持込みなど、いわゆる分断して統治するという工作が一貫して進められている。
そし彼らがが今後最も力を人れようとしているのが労働者を彼らの側に取り込むことであろう。今日の自民党の政治支配の危機は86年総選挙において「レフトウィング」をのばしたと豪言した政治支配の質、農村基盤から郁市型基盤への質の転換が貫徹され得ていないことの結果であろう。消費税、リクルート疑獄に対しても残念なことに組織された闘いが収り組まれていないこれら労働者に対して支配階級が民間大手資本と一体になって彼らの政治支配延命のための再編策、いわば「労働者の体制内化」ともいうべき策動が強められる危険性は大きい。

<消費税撤廃!労働者が闘いの中心に!>
消費税に対する反揆、その撤廃を求める声と行動は実施後三ケ月経た今日に致っても益々拡大しつつある。一昨年の売上税、本年の消費税、そして通常国会では継続論議となった年金制度改悪策動など日本の国家独占資本主義の危機が深まるにつれて、一握りの独占資本を擁護せんがためにそれ以外の全ての人々に蟻牲が押しつけられるという政治情況が鮮明になりつつある。反独占の立場の闘いとその統一の必要性が益々明白になりつつある。
しかし日本共産党は消費税反対などの闘いには全て分裂を持ち込み、選挙では社会党などの「批判」に、主要な力点を置くという議会主義・セクト主義を強める一方で、もはや自民党の一党政治支配に「左」の側から手を貸していると批判せねばならない状況にある。
今日反独占勢力の統一した闘いが益々必要となっている。農民・中小自営業者を中心とした自民党政治に対する不満・反撥は労働者が中心となった反独占の統一闘争として組織されることによってこそ日本の政治を変え得る力強い統一闘争へと前進・拡大するであろう。そしてこのような闘いに支えられてこそ議会において自民党一党の政権独占に終止符を打つ政治勢力が形成されるであろう。支配階級が、いわば「労働者の体制内化」ともいうべさ手法によってその政治支配構造の再編を画している今日、反独占統一の闘いの中心を担うべき労働者の闘いを組織することは極めて重要である。その意味において進行しつつある労働戦線再編において連合を闘いの場とし、統一の強化と労働運動・労働組合運動の大衆的・民主的前進のために闘うことが必要である。
都議選、参議院選を契機として消費税撤廃の声と行動は益々拡大しようとしている。この闘いの先頭に立って職場・地域で闘おう!

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