青年の旗 1977年3月15日 改題1号より
『青年同盟結成準備会アピール(第1次案)』(1975年10月12日)
以下に紹介するのは、一昨年10月12日、東京・大阪・名古屋をはじめ全国各地の代表の出席によって開かれた、労働青年同盟(仮称)結成準備会第一回総会において、第一次案として確認された「アピール(案)」の全文です。総会では、同時に、「行動綱領」(案)、「規約」(案)を確認しています。
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われわれは、ここに青年同盟の結成に向けて準備会への参加を、すへての闘う青年、組織、グループ、個人に呼びかけるものである。この青年同盟は、勤労青年のあらゆる切実な要求と闘いを基礎に、平和と平和共存、反独占民主主義のために闘い、社会主義への展望を切り開く反独占民主政権の樹立と、そのための強大な統一戦線形成の一翼をになう大衆的政治同盟、真に民主主義的な組織原則に貫かれた青年同盟である。
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1960年安保闘争前後より、日本共産党指導部の民族主義的セクト主義的誤り、日本民主青同盟内部の同様の誤りと偏向に抗して、その内外で、何よりも大衆闘争に依拠して、青年学生運動の統一と発展、平和と平和共存、反独占民主主義、統一戦線のために闘ってきた人々の努力は、さまぎまな形で結実し、受けつがれ、発展しつつある。
それは大衆的な学生の政治同盟としての民主主義学生同盟の結成という形で、青年学生運動における統一戦線の重要な構成部隊として登場し、幾度かの試練を経ながらも、その影響力を拡大してきたことに特徴的にあらわれている。
結成後10余年、民学同より輩出した多くの青年は、重要産業、中小企業、国、地方自治体、公共企業体あるいば地域、学園において、労働組合運動や部落解放運動をはじめとするあらゆる労働・民主・平和運動を発展させるために、何よりも大衆の利益に依拠して、まじめに、粘り強く闘い続けてきた。このような闘いを通じて彼らは、多くの闘う青年との結合、連帯を強め、また日本の共産主義運動の誤りの克服のために闘っている多くの人々との強力と連帯の努力を積み重ねてきている。結成十周年を迎えた一九七四年民学同第十三回大会決議は、それについて「諸先輩の結合された活動の力は、関西と関東の労働組合運動の内部で一定の持続した影響力を持つようになった。彼らによって組織される大阪労働講座、東京社会科学学講座は、マルクス・レーニン主義の立場に導かれ、プロレタリア国際主義と反独占民主主義、反帝反独占民主主義の統一戦線の旗を一貫して掲げている。いまや諸先輩の活動は、平和共存と反独占民主主義を旗じるしとする、民主集中的な組織規律をもつ組織活動に発展すべき時機を迎えようとしている」と、述べている。
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現在、資本主義世界を襲っている危機は、全面的なものであり、そこでは資本主義に固有な古い諸矛盾とともに、全般的危機の第三段階と呼ばれる時期のもとで発生してきた一連の新しい、特に激烈な性格をもった矛盾が互いに絡みあって展開し、この危機を資本主義の歴史上かってない深刻な性格のものとしている。
今や例外なく、戦後最大の経済恐慌に見舞われている帝国主義諸国では、産業操業度の著しい低下、失業の急速な増大、賃金の低下が一般的となっているだけでなくこの不況下にもインフレーンョンが高進し、勤労大衆の生活をさらにひどく破壊しつつある。その下で資本と労働の非和解的対立は一層先鋭化し、それとともに独占資本とそれ以外のすべての諸階級間の矛盾が激化している。
国際的には、通貨・エネルギー・資源・市場をめぐる帝国主義諸国間、及び帝国主義諸国と発展途上諸国間の闘争が新たな様相をおび、帝国主義体制内部の遠心力の作用を強めている。
そしてこれらの危機対策をめぐる支配階級内部の政策対立も鋭くなり、多くの諸国で政府危機と政治危機が進行している。資本主義の全般的危機の時代に特徴的なその寄生性と腐朽性は、資本主義社会の政治・経済・文化・社会のあらゆる分野に現われ、その危機的様相を一層深めている。同時にこの危機は、”新資本主義的、福祉国家論的、人民資本主義的”幻想を根底からゆるがし、社会主義の展望とそれに至る歴史的必然性をすべての人々の前に明らかなものとしつつある。
英雄的なべトナム、インドシナ人民の勝利は、帝国主義の支配を大幅かつ決定的に後退させ、彼らにとりかえしのつかない打撃を与えた。
帝国主義は、もはやその全般的危機の深化を、これまでのような冷戦、戦争挑発政策、軍事同盟政策をとることによって、社会主義諸国を孤立させ、新興独立諸国を抑圧し、反ソ・反共政策を煽り、労働者階級の分裂を深めることによっては回避することはできなくなった。帝国主義は、もはやこれまでのように行動できない、行動してもその範囲と形態はますますせばめられ、力強い反撃がそれを許さなくなってきている、という偉大な歴史的勢力の前進によって制約されている。
この歴史的過程の推進力となっているのは、ソ連を先頭とする社会主義世界体制、民族解放勢力、資本主義諸国の労働者階級-これら三大革命勢力の合流し、団結した力である。この力は、平和と平和共存、緊張緩和の政策を帝国主義に押しつけ、世界的規模での資本主義から社会主義への移行過程をはやめている。この意味で平和共存は、階級闘争の一形態である。
同時に、ソ連を「社会帝国主義」とよび、自ら国際反ソ戦線の第一線をひきうけるに至った毛主義者の存在はインドシナ完全解放によってアメリカ帝国主義の支配が大幅に後退・弱化した後のアジア情勢をきわめて複雑化し、そこでの平和共存と社会進歩の大きな前進気運にたいする最大の障害、最大の逆流としての役割を演じている。
戦後経済のの高成長によって、今日の帝国主義の三つのセンターの一つになりあがった日本帝国主義も、資本主義の全般的危機の深化の真只中にある。
未曽有の規模に達したインフレーションの高進、同時に表面化してきさ経済恐慌による生産の大幅な後退と失業の増大は、戦後の日本資本主義に特徴的であった持続的に高い成長の幻想をみじめに打ち砕いた。
独占貸本の一貫したインフレーション政策、そして”総需要抑制政策”という名の危機対応策は、労働者階級の政治的経済的闘争の抑圧をねらいとしている。政府と独占資本は一方的な所得政策を導入し、賃金闘争抑えつけ、勤労者の生活水準を絶対的にも窮乏化させ、失業の増大を計画的に進行させている。そして同時に、中小ブルジョアジーの零落と再編成、独占資本への集中、合併合理化をおし進め、農村経済を破壊し、社会的投資抑制の名の下に極度に切りつめることによって自己の階級的利益を守ろうとしている。現代資本主義の社会的政治的諸矛盾は一層激化している。日本の国家独占資本主義体制を自己の階級的利害のために動かしている独占資本と他の一切の諸階級の間の予盾として、独占貸本を孤立化させ、追いつめる反独占闘争のかつてない社会的基盤が拡大している。
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内外の客観情勢は、自民党の政治独占をを打破し、重要産業独占体および全金融機関を国有化し、反独占政策を断行し、外交政策を平和共存政策に全面的に転換させるような反独占革新統一戦線政府の樹立を必至のものとしている。
このように反独占闘争の客観的条件が、一層拡大し成熟しつつあるにもかかわらず、日本における反独占政治勢力の現状は、大きく立ち遅れている。
反独占政治勢力の中で、中心的役割を果すべき日本共産党および日本社会党は、政府・独占資本の利害にもとづいて出された危機対応策としての″総需要抑制政策″とまともに対決できず、勤労人民への犠牲転嫁をはねかえし、日本版所得政策と対決する労働運動、大衆闘争の前進と統一のために努力を傾注しようとはせず、議会主義的闘争目的にすべてを従属させ、党派問のセクト主義的抗争に終始している。
とりわけ日本共産党現指導部は、北方領土返還要求にみられるような小ブルジョア的民族主義路線を掲げて、ソ連を先頭とする社会主義世界体制、国際共産主義運動・世界平和勢力との統一と連帯、プロレタリア国際主義にまったく背を向ける存在となっている。最近においては民社党と軌を一にした教師聖職論、公務員公僕論、スト否定論等をもち出すことによって、また差別と貧困に苦しむ未解放部落住民への敵対と憎悪を煽動することによって、小ブルジョア的俗論の支持をあてこんで、選挙闘争における集票活動にすべてをかけるという議会主義とセクト主義の誤りを一層深めている。その結果、労働組合をはじめ反独占勢力の中に敵対と分裂を持ち込み、反動勢力を狂喜させている。しかし、この誤りは、日本共産党現指導部に対する、労働者階級をはじめとする広範な反独占勢力の大衆的批判を巻き起さないではおかず、最近の選挙における太平洋ベルト地帯での共産党支持率の停滞ないし影響力の低下はそのことを如実に物語っている。
日本における反独占勢力のこのような現状は、今日の青年労働者の闘いを、一方では日本民主青年同盟に特徴的なように、青年の闘うエネルギーを議会主義的選挙闘争のワク内にとじこめてしまうことにより、夢も情熱も革新の息吹きさえもないプラグマティズムにかれらを追いやり、他方では、新左翼諸派に特徴的なように、展望のない超革命的空語によって、アナーキズム的、テロリスト的傾向に走らせる状態を生み出している。
しかし、ここで見落としてはならないことは、反独占勢力指導部の立ち遅れと誤りにもかかわらず、青年の闘うエネルギーはけっして消滅していないということである。それどころか、日々、労働組合運動で、公害反対闘争で地域住民闘争等で、いたる所で、自然発生的にではあれそのおさえがたいエネルギーの噴出がみられる。もちろんそれらの闘いは、まだ未熟であり、統一もされていない。しかし、それ故にこそ、正しい指導が求められているのである。今、必要なことは、それらの青年のエネルギーを、日本の反独占勢力の立ち遅れと弱点を克服する闘いに、正しく組織してゆくことである。当面、危機の時代に労働運動の闘争力を弱める労働組合運動の不統一企業意識をかきたてる企業別組合–これらの弱点を克服するため、産業別統一闘争の推進、産業別組織化、労働戦線の統一、労働者階級と反独占諸階層との同盟強化という、労働者階級の政治的経済的利益と広範な大衆の願望・要求に合致する闘いに、青年のエネルギーを吸収し、生かしていかねばならない。青年労働者の闘いはこれらの闘いのけん引力であり、その意味で、彼らの闘いに反独占統一戦線勢力結集の展望がかかっていると言っても過言ではない。
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このように日本の反独占政治勢力の現状が、深化する資本主義の危機に対応しえていないばかりか著しく立ち遅れている中で、過去いくたびにもわたって既成政党を超克するとして、真の前衛党や共産主義的青年同盟の結成がうたわれてきた。しかし、それらのほとんどが「新左翼」の小児病的空文句かあるいは「現代マルクス主義」の修正主義的潮流の中に浮かんでは消え、孤立し、革命的純化の名の下に分裂に次ぐ分裂を繰り返し、相克と近親憎悪を深めてきているのを、われわれはまのあたりに見てきた。われわれが、ここに、この時期に、あえて原則的で大衆的な青年同盟の結集の準備を訴えるのは、このようなことを練り返さないためである。
われわれが、ここに青年同盟の結集の準備を訴えるのは、内外情勢における資本主義の経済的・政治的危機の先鋭化、反独占革新勢力の現状の中で、小なりといえども労働運動をはじめとするあらゆる大衆運動への恒常的影響力を築いてきた青年労働者の部隊が、今後も一貫して組織的にその闘いを継承・発展させ、真に民主主義的な組織原則の下に、平和と平和共存・反独占民主政権の樹立、その強大な統一戦線の一翼を担う大衆的政治同盟の必要性を認識するからである。
未来は青年のものである。青年の革命的情熱と自己犠牲的な献身性を真に発揮できる、そのよう青年同盟の結成が今こそ要請されている。
この青年同盟には、平和のために闘い、大資本の横暴と搾取・抑圧に反対する、日本の政治の革新を求めるすべての青年を結集できる民主的で大衆的な青年同盟である。そして、それは、あらゆるセクト主義のあらわれ、少数自称前衛党化傾向を排せきし、一般民主主義的な反独占闘争、その中での青年労働者の統一に積極的に合流し、あらゆる闘う組織との間に自己批判と相互批判の方法による同志的な関係を建設することを意図するものである。同盟は、民主主義と社会主義のために闘ってきたすへての革命的諸先輩の伝統を受けつぎ、マルクス・レーニン主義を学び、それを闘争の中に生かすことを求めるすべての青年たちの組織となることを目ざしている。
われわれは、ここに、このような性格の青年同盟の結成に向けて広くすべての闘う青年・組織・グループ・個人に準備会の結成とそれへの参加を熱烈に呼びかける。