討議資料 「民学同の統一と発展のために」 民学同統一会議発行 1970年4月
【同盟全支部及び全同盟員諸君に訴える!】
【3.3-3.15の事態に対する事実経過と我々の評価】 文責N
<同盟全支部及び全同盟員諸君に訴える!>
統一会議の全国的指導の下に結集し、
全力をあげて同盟の趣意規約の目的達成の為、同盟の統一を促進強化しよう
3月27日市大での大衆集会に於ける一部同盟員の暴力行為、3月28日中教審公聴会反対の統一集会の拒否、4月5日代表委員会のデッチ上げ、4月14日「阪大支部」の僭称と京大同盟員の暴力行為—一部全国委員は暴力的「大会」分裂以来、何らの反省もなく同盟からの離脱の道を突っ走ろうとしている。
我々は、再び同盟全支部及び全同盟員諸君に訴える!
同盟の今回の事態を正しく把握し、分裂を促進したり、固定化させるような、いかなる行動にも手を貸すことなく、我々統一会議の下に、同盟の統一を促進強化するため、力惜しまず、あらゆる努力を惜しまず、あらゆる努力を尽くそうではないか。
3月に予定されていた民学同第12回全国大会は、昨年来の大学闘争を正しく総括し、学生運動がその発展のために克服すべき弱点を明らかにし、中教審答申及び一連の最近の反動政策と対決する運動方針を確立する任務を持っていた。
同時に大会は、これまでの意見の相違を民主主義的に克服すべく、その組織原則を守ってその解決をはからねばならなかった。
昨年来、同盟内に発生した偏向は、次のようなものであった。それは、各大学でいかに学生全体を決起させ、その運動を統一するかよりも、他党派と対抗して”我が派の集会”へ何名多く動員するかに主要な関心を払うセクト主義、街頭決戦主義であり、学内での浮き上がり派立(ママ)の反映である。
この結果、一部全国委員は、同盟を学生共産党におきかえ、情勢の主観的判断にもとづく政治主義の誤りを犯すに至ったのである。
しかし、これらの傾向は、大学闘争が一時期困難な局面を迎えているという情勢を反映して発生したものであり、今後の運動の発展と内部における民主主義的論争によって必ず克服しうるものであった。
それ故、我々は、今大会で統一の礎を築き上げる為、「一致点のみを統一草案とし、不一致点についてはその対立点を明確にして、大会の素材にしよう」と、繰り返し提案したのである。
そうでなければ、1,2票差という数と数の競い合いに終始し、後々に対立の種を宿したままの実質上の分裂大会になるだろうと警告したのである。
しかし、一部全国委員は、我々のこの当たり前の提案に腹を立て、むきになって反対したのである。
それは、同盟の実勢を正しく反映していない全国委員会での多数(それも1票差)にしがみつき、そこでの決定でもって、代表委員や大会代議員の総意を無視し、同盟を私物化せんとするよこしまな意図をあらかじめ持っていたことを示している。
さらに、大会を真に統一的に成功させるためには、昨年夏以来の組織上の懸案問題を我々は解決しておかなければならなかった。
その一つは、同盟内の暴力行為である。昨年10月21日には委員会が先頭になって、それ以前には市大で他支部同盟員も加わって、暴力が公然と振るわれていた。
我々は、組織内暴力が、同盟の民主主義的性格と全く敵対するものであり、同志的信頼を打ちこわし、猜疑心、不信などの感情的対立をもたらすものとして厳しく批判してきた。
我々は、委員長が率直に暴力行為を反省し、全国委員会が暴力一掃のアピールを行い、大会成功と統一強化の積極的イニシアティブを取るべきだと粘り強く主張してきた。
しかし委員長は「あったかなかった分からぬようなささいな暴力問題に、徒に時間とエネルギーを浪費させた」いう嘆きの声明を発表した以上には何の率直な反省を示さなかった。
それどころか、一部には「革命的暴力」と称して、階級社会での暴力的闘争形態と同一視し、自己の暴力を正当化しようとする者さえいる。
組織内暴力は、政策上の意見対立を、説得と納得にもとづく論争によって克服することに自信をもちえず相互批判を恐れる官僚主義者、政策上の意見対立を組織上の問題にすりかえるセクト主義者が、自己の意見に服従しない者に対して度々用いるものである。
その端的なあらわれが12~14日の事態である。12日の代表委員会では、反対意見を計画的ヤジで封じ込め、動議は委員長の独断で取り上げず、14日には、過半数の代議員を暴力で排除し、一部少数代議員だけをかき集めて「大会」を強行するに至ったのである。
他の1つは、いわゆる大阪市大問題である。
昨年夏の大会が延期されたのは、大阪市大支部が、組織分裂したまま、正常な形で代議員を選出することができなかったためである。
その後も、その状態は続き、全国委員の間でも意見がまとまらなかった。
そこで我々は、次の提案を行った。
「大会において、双方の見解を聴取し、慎重な討議の末、趣意規約にもとづいて、市大支部の統一を回復すること。この決定の出されるまでは、市大支部の代議員権を停止しておくこと」
しかし、この提案さえ一部全国委員は、拒否し、市大支部において反対意見者を排除して代議員を選出させたのである。
全国委員会で多数決を主張しながら、全国大会ではこの問題について採決させないという事の中に、彼らが、いかに全国委員会の多数(それも一票差)にしがみつき、同盟を私物化しようとしていたかが、よく表れている。
一部全国委員が、右に述べた如く、統一のための努力を一切放棄するという中で全国大会が開かれようとしていたのである。
その中で我々は、最後まで統一した民主的な大会として成功させるため、全国代表委員会(中央委員会に相当する)で、右の提案を行い、粘り強く努力を続けた。
しかしながら、一部全国委員は、代表委員会で過半数の支持を得ることに失敗し、少数に転落するや否や我々の提案や動議も、大会開催に必要な諸事項(草案、資格審査委員、議長団、代議員資格の有無など)について何ひとつ代表委員会で決定させず、一部少数代議員だけをかき集め、「大会」をデッチあげ同盟から逃走するに至ったのである。
一部全国委員の趣意規約の蹂躙と暴力による同盟私物化の策動と分裂の暴挙にも拘わらず、我が同盟は、依然として、全国的統一体として健在である。即ち、各地方委員会、支部という基礎単位は、統一して各大学での大衆運動を指導している。
一部全国委員は、同盟員の3分の1、拠点支部の4分の1、大衆運動に対する影響力では5分の1の支持をうけているにすぎない。
彼らは、「全国委員会」や「民主主義の旗」を僭称しているが、その実態は、決して同盟を代表しうるものではない。
我々は、全国委員会以上の上級機関が一時その機能を解体されたにすぎないと判断している。
以上の事態の中で、統一会議の性格と目的は次のとおりである。
一、同盟第12回全国大会に結集した多数代議員は、同盟一部全国委員による暴力的大会破壊と同盟の趣意規約の度重なる蹂躙によって全国委員会が解体された異常な新事態の下で、全国委員会に代わって、同盟の趣意規約を守り、同盟を代表し、同盟の諸組織を責任をもって指導する臨時的中央指導部の組織構成として「統一会議」を組織する。
一、統一会議は、全同盟組織と構成員の先頭にたって、同盟の趣意規約に定められた目的実現のために闘うと共に、同盟の趣意規約に基づく真の統一を促進強化するために闘う。
【3.3-3.15の事態に対する事実経過と我々の評価】 文責N
<事実経過>
1、3月3日~11日 全国委員会
3月3日 (T全国委員欠席)
S全国委員:討議経過報告
F全国委員:提案「同盟第12回全国大会成功のために」(資料A参照)
S・FJ・I・O全国委員:「全員一致制は認められない」として拒否。F・N全国委員の討議続行要求を無視し採択。
N書記長提案「暴力を排し、民主的討議により、意見対立を克服し、同盟の統一強化を全同志の力でうち固めよう」(資料B参照)同時に、暴力行為の先頭にたったS委員長、ならびに全国委員会の見解と措置を文書提出するよう要請。
S・I・O・FJ各全国委員拒否。N・F全国委員の討議続行の提案を拒否し採決。
N・F全国委員の討議続行要求を無視し、勝手に「意義と任務」「国際国内情勢」を読み上げる。
3月5日 S委員長、都委員会に何の連絡もなく、分派的オルグに上京し、流会。
(明大の2同志が新宿で確認)
3月6日
F全国委員提案「再び同盟第12回全国大会成功のために」(資料参照)
S・FJ・I・O全国委員は「多数決で草案も市大問題も採決する」「多数決は原則だ」として拒否。
N・F全国委員 大会開催の基本姿勢にかかわるとして討議続行を要求するが、S委員長無視し、「国際国内情勢」を読み上げる。F・N・T全国委員は休憩を要求し、退場。
3月7日(F全国委員欠席)
N書記長提案「統一草案をねり上げ、暴力を排した民主的討議で、第12回大会を成功させよう」(資料C参照)
S、O、Fg、I全国委員「確認する必要なし」として拒否。この後、勝手に「闘争方針」を読み上げる。
3月8日(F全国委員欠席)
N書記長の、粘り強い統一草案作成と暴力を排した民主的討議を、全国委員が全同盟にアピールする必要性の強調にもかかわらず、S委員長ら4名は、加筆された「闘争方針」を読み上げるだけ。
3月9日(S委員長欠席)
同右。「総括」「組織総括と方針」を読み上げるだけ。
3月11日 12日からの日程を発表して打ち切り。
2、全国代表委員会(3/12)
10時開会 I全国委員から「第12回大会で闘う方針を確立しよう」との文書提案。全一致で可決。
N書記長から「暴力を排した民主的討議で意見対立を克服し、12回全国大会を成功させよう」の文書提案。
O全国委員ら「委員長不信任の策動」と反対意見。
採択(賛成14、反対8、保留2、棄権6)
その後、N書記長らの動議(市大問題)にもかかわらず、委員長一方的に草案報告。
N書記長、対案報告(計画的ヤジによる発言妨害)
O全国委員の意見書発表の後、時間切れとして、代表委員会にはかることもなく、委員長のまとめ「草案、対案を大会に提出する」(市大問題に関する動議とりあげず)を報告。
壇上を10名近くがとりかこみ”異議あり””動議”の発言を暴力的に制止し、一方的に打ち切る。
午後10時 全国委 代表委員会問題 4対3で却下
大会運営事項と代議員数の報告 打ち切り。
3、一方的分裂「大会」の強行(3/13~14)
3月13日
代表委員14名の連署による要望書(資料参照?)を全国委員会へ提案
S委員長ら4全国委員は拒否。
一方的「開会宣言」
半数の同盟員が資格審査を拒否し、大会開催に必要な諸事項と市大問題を議題とする代表委員会の続行を要求。
しかし、一部全国委員らは、一切発言を認めず、暴力的に制止し、ビラさえ強奪。
1日目終了時、会場出入口を、京大同盟員ら20名程が固め、会場費を暴力的にとりたて、払わないものに対しては、なぐる、蹴るの暴行を働く(5名負傷)
3月14日
開会前から、数十名がスクラムを組んで入口を封じ、我々の入場を拒否。分裂「大会」強行に反対し、代表委員会開催を要求する代議員、評議員は、口々に代表委員会開催を要求。(資料E参照)N書記長は、F全国委員に「ただちに全国代表委員会を開け」「ここでは混乱するので会場へ無条件に入れろ」と要求。F全国委員は「資格審査に応じろ」とだけ繰り返すのみ。
O全国委員は、マイクで「資格審査に応じろ」と叫ぶ。
N書記長は、O全国委員に「直ちに会場へ入れろ。それがいやなら、全員が注視するこの場で、全国委員会を開け」と提案。
O全国委員は、これを無視してマイクを続ける。
Yら京大同盟員が耳打ちするや否や、突如襲い掛かり、なぐる、ける、髪をつかむの暴行をはたらき、場外への押し出しをはかる。そのため階段のてすりがこわれはじめる。この時会館事務局が警察に連絡。
N書記長は、無用なマサツをさけるため、又、この事態が放置されると人命にかかわると判断し、退却を指示。会館入口で全員待機。
ところが、なおも、一部全国委員を先頭になぐりかかる。さらに裏口から飛び出してきた一部同盟員も加勢する。
この間、警察が到着するという情報を得たので、直ちに退却。
しかし、退却する我々に、全国委員長を先頭に「ウォー」と襲い掛かる(この時10名近くが重傷。一女子同盟員は、京大同盟員につきとばされ、街頭に横転。病院で診断を受け、頭部打撲傷。一名は、往来する車のバックミラーとバンパーになぐりつけられる。病院で診断の結果、胸部並びに首筋打撲傷。一名は、委員長ら数名のリンチにあい、左眼強打され、内出血。)
その後、御所近くで府警の検問にあい、7名が交番に連行され、訴問を受ける。
N・F・Tの三全国委員は、かかる緊急事態を正しく処理し、なおも統一のために努力すべく「全国委員会開催要求」(資料F参照)
しかし、委員長以下4全国委員は「資格審査に応じなければ、会っても無駄だ」と拒否。
午後4時半、N書記長は、このままでは、組織分裂は必至と判断し、統一のための最後の可能性を無駄にせぬため、大会参加の最終提案(資料G参照)をする。
しかしこの提案にも、委員長らは「投票をすでに始めており、遅い。今日のNらの行動を自己批判することが前提だ」として、拒否。
4、民学同統一会議を組織する。(3月15日)
15日、3全国委員召集による「統一大会をめざす12回大会代議員総会」を、大阪で開催。
N書記長より、これまでの経過と14日の事態の報告があり、同時に、一部全国委員が、趣意規約をじゅうりんし、暴力を行使してまで、少数の代議員をかき集めて「大会」をデッチ上げ、分裂を策したため、全国委員会、全国代表委員会という全国中央指導組織が解体するという異常な新事態の中で、あくまでも同盟の趣意規約を守り、その目的を実現するため、同盟の全組織を指導する臨時的中央指導組織として、民学同統一会議を組織することを提案。
全代議員一致の下に、この組織方針を採択。
また、当面の運動方針として、N書記長の代表委員会への対案を採択。
その後、民学同統一会議アピール、レーニン生誕100年記念学生セミナー成功のための決議と、臨時指導部を決定する。
付属資料(内容)
1、「同盟第12回大会成功の為の提案」(資料A)
2、3月3日 全国委員会へのN提案(資料B)
3、3月7日 「統一提案をねりあげ、暴力を排した粘り強い民主的討議の徹底により、第12回全国大会を成功させ、同盟の統一と団結を打ち固めよう」(3/7全国委員会への書記長提案 資料C)
4、全国委、全国代表委員会への要請書 (資料D)
第12回大会代議員 (N書記長 96名)MG市大支部同盟員T他23名 (他、加盟申請者16名)
5、S全国委員長、並びにO,F、I全国委員 宛 全国委員会開催要求 (3月14日書記長N、全国委員F、T 資料E))
6、全国委員長への再提案 (N書記長) (資料F)
(資料A)同盟第12回全国大会成功の為の提案
同盟第12回大会は極めて緊迫した情勢の中で開かれようとしている。日本帝国主義の発言強化、安保条約の自動延長と沖縄の核付き自由使用返還、軍事力強化による日本の軍国主義化、北方領土問題にみられる反ソ反共の民族主義の扇動、教育研究の帝国主義的再編—-これらは日本帝国主義と諸階層との矛盾と対立を和解しがたく深化させている。
かかる中で同盟第12回大会を成功させ、同盟の統一と団結を打ち固めることは、ひとり我が同盟のみならず、日本学生運動と全民主勢力が強く期待するところである。この間、不幸にして同盟内に存在した意見対立と行動における不一致を、今こそ克服し、統一した第12回全国大会を開催するために、全国の同志の諸君が全国委員会の討議とそのための努力に注目している。
同盟第12回全国大会を成功させるために以下の提案を行う。
第1 同盟第12回全国大会を成功させ、同盟の統一を打ち固めるために、全国委員会で説得と納得に基づくねばり強い討議を組織し、意見の一致を拡大させる。
第2 意見の一致を基礎に全国委員の全員一致に基づく統一した大会草案を全国代表委員会に提出する。
第3 機関紙「民主主義の旗」「全国委員会ニュース」は、全国委員一致のもとに発行し、同盟の討議を統一にむけ組織する。
我が同盟内に存在した意見対立と行動における不一致を生み出したものは、かかる全国委員会の粘り強い討議と、説得と納得による一致点の拡大、これに基づく同盟の指導を放棄し、単純多数決による同盟指導であった。しかし、民主集中制とは、正しい理論と民主的な諸原則に基づいた、説得と納得に基礎をおくもので、単純多数決による形式民主主義とは無縁である。同盟全国委員会は、第12回全国大会を成功させるために、以上の点を確認し、統一草案作成に全力を傾注すべきである。 以上
(資料B)3月3日全国委員会へのN書記長提案
暴力を排し、民主的討議により意見対立を克服し、同盟の統一強化を全同志の力でうち固めよう! 全国委員会
昨年来の大学闘争と安保沖縄闘争の高揚は、わが同盟が今こそ飛躍的に発展する条件を与えている。
我々全国代表委員会(ママ)は、統一して草案をつくりあげ、その下で全同志と共に第12回大会を成功させることを確認した。そのことはひとり我が同盟の前進に必要であるのみならず日本学生運動の前進にも不可欠と考える。
大会成功の為には昨年来の政策上、組織上にわたる意見対立を、我が同盟の趣意規約にのっとった粘り強い説得と納得の関係に基づく、民主的討議によって克服しなければならないし、必ずなしうると確信する。
しかし、同盟内で発生した暴力行為は、かかる統一の為の努力と敵対し、同志的団結と信頼をうちこわし、我々の間に、不信・感情的対立・不団結をもたらすものである。
委員長はじめ、我々全国委員会は、かかる暴力行為が発生した事態について重大な責任を感じ、全同志の前に深く反省の意を表する。
今後、委員長、書記長を先頭に全国委員会が一丸となって暴力行為を排し、民主的討議により意見対立を克服し、同盟の統一強化をうち固める為、全力をあげることを誓うとともに、全同志の協力を懇願する。
真の敵は、我が同盟内の意見対立を利用し、我が同盟の破壊を企む。
従って、今後いかなる理由があろうとも、同盟内での暴力行為はかかる真の敵に味方する挑発行為であるとして糾弾し、我が同盟から追放する決意である。
全同志諸君!全国委員会と共に暴力を排し、民主的討議を徹底させ、意見対立を克服し、同盟の統一強化をうち固めようではないか。 以上
(資料C)3月7日 全国委員会への書記長提案
「統一草案をねりあげ、暴力を排した粘り強い民主的討議の徹底により、第12回全国大会を成功させ、同盟の統一と団結を打ち固めよう!」
日米共同声明と中教審答申—この二つに象徴されるごとく、高度成長をとげた日本資本主義が国際経済競争のより一層の強化に備え、企業の集中合併による巨大独占体の形成とともに、”自主技術開発”のスローガンの下に、大学を一層独占体に隷属させ、その力を背景に、アジアへの経済的進出、自衛力強化と独自核武装への接近の野望を露骨に宣言した70年初頭に、今大会は開かれる。
かかる情勢を反映して驚くべき高揚を示した大学闘争と安保闘争は、一方で、その社会的地位を急速に没落させつつある研究者、学生が資本主義体制と今日の大学に対して、鋭い批判をむけており、他方で、彼らの運動がその勃興期にありがちな自然発生的弱みを備えていることを我々に理解させた。
我が同盟は、この学生の戦闘的エネルギーに依拠し、その弱さを克服し、学生運動の正しい発展と統一をかちとり、また、我々が学園に強固な”ねじろ”を築くためにも、他の政治指導部と共に、我々も少なからず犯してきた誤ちと–セクト主義と政治主義、街頭主義—-を払拭しなければならない。
しかし、右の問題に関する意見対立を、わが同盟はこれまで応々にして、組織上の問題にたかめ、説得と納得に基づく行動の統一の努力を放棄し(単純多数決のくりかえしで、機関を私物化し)はては、暴力をふるい、同志的信頼と団結をうちこわし、思想闘争の権利と民主的討議の基礎を破壊するという官僚主義の誤ちをおかしてきた。それは我が同盟の統一の障害となっている。
重大な情勢の中で開かれる今大会を、数を数で競い合い、対立を相互に確認しあう不幸な大会ではなく、少しでも多くの一致点を拡大し、統一への礎を、全同志の共同の努力で築き上げる大会にしなければならない。
その為には、全国委員会が、これまでの誤ちをくりかえすことなく、正しい民主的指導を行うことを要請されており、統一を願う全同志の期待するところである。
従って、全国委員会は、次のことを確認し、統一のためのイニシアティブをとるべきだと考え、ここに提案する。
1、一切の暴力を排し、粘り強い説得と納得に基づく民主的討議の徹底
※これまで暴力行為が、統一強化にとって全く桎梏となっており、委員長はじめ全国委員会が全同志の前に反省し、今後、一切暴力をなくすために努力するとともに、それを同盟破壊を企む真の敵を利する挑発行為として糾弾し、同盟から追放する。
2、全国委員会は、最後まで統一草案と大会運営方針をつくるために一致点の拡大に努力する。
3、意見の一致した点を、全国委員会として全国代表委員会へ手出する。一致しなかった点は、双方の意見を代表委員会へ提出し、討議の素材とする。但し、採択の対象とはしない。
4、大会成功に向け、同盟討議を組織するため、全国委員会ニュースは、その内容を全国委員会で検討し、その一致の下に発行する。
(資料D)全国委、全国代表委員会への要望書
第12回大会代議員(N書記長、96名)
民学同市大支部同盟員T他23名(尚、加盟申請者は16名)
70年安保、沖縄返還、中教審粉砕闘争の渦中にあり、民学同の統一と指導性が広範な学生大衆によって切望されている時、本大会を成功させることは何にもまして重要な課題と考える。昨年8月大会延期後、重大化した内部不統一は、今こそ、この真の原因を究明する中で克服されなければならない。我々は以上の観点から、次の事を提案し、その実行を強くのぞむものである。
Ⅰ、統一大会を成功させるための不可欠の条件として、全国代表委員会に於いて、統一草案作成を粘り強く行うこと。
全国代表委員会に於いて意見が二分された状況で、その統一の努力を放棄し、大会をしゃにに強行しようとするのは、統一と大会成功を願わぬ者だけができることである。
Ⅱ、事実が明らかになるのを恐れ、それをインペイするために、民主主義の原則を蹂躙する自民党の独善的運営と何ら変わることのない最悪事態を科学と民主主義に基づく同志的討議の場に正常化させること。このために一切の会議において、暴力を含む一切の発言妨害を排除し、批判・自己批判の契機を重視し、論争点の対比を明確にする中で意志統一を計ること。
Ⅲ、大会成功と同盟の団結強化にとって一つの重要なさまたげになっている「革命的暴力」に名を借りた、S委員長以下の暴力行為を謙虚に自己批判し、大会成功のための先頭に立つことと同時に、すべての全国委員は、かかる事態の発生したことについて、指導責任を明らかにすること。
Ⅳ、大阪市大支部の分裂状態を克服し、事態を一層悪化させないために、この問題について、同盟の最高決議機関の討議以前に、一方的断定を下し大会の成立要因を傷つけないこと。このための大会において、双方の見解を聴取し、慎重な討議のすえ、趣意規約にもとづいて、市大支部の統一を回復すること。この決定の出される以前に、市大支部の代議員権を停止しておくことは、民主団体運営の常識である。
Ⅴ、大会召集の指導機関である全国代表委員会で承認をうけることなく作られた資格審査委員会を基礎に会議を強行することは、理論思想の力に依拠しようとしない最も悪しき分裂主義的行為と言わざるをえない。
最後に、我々は幾多の闘争課題が山積し、民学同の指導が強く求められている現状にかんがみても、本大会の成功と同盟の統一強化のために、冷静に粘り強く、終始努力することをここに誓うものである。
全同志の注目の中、全国代表委員会を開催し、統一草案の下で統一大会を成功させよう!
(資料E)S全国委員長並びにO・F・I全国委員殿 (3/14)
全国委員会開催要求
我々は、統一草案、統一大会の方針の下に、民学同全国大会成功のため、一貫して努力している。
本日「○○センター」での一部全国委員を先頭とする、我々の正当な要求に対する暴力的事態は、大会の統一と成功に逆行するものである。
我々は、何よりも全国大会成功のための前向きの努力をすることが、共通の義務であると考えている。即刻、全国委員会を正常な状態の下で開催することを要求する。
昭和45年3月14日 書記長 N 全国委員 F・T
(資料F) 全国委員長への再提案 N書記長 (3/14)
我々は、一貫して、統一草案に基づいて統一大会成功のため、努力してきた。しかし、本日、○○センターでの一部全国委員を先頭とする、我々の要求に対する暴力的事態は、同盟の統一と全く逆行するものである。
かかる事態が放置されるなら、組織分裂は不可避と言える。従って、我々は、同盟統一の可能性を最後までうち捨てることなく、守り抜くために、ここに重大な決断を行い、提案する。
1、我々のこれまでの意見は、今なお正当であると確信している。
1、しかし、同盟の統一をあくまでも守るため、資格審査に応じ、大会に参加し、我々の意見を発表する用意がある。
1、大会における、我々の発言が正常な状態で行なえるよう、これまでのようなヤジや暴力による発言妨害を一切やめること。
1、大会は、明日(3月15日)午前10時、〇〇センターで行う
昭和45年3月14日