青年の旗 1981年12月1日 第58号
【主張】 人勧完全実施の闘いから82春闘へ
人事院勧告制度そのものの存亡が問われている八一人事院勧告完全実施の闘いは、十一月二十五日、公務員共闘の時眼スト体制のみを孤立させた闘いになっている。
一方、院内も取引が横行しており、渡辺蔵相提案「人勧一月実施、期末手当旧ベース据え置き」が出るや否や社会党は「四月からそれに近い線で」とトーンダウンし実施期日抜きの単なる実施のみに主眼をおいた戦術にダウンしている。
そうした中で、地方人勧は「国に準じ」と「給与制度と運用の適正化(削減の別名-編集局)」を勧告、単純に「国に準ずる」ことがないことを示している。
<許してはならぬ人勧不完全実施>
労働者階級は、連続七カ月実質賃金の低下を被むっている。八二春闘共闘が発足し、統一要求基準を九%とした。同共闘の結成会議で総評の賃金アンケートでは、九%ではなく二万~三万の要求が大多数を占めたのに対し槇枝総評議長は、九%統一基準に合意した理由として「共闘は相互信頼が存在してはじめて成り立つ」とし要求を一致させ、統一を守ることを優先し、総評労働者の要求をしりぞけた。
この槇枝発言の意味するものは、①労線統一において、基本構想に準じ、統一準備会に参加する。②孤立無縁の闘いを余儀なくさせている公務員共闘に強力な支援をしていないことからも示されるように、公労協、公務員共闘関係労組がスト権という多大な犠牲を支払って得た人勧制度・仲裁裁定(八二春闘では仲裁裁定にまで及ぶであろう-編集局)という制度そのものの破壊行為に対して黙認している。すなわち人勧完全実施の闘いこそが、公務員労働者の賃金闘争の最終決着がつけられる制度であるものを公務員労働者から取り上げる行為だからである。③こうしたことから、官民分断を意図する総資本の意を、八二春闘共闘結成時から定着させるものに他ならず、公労協・公務員共闘の戦闘力を一拠に喪失させるものである。④そして、人勧不完全実施が行革の一環である以上、反行革闘争においても譲歩するということである。
時あたかも同盟は、十一月二十一日、八二~八三年度運動方針案を発表、「行財政改革の断行」を改めて表明している。
労働戦線の右再編の動きは、政府・独占の強力な後押しを受けて進められている今日、すべての公務員労働者の闘う組織力を堅持することからも、人勧完全実施を勝ちとらなければならない。これこそ、総評・公務員労働者の八二春闘が闘えるか否かのカギを握る聞いである。
<人勧完全実施の闘いから反行革・闘う八二春闘への結合を>
今行革国会に提出された行革関連法案は、三年間の時眼立法として提出された。
政府・独占は、八三年度総選挙を改憲選挙とすべく、右からの大衆運動を組織し、憲法改悪をもって、民主・労働運動に決定的な打撃を与えようとしている。
労戦統一と春闘のイニシアチブをどこが握るかによって、政府・独占の企図を通すかどうかが決定する。
今や、非常に厳しい状況である。先にもふれたように労働者階級の実質賃金のダウンは、今後、加速度的に上昇しようとするインフレ・行革関連法の実施によって追い打ちをかけられようとしており、かかる事実は、全労働者に等しく被むるのである。
八一春闘でも明らかなように、同盟係労組の中にも八一春闘妥結額に不満を持っている組合員が多く存在している。
人勧完全実施の闘いを公労協・公務員共闘が一丸となって闘い、八二春闘に結合させることである。
闘う実例を示すことこそ問われている。今後増々、同盟をはじめ、鉄鋼労連・中立労連等々から、自ら所属する労組の路線に対して不満を持つ組合員が続出することは必至である。闘いの実例を示すことは、労組が労組であるための最低限の保障である労働三権の確立のための闘いでもあり、労働者の要求を労働三権の行使を通じて闘いとる実例を示すことである。