【書籍紹介】アクティブ・エイジングシリーズ『はたらく』 

【書籍紹介】アクティブ・エイジングシリーズ『はたらく』 

 世界一の高齢化社会・日本、「団塊の世代」も高齢者(65歳以上)の域に入ってくるのでこれからも高齢化が進む。
 このことは一般的にみると医療や保健などの社会的コストを増大させ財政負担につながるし、生産労働人口比率低下で経済の活性化に問題が生ずる。
 しかし、本来高齢化は大きな戦争がないこと、大自然災害が少ないこと、そして生活水準の向上や医療技術の進展の結果、人々が長生きするようになったためであり、喜ばしいことであるはずだ。問題があるとすれば、そのような変化に対応する社会システムが出来ていないことにある。今後のことを考えると、この高齢化を悲観的、評論家的にだけとらえるのではなく、積極的にとらえ直し、具体的な行動をとる必要がある。

 そのような問題意識から、エコハ出版ではアクティブ・エイジングシリーズとして、2012年3月に『地域で活躍する高齢者達』を発行したが、今度、第2号として『はたらく』を発行した。
 これらはいずれも高齢になっても、体力、気力が続く限り、社会や地域で積極的に活動しようではないかとの問題提起である。そのため各地で元気に活躍している高齢者を取材し紹介しながら、今後の高齢化社会にどう立ち合えばよいかかを考えようというものである。
 本書の題名をひらがなで「はたらく」としたのは、経済的な必要から雇われて「働く」ということだけではなく、社会や地域のためボランティアとしてはたらく場合や、自分の趣味や専門性を活かしてはたらくということも含めて、広い意味で高齢者の社会的活躍の場を広めようとするものである。
 実際に取材してみると、退職後ふるさとに戻って農園経営する例や、地域における国際化に貢献している人、専門性を活かしてまちづくりのコーディネーターの役割を果たしている人等、様々な例があることがわかる。これらの人達に共通しているのは、皆さんが生き生きと輝いて活躍さおておられるということであった。しかし、このような人たちはまだ少数派である。社会としてはこのような人達がはたらきやすい場を準備すること、少しでも多くの人たちが積極的に社会や地域の活動に参加しやすい条件をつくることが求められているという主張である。ぜひご一読をお願いしたい。
 本書を編集する中で、「面白い人物」を浮きぼりにしつつ、社会問題にアプローチする方法が有効なことを確信したので、これからもこのような手法で出版を続けて生きたいと思っている。現在、第3号として『シニヤ起業家の挑戦』、第四号として『地域における国際化の活動』などの準備を進めている。ぜひ皆様も高齢化の問題を真正面から現実的な社会問題としてとらえていただきたい。そして、願わくば、元気な高齢化社会を構築するための運動にご参加いただきたい。(本書の購入はアマゾンでエコハ出版と検索いただければ購入できます。)

                           エコハ出版
                           代表 鈴木 克也 

 【出典】 アサート No.433 2013年12月28日

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