【コラム】ひとりごと–個人情報保護とウイニー問題
○個人情報保護法施行からまもなく2年が経とうとしている今日、ウイニーという妖怪が暴れまわり、ネットへの様々な個人情報流出の事態となっている。警察の捜査リストから自衛隊の機密情報、様々な顧客情報。政治家事務所からは支持者の個人情報まで。○私自身も、行政情報として、第一級の個人情報を扱う立場にいるわけで、他人事とは思われない。特に公務員の場合、プライバシー保護の観点からも、秘密保持の法律規定からも、ごめんなさいでは済まされない事態である。○報道によれば、殆んどが職場に持ち込まれた私有パソコンに仕事のデータを保存していたことで、ネットに流出したとされている。確かに、我が職場でも私物のパソコンを持ち込んで仕事をしている場合が多く、私もその1人である。○私の場合、データは外部メモリーに保存し、作業後は職場の金庫入りすることで、私的なネットとのつながりを遮断し、且つ家での作業(アサート編集)などは、別のパソコンで行っているので、一定の歯止めはかかっているが。○確かに今回の事態で明らかになった事は、いかに公務において、セキュリティポリシーが確立されていないか、ということであろう。この分野では、民間の方が進んでいると思われる。公務のIT化が遅れている性でもあろうが、PCを使うことが義務付けられているわけでもない。義務付けるなら、公用のPCが必要量確保される必要がある。しかし、まだまだPCも使えない管理職が当たり前の中で、私物のパソコンで仕事をするというのは、個人情報保護やセキュリティを無視していえば、「よくやっているなー」みたいな感覚ではないだろうか。○まあ、e-政府など、この程度だと言えばそれまでであるが、常時接続が当たり前になり、外部からのアクセス拒否の設定が甘い場合は、起こるべくして起こる事態ではあったはずである。○さらに思うのは、警察は個人情報保護について、ほとんど徹底していない職場と言っていい。犯罪者の情報など、悪気はないと思うが、刑事さんは結構しゃべるのを聞いたことがある。それは個人情報では、と感じたこともある。○警察から流出した情報は、警察による人権侵害の実態を明らかにしている。それ自体が個人情報保護法違反なのであるが。○これからは、さらにいろいろな分野で「情報流出」が暴露されていくことだろう。それは、金になるからに他ならない。企業の場合だと、恐喝の手段になることもあるからだ。ヤミ金やエロサイトは言うに及ばず、暴力団の資金源になることは確実であろう。○国民は、個人情報などネット上でも、公務でも民間でも全く守られていないと思っているのではないか。○私はウイニーを使ったことがないのでわからない点も多いのだが、読者各位は、とりあえず自己防衛を心がけていただきたいと思う次第である。(佐野)
【出典】 アサート No.340 2006年3月25日