【投稿】反戦運動の復活の始まり--経済危機論(103)

<<「イラク戦争以来最大の反戦デモ」>>
バイデン米大統領は、2/20、ウクライナを予告なしに電撃訪問したのであるが、漏洩を避けるために出発したのは、2/19午前4時15分であった。ワシントン郊外の米空軍基地を出発し、ドイツのラムシュタイン空軍基地での給油を経て、ポーランド南東部のジェシュフ・ヤションカ空港に到着、そこから車で1時間のウクライナ国境付近の駅に向かい、鉄道に乗り換え暗闇のなかを約10時間かけてキーウに移動したという。
その同じ2/19、日曜日、ワシントンD.C.では、ウクライナでの戦争1周年に際し、大規模な反戦集会が開かれた。「Rage against the War Machine Anti-War Rally – Washington,D.C.」(戦争マシーンに対する怒りの反戦行動)である。この行動は、「米国政府はウクライナでの戦争にこれ以上 1 ペニーも費やすべきではない」「アメリカの代理戦争ノー! No To US Proxy War」「エスカレーションではなく交渉」という

バイデンはノルドストリーム爆破者

切実な要求で団結し、幅広く、左派も右派をも巻き込んだ行動として提起されたものであった。従来の反戦行動の主体であった諸団体をも巻き込んで、主催者として、人民党(People’s Party)と自由党(Libertarian Party)が組織者となり、集会の演説者には、3 人の元下院議員と女性 (デニス・クシニッチ、トゥルシ・ギャバード、ロン・ポール) と元大統領候補 (緑の党のジル・スタイン) が登場するなど、党派を超えた団結した行動を体現するものであった。
人民党の創設者であるニック・ブラナ(Nick Brana)氏は、この集会は「イラク戦争以来最大の反戦デモであり、切実に必要とされていた」と語り、「右派だ左派だのレッテル貼りは人為的なものである」と述べ、「そんなことでねじ曲げられてはならず、手を取り合って反撃する必要がある」と語っている。
 また、自由党全国委員会のパット・フォード(Pat Ford)氏は、「この集会は連合を構築するうえで完全な成功だった」と語り、「やりがいがあり、骨の折れる、厄介なものになる可能性がありますが、草の根の主催者が社会の変化に影響を与えるための最良の方法であり」、「異なる見解を持つ人々が集まってこそ成功するのです」と語っている。
デニス・クシニッチ (民主党-オハイオ州) 氏の演説は、ノルド・ストリームパイプライン爆破について、米国政府の非難すべき行為は、「元諜報機関職員でさえ仰天する」ほど「米国憲法を傷つけ、世界の平和を脅かしている」と、鋭くバイデン政権を糾弾、法の支配を回復し、国を「破壊」する前に政府を変えようと訴えている。
トゥルシ・ギャバードは、この集会に参加した人々は、人命を尊重し、核のホロコーストで死にたくないという点で団結していると語り、「私は、2020年の民主党大統領予備選で新たな冷戦の危険性について警告したが、悲しいことに、その時以来状況は悪化しており、ロシアとの代理戦争の出現により、簡単に直接的な核戦争に変わる可能性がある」と訴えている。
集会は、最後にピンク・フロイドの創設者であるロジャー・ウォーターズ氏が、アメリカの指導者たちがジェームズ・ベイカー国務長官の1991年の約束、NATOを1インチも拡大しないという約束を守っていたら、また、2019 年のミンスク和平協定を支持し、ノルドストリーム・パイプラインを爆破しないことを選択していれば、今日のような混乱に陥らなかっただろう。これは、戦争行為であり、国際テロ行為なのです、と締めくくった。集会は非暴力を徹底し、さまざまなイデオロギー的視点を持つ人々が戦争に反対するために集まったことは素晴らしいことであり、このイベントは、実際の政治的変化に影響を与える反戦運動の復活の始まりを示す可能性があることを示すものであった。(以上、集会の模様はCovertActionMagazine By Jeremy Kuzmarov – February 20, 2023 より抄訳)

<<ミュンヘン安全保障会議=「戦争挑発者」>>
2/17からドイツ・ミュンヘンで開かれていた第59回ミュンヘン安全保障会議(MSC)に対しても、この会議の参加者を「戦争挑発者」として抗議する、大規模な運動が繰り広げられたことも、反戦運動の復活の始まりとして注目される。2/18、当地ミュンヘンでの反戦抗議デモには数万人が参加し、会議を非難し、ドイツのNATOからの脱退、平和を訴えている。

 

ロシアと和平を!ドイツはNATOから脱退!
「ミュンヘン安保会議」に抗議(2/18)

反戦運動が、バイデン政権のノルドストリーム・天然ガスパイプライン破壊攻撃に象徴される、ウクライナ危機をめぐる政治的経済的危機、とりわけ西側陣営の制裁ブーメランによる経済的危機の一層の激化に対する、生活要求と結びついた抗議行動として拡大し始めていることが注目されるし、さらなる運動の拡大が要請されている。
(生駒 敬)

 

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