【主張】現在の学生運動の意義と民学同の任務 (デモクラート64号)

【主張】現在の学生運動の意義と民学同の任務 (デモクラート64号)

デモクラート64号主張  1975年4月18日

デモクラート64号主張
 1975年4月18日

 現在の学生運動の意義と民学同の任務について、あらためて確認することの重要性は、単にわれわれが新入生を迎えているという例年の事情だけによるものではない。それは、現在闘われている七五年春闘の経過が端的に示しているように、資本主義の全般的危機の新しい局面への突入の中でわが国における労働運動、民主運動が客観的な情勢のかつてない厳しさと、その下での支配階級と政府からの攻撃に加えて、自らの政治指導部の原則的逸脱と日和見主義への転落によって、異常に困難な状態におかれているという事情によるものである。なぜなら、この客観的現実が学生運動に与える深刻な影響とその原則的克服なしには、またその克服の原則的方途についての明確な確信が民学同の全同盟員と先進的学生のものとなることなしには、学生大衆の生活の危機を根本的に解決し、学生運動をわが国における反帝反独占統一戦線の強固な担い手として鍛え上げ、また直面する諸闘争を首尾よく闘い抜くことすら困難であるからである。

学生層の反独占的基盤の拡大
 今日の多数の学生のおかれている客観的基盤は、かれらの反資本主義的、反独占的志向を拡大している。それは多数の学生の卒業後の将来の地位と利害、および国家独占資本主義の体制そのものによって不断に脅かされている学生生活上の諸困難の著しい増大によるものである。今日の社会において膨大な数を形成するにいたった研究者、技術者、事務職員、教員、医師など広汎な知識人動労者の地位と利害は、労働者階級のそれにますます接近しつつある。多数の学生の卒業後の将来もまたこのようなものであって、もはやかつての支配階級の一員に属する特権的エリートとしての将来ではない。これは戦後の「高度成長」経済、国家独占資本主義の発達下における産業構造と階級構成の急激な変化の直接の結果、すなわち大量の知識人のプロレタリア化に照応するものであるが、学生総数200万人、同一年齢人口比30%強といわれる大学生数の絶対的増加は、その反映である。
 いまや学生は、労働者階級を中心とする反独占統一戦線の一構成要素として行動するときにのみかれらの現在と未来の利益を守ることができるのである。

理論活動、思想闘争の重要性
 だが、学生はこのような反資本主義的、反独占的基盤の客観的成熟にもかかわらず、つぎの事情により、自然発生的には思想的混乱と「左」右の日和見主義に陥る危険性をとりわけ強く持っている。それは学生層が種々維多な出身階級によって構成されており、また労働者階級の子弟が比較的少数であること、その将来の階級的帰属においてもプロレタリア化が未完了であること、かれらが実生活において独立した生計の基盤を持っていないこと、青年の中でもインテリゲンチャーとして最も敏感に現実の社会的政治的諸条件を反映する部分であること、実際の闘争をつうじた政治的経験と思想的組織的訓練に不足しており、不断に持ち込まれる支配階級の非合理的非科学的な諸反動イデオロギーや氾濫する種々の色あいの修正主義、日和見主義のイデオロギー、卑俗な権威主義とデマゴギーに浸蝕されやすいこと、によるものである。
 このことは、系統的な理論的学習と研究、確固たる理論的確信に基づく理論闘争、思想闘争の重要性、学生を理論的思想的に獲得する闘争に勝利することの重要性を示している。学生運動の原則的で大衆的な発展と統一を保障する最も重要な原動力のーつがここにあると言わねばならない。

学生運動とその政治指導部
 わが国の学生運動、労働組合運動が、日本共産党をはじめとする「前衛」政党、革新政党、労働組合幹部の根本的な誤謬によって極めて困難な条件下におかれているのと同様に、学生運動もまたその例外でなく、それらを反映して、全国的な真に広汎で大衆的で、戦闘的な運動を組織することに成功していない。
 日本共産党は、これまでのブルジョア民族主義の誤りに加えて、主要な政治的闘争を労働運動や大衆闘争と切り離された議会活動や選挙闘争におく議会主義と選挙第一主義の誤りを犯している。同党は、労働者階級と勤労大衆と学生大衆の生活の危機、政治反動と人民運動の分断攻撃の強化に対して断呼たる反撃の闘争を呼びかけ、労働者階級を中心とする戦闘的で広範な反独占闘争の力でそれらを解決する方針を提起するかわりに支配階級と妥協し、かれらに屈服し、戦闘的な労働組合や民主団体(動労、日数組、自治労、原水禁国民会議に結集する原則的部隊、部落解放同盟など)に敵対し、公然と分裂を持ちこんでいる。同党は、日本資本主義の直面する深刻な危機の真の解決の道をわが国における根本的な反独占民主主義的変革を通じた社会主義革命の達成の展望の中に位置づけず、提起すべき当面の改良の政策においても度し難い日和見主義に陥り、中小資本家の営業と財産を「擁護」することに腐心している。同党はプロレタリアートのヘゲモニーの思想を放棄し、右翼日和見主義と分裂主義、ブルジョア改良主義、階級協調主義に基づく裏切り的行為を公然と主張し、実践している。民主青年同盟と民青「全学連」もまた同党の誤りの忠実な実践部隊として行動している。彼らはつねに、遅れた意識に迎合して卑俗な諸要求主義と経済主義、選挙のための集票活動に学生運動を解消している。
 このようなわが国における政治指導部のまったく異常な現実は、かつてない危機の到来の下での生活諸条件の極端な悪化、大学の反動化と学生に対する締めつけ、弾圧の強化とあいまって、学生運動の前進にとってかつてない厳しい客観的、主体的条件をつくりだしている。

民学同に結集しよう
 こうした現在の学生運動をとりまく諸条件は、反独占的基盤の客観的成熟という有利な条件の存在にもかかわらず、われわれの粘り強い目的意識的な理論的、政治的組織的活動なしには学生大衆の真の大衆的要求を、戦闘的で統一した大衆運動にまで発展させることができないことを示している。そのためには原則的で科学的な理論的、政策的指導が規律ある組織的活動を通じて系統的に行なわれることが不可欠である。この任務の遂行は、首尾一貫した原則的理論と政治路線、科学的政策の体系確固たる世界観的一致によって統一の基礎が与えられ、また、豊かな政治的経験と闘争によって鍛えられた指導部に導かれる政治同盟の存在によってのみ可能となる。かかる政治同盟は、今日では民学同をおいて外には存在しない。民学同は、平和と平和共存、反独占民主主義、学生運動の統一をかかげ、同盟創立以来、一貫して闘ってきた。また民学同は、あらゆる色あいの修正主義、日和見主義との徹底したイデオロギー闘争を通じて、同盟の隊列に不断にもちこまれる誤った思想と闘い、その原則性、党派性、趣意・規約の精神を守り発展させてきた。民学同は、今日まで修正主義、日和見主義との闘争において、マルクス主義の原則性と党派性の擁護と確立を掲げて闘ってきた輝しい伝統をもつ大阪唯物論研究会の全面的援助と協力をうけてきた。われわれはこれまで以上に大阪唯研のその活動が強化されることを期待し、修正主義批判とその実践的克服のために闘う強力な陣営を強化するために共に闘うことを決意している。「任務の困難性が問題なのではなく、任務の解決をどの道に求め、どうして達成するかが問題なのだ…困難だというととは実現不可能だということではない。たいせつなのは、道を正しく選んだという確信である」 (レーニン)
 われわれは困難な諸条件や誤まった政治指導が学生の中にもちこむ停滞したムードやペシミズム、大衆の遅れた意識に迎合することなく「現実的」の名の下に原則上の取り引きを行なった新たな修正主義、日和見主義のデマゴギーに屈することなく、真に大衆的で革命的な要求に基づく闘争を粘り強く組織し、指導しなければならない。
 学友諸君、民学同に結集し、機関誌「デモクラート」に導かれて当面する大衆闘争の諸課題を共に闘い組織する活動を通じて、革命的理論の学習と研究を通じて、また修正主義との非妥協的な闘争を通じて「資本主義の全般的危機の新しい局面」からの唯一の活路であるわが国における社会変革と社会主義の実現への具体的展望についての不動の確信をうち固めよう。そのとき民学同と日本学生違動は、わが国における反独占統一戦線の強固な一翼を担うべき不可欠の大衆的政治勢力という名誉ある称号を受けとることができる。

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