趣意規約のわい曲について(デモクラート64号)

趣意規約のわい曲について (「デモクラート」64号)
趣意・規約の精神はゆるぎない伝統に

日和見主義的歪曲
 民学同を、「政策の一致による大衆的政治同盟」とみなし、「活動家集団」、「統一戦線組織」へと引き下げる同盟趣意の日和見主義的歪曲が、一部同盟員によって系統的にもちこまれている。この歪曲の特徴は、同盟趣旨から世界観、思想上の統一性を抜き去り、趣意を個別的政策(目的)のよせ集めに解消し、趣意の統一性、体系性、一貫性を骨抜きにすることにある。この見解は雑多な思想を持った学生の一時的個別的意見と目標の一致により離合集散する「屈伸自在な」全共闘的活動家集団へと同盟を導びき、組織解体をももたらす危険なものである。このような無原則な見解にもとづく誤った傾向は、非妥協的な闘争によって早急に克服されねばならない。趣意の原則性を堅持する為の断固たるねばり強い闘争の必要性は、次のことからも強調されねばならない。それは、学生が「インテリゲンチャのなかでもっとも敏感な部分」であり、「だれよりも決定的に、だれよりも正確に、社会全体における階級的利害と政治的グループわけとの発展を反映し、表現する。」(レーニン)からであり、一部インテリゲンチャから日和見主義的改良主義的偏向が同盟内に系統的に持ち込まれているからである。

世界観の一致
 同盟の趣意は「科学と民主主義の見地に立って、現在の思想的混乱を克服するために闘う」ことを掲げている。この見地とは「人類の到達した先進的理 論」(規約第一条)によって基礎づけられた明確で全一的な、科学的民主主義的世界観の見地である。ここでいう「人類の到達した先進的理論」とは、人類の進歩的理論を正しく継承し発展させ、マルクス・レーニン主義の理論に集約され体系化されている「科学と民主主義の理論」である。このことは、同盟結成時より一貫して確認されてきた同盟の原則的立場であった。マルスク・レーニン主義の理論によって基礎づけられる世界観的、思想的一致が同盟の統一の基盤をなすものである。
 したがって趣意にもられた政策は、学生の諸要求に基盤をおく個別的政策の集合体ではなく、明確な全一的世界観に立脚し学生の実践的課題を正しく反映した科学的民主主義的な政策の体系であり、 同盟の総路線を表現するものである。趣意から世界観的一致を抜き去ることは、「同盟が学生運動における指導部隊としての役割をはたすため」に必要な「科学性」と「戦闘性」(=革命性)を骨抜きにし、「同盟の隊列の強固な統一」を弱め破壊することを意味する。当面の政策、戦術における同盟の行動の統一は、世界観的一致の基礎の上に成立し、強固なものとなるのである。

原則性の検証
 同盟の指導する運動が、学生運動の分裂と混乱の下でも力強く発展してきたのは、趣意の原則性(=「科学と民主主義的世界観の見地」)を一貫して堅持してきたことによる。
同盟趣意は同盟結成段階における同盟諸先輩の民青指導部、「トロッキズム諸派」との不屈の原則的闘争の中で検証され獲得された理論的政策約諸原則を結実させたものである。この諸原則は、「平和と平和共存、反独占民主主義、学生運動の統一」の旗印に集約される趣意の政策体系=総路線として具体化されることとなった。この路線は、平和と社会主義をめざす国際的民主主義運動、労働運動のそれと合致するものであり一九六〇年ハーカ国共産党・労働者党国際会議の声明において確認されたものでもあった。
同盟結成後の諸活動、とりわけ平和運動、大学闘争において同盟の路線と政策の原則性は力を発揮することとなった。原水禁平和運動においては、日本の運動の深刻な分裂と一部指導部の民族主義的偏向という条件下で、平和と平和共存の為の国際主義的路線をかかげ、国際連帯独自核武装阻止、アジア集団安保体制実現、運動の原則的統一の為に重要な貢献をなしてきた。また一九六八年・六九年の大学闘争においては、この闘争を、「反独占の大学改革闘争」として位置づけ、「大学改革」と「民主化」の課題を正しく結合させ、「左」右の日和見主義と明確な一線を画し、大衆的な闘争を指導してきた。また同盟の不幸な分裂にもかかわらず、大学闘争以後も「改革闘争」「民主化闘争」を継続して発展させてきた。これらの同盟の首尾一貫した系統的活動を保証したのは、同盟趣意の原則性であり、同盟の全一的世界観にもとづく方針と戦術の具体化であった。

日和見主義的歪曲の帰結
 同盟を「政策の一致による大衆的政治同盟」として位置づける一部同盟員諸君は、同盟の大衆的影響力をその科学的政策にもとづく指導性にではなく、大衆の個別的な「具体的」要求の結集に求め、その政策において大衆の自然発生的意識に拝脆することとなる。すなわち、趣意にかかげられている目的を大衆の自然発生的要求に応じて切り離し、対立させ、大衆の一致できる範囲において個別に自からの政策としてかかげることになる。このことが趣意の日和見主義的歪曲の帰結である。以下特徴的な例を検討することにしよう。

大学闘争の無理解
 彼等の日和主義的見解によれば、趣意にかかげられている「大学の民主的改革」と「学園の民主化」の目的は切り離すべきだということになる。彼等は、「大学における反動的寡頭支配打倒」「無責任な研究・数育、行政体制の粉砕」を「大学の民主的改革」のスローガンに関連して提起することは、「トロ諸派顔まけ」の「全面否定論」であり、誤まっていると批判する。「トロ諸派」がこのようなスローガンをかかげたかどうかは論外におくとして、「トロ諸派」の基本的誤まりは大学内に存在する基本的矛盾対立を見ることができなかったことにあるということはまず最初に指摘しておかねばならない。日和見主義的見解を主張する諸君は、大学闘争以後の民学同の大学の現状分析と方針のイロハ的事柄を理解しているかどうか疑いたくなるほどの水準である。すなわち、大学闘争以後、ほとんど全ての大学においてその権限は、政府と警察権力のバックアップの下に、執行部等の大学上層部に集中し、寡頭支配と無責任体制が支配していること、その条件下で「独占資本と権力に従順で安あがりな学生を生産するための場」 「独占資本の利益のための研究の場」として大学を独占資本が利用することが可能となっていること、したがって「寡頭支配」、「無責任体制」の打倒と粉砕ぬさにしては大学の反独占的根本的改革はありえないということは、周知の事柄である。彼等と類似の見解とそれにもとづく行動が、かつて大学闘争時に、プルジョア自由主義者と連合して右翼日和見主義的一翼を形成した民青諸君によって推進されたこと、さらには「学生共闘派」の諸君によってその後ひき続き同様な万針が実行されたことを大学闘争の教訓として忘れてはならない。彼等の見解は、民青諸君の日和見主義的路線へ同盟の路線を退化させる以外の何ものでもない。彼等の方針から出てくる改革とは、学生、院生、若手数員と大学管理者上層の対立ではなく、大学の支配層の分岐と対立を大学内の基本的対立とみなし、「リベラル」な教授層をプッシュすることによってひきだせる、大学の寡頭支配と無責任体制には手をつけない。それは学生とと勤労人民の基本的利害は実現しない「まだるっこい改良」にすぎないである。このような方針は、同盟の趣意からみちびかれる独占体による大学支配に反対し、大学の研究、数育の社会階級的性格、内容の根本的改革により勤労人民の為の大学をめざすという「大学改革」の路線を歪曲し、修正するものである。

階級闘争と平和運動
 また彼等は、平和運動の進展と統一の保障を労働者階級の指導性ではなく、独占体をまきこむにめの原則の譲歩に求める。そして核防批准の行動は原子力独占体をまきこんで運動を進めることの重要性を力説することになる。このような見解は次のような彼等が権威主義的に支持するインテリゲンチヤの見解からみちびきだされたものである。それは、「平和共存の為の闘争」と「革命的労働運動」は対立するものであり、「平和運動」と「労働運動」の結合を唱えることは「セクト主義」だというものである。同盟趣意は「社会主義体制とともにあらゆる一般民主主義闘争は平和と平和共存の闘いを構成・強化し、同時に平和と平和共存の闘いは諸闘争の広範な舞台を準備し、統一と成功の見通しを保証する」と述べている。すなわち趣意では、一般民主主義の為の闘争と平和共存の闘争は統一的に把握されているのである。

民主主義闘争の歪曲
 また趣意は、「新しい民主主義はたんに防衛的かつ政治的なものにとどまらず、社会、経済における民主的改革をも闘いとる積極的かつ攻撃的な性格をおびている。またそれは、独占資本との対決を通じてかちとられ労働者階級によって指導される勤労者諸階層をその擁護者、推進者とする」と述べている。現代の「一般民主主義」が、通常の「ブルジョア民主主義」ではなく、戦争の脅威の一掃、民族解放、独占体の所有の国有化、独占体の権力の制限を含む「あたらしい民主主義」であるということは、教科書的原則である。したがって「平和共存の為の闘争」と「革命的労働運動」、「 平和運動」と「労働運動」を切り離し対立させることは、趣意の原則的見地からいつだつするものである。このいつだつは、労働者階級の世界史的役割を事実上否定し、一般民主主義運動におけるプロレタリアートのヘゲモニーを否定する改良主義的路線へ同盟を導びくものである。

組織活動強化を
 我々は、このような日和見主義的な趣意の解釈とそれに基く路線をきっばりと拒否する。趣意の原則的歪曲といつだつを放置し、それと妥協し、当面の政策にもとづく行動の統一のみを語ることは、世界観的一致にもとづく同盟の強固な統一的基盤をほりくずす日和見主義に加担するものである。
 このような日和見主義傾向、それに同調する傾向は、理論闘争、思想闘争の強化を含む同盟の組織活動強化の中で克服されるであろう。(s)

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