【投稿】日本原電敦賀2号原発は原子炉直下に活断層ありが確定、ようやく廃炉へ

【投稿】日本原電敦賀2号原発は原子炉直下に活断層ありが確定、ようやく廃炉へ

                             福井 杉本達也

1 敦賀2号機は「審査不適合」

原子力規制委員会は7月26日、日本原電が再稼働を目指す敦賀原発2号機(敦賀市)について、原子炉直下に活断層がある可能性を否定できないとして「新規制基準に適合しているとは認られない」と結論付けた。新規制基準では、13~12万年以降の活動が否定できない断層を活断層とし、真上に原子炉などの重要施設を設置することを禁じている。敦賀2号機の審査では、原子炉建屋北側の試掘溝で見つかった「 K断層」が活断層かどうか(活動性)、原子炉直下まで延びているかどうか(連続性)の2点が焦点となっていた。日本原電は活断層を真っ向から否定し、2015年に再稼働審査を申請した。しかし原電の審査資料の無断書変えや記載の誤りが発覚、審査は2度中断するなど長期化していた(福井:2024.7.27)。というよりも、正確には活断層を否定したいがために自らに都合のいいように審査資料を改竄していたのであり、全くとんでもない会社である。コケにされた規制委が今回審査不適合としたのは当然である。

 

2 「活断層」調査データを改竄した日本原電

改竄が発覚したのは2020年2月、「原電が2012年に敷地内で実施したボーリング調査の結果。採取した地層の観察記録で、2018年の審査会合の資料では「未固結」などとしていた記述が、この日は「固結」に変わっていた。原電の説明はなく、規制委が計900ページに及ぶ資料の中から見つけた。記述が変わった部分は少なくとも十数カ所あるという。観察記録は科学的な「生データ」で本来変えてはいけない。…。規制委の石渡明委員は『基本的なデータについて、前の記述を残すのではなく、削って書き直すのは非常に問題がある。この資料をもとに審査はできない』と厳しく指摘」していた(朝日:2020.2.8)。

そもそも、規制委は2013年5月22日に日本原子力敦賀2号機の直下の破砕帯は「耐震設計上考慮する活断層である」との調査団の報告書を了承したていた。活断層が動いた場合、原子炉建屋の使用済み核燃粁プールなどに与える影響を与えるとし、原電が再稼働を申請しても実質的な安全審査はできないとしていた(中日:2013.5.23)。それを、規制委のメンバーが交代し、審査が通りやすくなったとして、2015年11月5日に、活断層は途中で切れていて原子炉真下にまでは行っていないとして再稼働審査を申請していたのである。

3 日本原電は会社を解散すべき

いま、日本原電は茨城の東海2号と敦賀に発電施設を所有するが、2011年以降、1KWも発電していない。東電・東北電力・中部電力・北陸電力・関西電力の5社が毎年1000億円近くを「受電費用」として日本原電に支払っている。2023年は944億円を基本料金として支払った。いずれも各社の電気料金に含まれ、消費者の電気料金に上乗せされている。発電会社としての実態を既に失っているのである。このような会社の存続が許されてよいはずはない。原発再稼働を推進する日経新聞とはいえ、さすがに、「原発専業の日本原電は民間とはいえ特殊な会社だ。1966年に国内初の商業炉の東海原発を稼働させ『国策民営』で歩んできた。日本の原子力政策の象徴的な存在だ。…国は電力各社と協力し、日本原電のあり方を再検討する責務がある。」(日経社説:2024.7.27)と書かざるを得なかった。1KWも発電しない、全ての利益を他社に頼るという発電会社など資本主義社会においてもあり得ない。早急に発電会社としての日本原電を解散すべきである。

4 敦賀2号機が立地する敦賀半島は地震の巣

巽好幸神戸大学客員教授は、「若狭湾には沈降海岸である『リアス海岸』が発達し、特にその東端では断層に沿って急激に落ち込んでいる。また琵琶湖は、低地(盆地)が南から移動して約100万年前にほぼ現在の位置までやってきた。濃尾平野が広がるのは、地盤が沈降してその凹地に土砂が厚く堆積したからだ。そして伊勢湾は西と東に走る断層によって大きく沈んでいる、…中部沈降帯(伊勢湾―琵琶湖―若狭湾沈降帯)である。」・「沈み込み角度が小さい中部日本では、この補償流が、海溝に近く温度が低い領域まで届かない。、1891年に起きた日本史上最大級の直下型(内陸)地震である濃尾地震(M8.0)のような地震を引き起こす可能性」があると指摘している(巽好幸:「『日本沈没』は始まっている:(1) 中部地方が沈没して本州が2つの島に?」yahooニュース:2021.12.12)。越前海岸は250 ~350mと急峻な崖となっている。能登半島地震の隆起のように、甲楽城断層が過去何回も変動して、若狭湾が沈降し、その東側が隆起し海岸段丘が形成された。敦賀2号機直下を走る活断層もこうした断層の一部である。濃尾地震(M8.0)クラスの直下型地震が起きた場合、能登半島地震の4倍ものエネルギーである。原発はひとたまりもない。

 

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