【投稿】被団協・ノーベル平和賞受賞 vs. 石破首相「核共有」

<<「論外。怒り心頭だ」>>
10/12、2024年のノーベル平和賞に選ばれた日本原水爆被害者団体協議会は、東京都内で記者会見を開き、田中熙巳代表委員(92)は、米国の核兵器を共同運用する「核共有」に石破茂首相が言及していることについて、「論外。怒り心頭だ。核の恐ろしさを知っているなら考えなさいと言いたい」と批判。首相からの面会の申し出に応じたという田中さんは「会って徹底的に議論してあなたは間違っていると説得したい」と語気を強めた、と、報じられている。

和田征子事務局次長(80)も「日本政府は『唯一の戦争被爆国』といつも言うが、核共有をして米国の指示で使うことになれば、被害国であったのが加害国になるかもしれない。私たちは許すことはできない」と訴えている。

また和田さんは、「これまで核兵器が使われてこなかった。核の抑止力ではなく、私たちの行動こそが抑止力だ」と強調している。

石破茂首相は、首相就任直前に米シンクタンク・ハドソン研究所への要請に応じた寄稿文で、米国との「核共有」や「核持ち込み」を主張 、石破氏は持論の「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」創設に合わせて、米国の核兵器の共有やアジア地域への持ち込みを検討する必要があるとの見解を披露している(9/27)。
その中で日本の「非核三原則」そのものを踏みにじる、米国の核兵器の持ち込みを検討すべきだと主張し、「アジア版NATOの創設」で、中国とロシアと北朝鮮の「核連合」を抑止する必要があると主張、「アジア版NATOで米国の核シェアや持ち込みも具体的に検討しなければならない」とまで主張しているのである。

<<平和賞 vs. 核軍事演習>>
このノーベル平和賞受賞発表と同じ日の10/11、石破氏が持ち上げるNATOは、10/14から開始予定の核兵器軍事演習を発表している。
その2週間の軍事演習「ステッドファスト・ヌーン」は、8つの空軍基地から2,000人の兵士と、西ヨーロッパ上空を飛行する「核兵器搭載可能なジェット機、爆撃機、戦闘機護衛、給油機、偵察および電子戦能力のある航空機」60機以上が参加すると発表されている。
NATO事務総長マーク・ルッテ氏は、「核抑止力は同盟国の安全保障の要である」述べ、「ステッドファスト・ヌーンは同盟国の核抑止力の重要なテストであり、NATOがすべての同盟国を保護し防衛するという明確なメッセージを敵国に送ることになる」と声明で述べている。この軍事演習に反対する軍縮推進派のベアトリス・フィン氏は、平和賞受賞の日に実に「タイミングが悪い」ニュースであり、「この演習は「都市を破壊し、生存者を毒殺する」兵器で「数十万人の民間人を抹殺する」ための訓練であると強く抗議している。

平和賞受賞が発表された最初の報道で、広島県被団協の箕牧智之理事長は「本当に夢の夢です」と喜ぶと同時に、「今、世界は複雑な情勢だ。私たちもさらに磨きをかけてやっていかなければならない。戦後、原爆孤児で育った子どもたちがたくさんいる。ガザで子どもが被害を受けている」と訴え、涙を流しながら「ガザでは、血を流す子どもたちが(親に)抱きかかえられています。80年前の日本のようです」と続けて語り、10/11 の米デモクラシー・ナウでこの場面が放送され、被団協の「代表が、現在のガザを原爆投下後の日本、そしておそらくイランの核施設を爆破するというイスラエルの脅迫と比較したと発言したのは、非常に興味深いことです」と紹介されている。

核戦争の危険性が迫る中、まさに、「軍事オタク」とまで揶揄されてきた石破氏の危険な本質が、今回の被団協・ノーベル平和賞受賞で浮き彫りになったと言えよう。
(生駒 敬)

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