【投稿】米/イスラエル:中東全面戦争への共謀--経済危機論(150)

<<「正義の尺度」>>
9/28、バイデン米大統領は、イスラエルがレバノン南部の人口密集地帯の高層ビルを米提供の強力なバンカーバスター爆弾で重爆撃し、6棟のアパートを破壊し、抵抗武装勢力ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師を爆殺したことを、「当然の報い」「正義の裁きだ」だとしてイスラエル擁護し、「正義の尺度」(Israeli airstrike is a measure of justice)として称賛する声明(Statemen from President Joe Biden on the Death of Hassan Nasrallah)を出すに至った。さらに声明は、「米国は

ヒズボラ、ハマス、フーシ派と、その他イランの支援を受けるすべてのテロ団体に対するイスラエルの防衛権を全面的に支持する」ことを明確にした。
大統領選を闘っている、カマラ・ハリス氏も「ハッサン・ナスララ氏は、アメリカ人の血を流したテロリストだった。何十年にもわたり、彼が率いたヒズボラは中東を不安定にし、レバノン、イスラエル、シリア、そして世界中で無数の罪のない人々の殺害につながった。今日、ヒズボラの犠牲者たちは一定の正義を得た」と述べている。
だが、両者とも、人口密集地域でイスラエルの爆撃で殺害された1,000人以上のレバノン人の男性、女性、子どもたち、これら「無数の罪のない人々」については一言も語っていない。もちろん何十万人ものレバノン人が避難を余儀なくされ、街区全体が破壊されたことについても一言も語ってはいない。この住宅密集地を巨大爆弾で破壊することのどこに「正義」があるというのであろうか。完全な無差別爆撃であり、国際法にも違反するジェノサイド攻撃である。
バイデン氏とハリス氏は「休むことなく停戦に取り組んでいる」のではなく、大量殺人と大量虐殺に加担し、今や明確な共犯関係に至っている。

<<戦争で儲ける企業の株価が急騰>>
そして10/1、イランの限定的と言われる報復・反撃行為が実行され、急激に中東全域への戦争拡大が懸念される事態に突入している。
イランはイスラエル南部と中部に約400発以上と推定される弾道ミサイルを発射、イランの革命防衛隊(IRGC)は公式声明で、この攻撃はイスラエルによるハマス政治局長イスマイル・ハニヤ、ヒズボラのハッサン・ナスララ事務局長、IRGC司令官のイランのアバス・ニルフォロシャン准将の殺害に対する報復であると述べている。IRGC

は、イスラエルが攻撃に反応すれば、さらに破壊的な攻撃が続くと警告し、イスラエルが報復したり「さらなる悪意ある行為」を行えば「徹底的な対応」をすることを明確にしている。
イスラエルのメディアは、イスラエルがヒズボラ指導者ハッサン・ナスララを暗殺したことに対する報復攻撃として、500発以上のミサイルがイスラエルに向けて発射されたと報じている。しかしこの報復攻撃から約45分後、イスラエル国防軍はイスラエル全土で防空壕や避難所から出るのは安全であると発表。イランは強硬姿勢を見せつつも、限定的な反撃にとどめている可能性が高いと言えよう。
しかし、イスラエルにとっては、イランとの全面戦争、中東全域への戦争拡大への転機となる可能性が高く、バイデン/ハリス政権がこれに加担・共謀する危険性も増大している。

10/2、WTI原油は、中東の緊張が高まり紛争が広がるとして、直ちに反応、4%上昇している。
特徴的・象徴的なのは、戦争で儲ける企業の株価が急騰していることである。「今日は市場全体が下落している」にもかかわらず、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、RTX(旧レイセオン)の株価が急騰している。そして要注意なのは、「少なくとも50人の議員またはその家族が防衛請負業者の株を保有しており、これらの企業は議会が作成した国防総省の歳出法案から毎年数千億ドルを受け取っている」「連邦議員や防衛関連企業による株式保有総額は1090万ドルに達する可能性がある」現実である。彼らは、バイデン/ハリス政権が戦争拡大に突き進むことを期待していることはは言うまでもないであろう。
しかし、戦争拡大は、政治的経済的危機打開を破綻させるものでしかない。緊張緩和と平和への努力こそが要請されており、それ以外に危機打開の道はないのである。
(生駒 敬)

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