【投稿】内政干渉・政府転覆組織:米国際開発庁(USAID)の閉鎖と日本への影響
福井 杉本達也
1 「急進的な狂人たちが運営する」USAIDを閉鎖
イーロン・マスク氏はUSAIDを『修復不可能な状態』とし、トランプ大統領もこれを閉鎖すべきだとした。トランプ大統領はUSAIDを『一部の急進的な狂人たちが運営してきた』とし、『私たちは彼らを追い出す』と述べた。USAIDは主に非政府組織、外国政府と国際機関、他の米国機関に資金を与える形で他国に人道主義的および開発援助を提供しながら米国の国際援助を主管する機関ということになっているが、現実はこれらのプロジェクトは、アメリカの政治的利益を推進するための手段であり、諜報機関と秘密裏に結びつき、他国の内政に干渉したり、他国の政府を転覆するために存在する。バイデン政権期にUSAIDの長官を務めたサマンサ・パワー氏は、オバマ政権時代は国連大使を務めた民主党タカ派の最右翼である。職員は約1万人、年間予算が428億ドル(約6兆6224億円)にのぼる。1961年のジョン・F・ケネディ政権当時、『外国援助法』によって設立された。2023会計年度基準で400億ドルを超える予算を策定し、世界130カ国に“支援”した。(参照:msn:2025.2.4など)
2 USAID閉鎖の目的
ロシア外交・防衛政策評議会幹部会議長のフョールド・ルキャノフはRT上で「何十年にもわたって世界の覇権国としての役割を果たしてきた米国では、文化革命が進行中です。トランプ政権は、単に外交政策を微調整しただけでなく、ワシントンが世界における自らの役割をどのように見ているかというパラダイムを根本的に変えた。かつては考えられなかったことが、今では公然と議論され、政策として追求されています。この変化は、世界観の見直しを表しており、世界がどのように組織されるべきか、そしてその中でのアメリカの地位を問うものである。」「アメリカの支配層は、世界的な遍在のコストが持続不可能であることをますます認識している。」と書いている(RT:2025.2.9)。ウクライナ戦争でも明らかなように、反ファシズム戦争として戦われた第二次世界大戦後の世界秩序であるヤルタ・ポツダム体制が80年を経て今、根本的に行き詰っていることは明らかである。
また、ヴィタリー・リュムシンはRT上において、「USAIDの凍結は、USAIDを完全に解体するものではない。むしろ、それは、以前は左派リベラルな価値観を世界的に押し進めるために利用していた民主党から支配権を奪い取るためのリストラである。」「トランプの目標は、USAIDを彼の政権の保守的なアジェンダの道具に変えることだ。トランプのUSAIDの全面的な見直しは、アメリカ外交政策の広範な転換を示唆している。アメリカの覇権を世界的な支配者として推進するのではなく、焦点は取引政治、つまり直接交渉や武力を通じて特定の利益を達成することに移るだろう。この実用的なアプローチは、政府機関の過去数十年を定義したイデオロギー的な輸出モデルとは根本に異なります。」と述べている(RT:2025.2.9)。
3 USADIの日本支部としてのJICA―工作員に池上彰やNHKの名前も
日本ではUSAIDに関する報道は極端に少ない。Sputnik日本は2月10日、「USAID(アメリカ国際開発庁)。 その日本版とも言えるのがJICA(国際協力機構)だ。JICAは日本の政府開発援助を通して、途上国の社会・経済開発を行っている。活動内容には重なる点が多く、両組織は緊密に連携している。『JICA USA』のSNS投稿によれば、2024年9月にJICAの田中理事長はUSAIDのトップと面会し、人道支援、民主主義、猛暑などのテーマで、グローバルな協力について話し合った。また、JICAの職員は、定期的にUSAIDに出向している。JICAは、池上彰氏を起用し、日経ビジネスに『ウクライナと世界の未来と私たち」』と題したPR記事を出している。その中で池上氏は『日本は、2017年から5年間にわたって、ウクライナ公共放送への支援を行ってきました。協力したのは私の古巣でもあるNHKです。様々な課題解決に共に取り組み、ジャーナリストとしての意識を高めるためのハンドブック制作なども行ってきました。』と明かしている。」と報道した。JICAの田中明彦理事長は、米民主党系のジャパン・ハンドラーの影響下にある日経新聞などが主催する「富士山会合」などに度々名前を連ねている。また、今後、トランプ氏による第二のCIAと称せられるNED(全米民主主義基金)やFBIなどへの攻撃が激しさを増すにつて、日本の協力者も明るみにでてくるかも知れない。その時こそ、USAID などから資金提供を受け、ジャパン・ハンドラーの指示の下、日本を対米従属に仕向けてきた、従属論者の本当の終わりが来るであろう。