【投稿】私の闘病(難病サルコイドーシス等)から得た実践的教訓(抜粋)

【投稿】私の闘病(難病サルコイドーシス等)から得た実践的教訓(抜粋) 

 この闘病記録は、私が難病サルコイドーシスをはじめとした闘病経験の中でも、特に読者の参考になるのではないかと思う教訓について、実体験型に整理したものである。従って事実経過等はできるだけ簡略化(ブログ「リベラル広場」<http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/>に全文掲載。参考にお読みください)している。誰でも長期入院を余儀なくされる可能性のある中で、科学的・客観的根拠には多少、欠けるが、実際には在り得る事柄として読んでいただければ幸いである。

《事実経過1》
 私の体調異変の始まりは、2013年9月1日以降、鬱病発生からである。
<突然の転倒―頚椎異変の前兆か?>
 同年11月5日、公園での運動の帰宅途中、気を失い転倒した。気づいたときには、既に救急車でU病院に緊急搬送、診察の結果、頚椎が異常に曲がる頚椎症性脊髄症を指摘された。そしてU病院には数箇所ほどの頚椎症性脊髄症の手術ができる病院を紹介されたが、その内でも最も家に近い某A病院に診察してもらうことにした。
 〔教訓1〕
 この自宅近所の某A病院を距離的理由だけで選んだのだが、後々に某A病院の主治医の対応には問題が多く、やはり口コミや治療実績等も参考に調べる等、とにかく距離的理由だけで治療病院を選ぶことは危険である。

《事実経過2》
 某A病院でMRI画像診断を行ったところ。頚椎症性脊髄症は事実で、2013年11月13日入院、同年12月3日、頚椎症性脊髄症の手術を受けた。この手術は、首の後部にスペーサーという物体を首後部肉に5枚も固定するものであった。
 なお、このMRI画像診断の際に別途、頚椎内に白い棒状の肉芽が認識されていたが、主治医は「頚椎症性脊髄症の腫れのようなものではー」と軽視した答えをして、実際にはあった「頚椎内腫瘍」の存在を明確に認識されることはなかった。
 〔教訓2-当てにならないセカンドオピニオン〕
 なおA某病院での頚椎症性脊髄症の手術を受けるに先立ち、鬱病の心療内科の医師に相談した。当該医師は、A某病院での手術には疑問を呈し、府立公的医療機関へのセカンドオピニオンを受けるべく、紹介状を書いてくれた。早速、同病院整形外科を訪ねたが、若い担当医は、少し面倒くさそうに「そのまま、A某病院で手術を受ければよい」と言い放った。しかし、疑問が払拭できず、そもそもA某病院での手術が脳神経外科であることから、再度、脳神経外科でのセカンドオピニオンを申し込んだが、これについては一蹴して拒否された。この経験で感じ取ったことは、せっかくセカンドオピニオンという制度があっても、実際には先に治療方針を示した病院と異なる(アゲインストな)セカンドオピニオンを呈することは、なかなか勇気のいることで、結局は病院同士で追随し合うのではないかという疑惑を抱いてしまうことである。特に医科大学が同系列の病院の場合は、なおさらではないかと思える。

《事実経過3-とりあえずリハビリ改善した頚椎狭窄症》
 そして「頚椎内腫瘍」の影を潜めながらも、頚椎症性脊髄症の術後リハビリに努め、徐々に歩行ができるほど改善した。そして本年3月末日の定年退職を契機にA某病院を退院した。

《事実経過4-やはり「頚椎内腫瘍」によって再び歩行困難に》
 一旦は退院したものの4月中旬以降、再び歩行困難に陥った。そして5月16日、予定を繰り上げ再受診、MRI画像診断も行った。今度は、頚椎内腫瘍も明確に判明し、A某病院主治医の診断書も、ここで初めて「頚椎内腫瘍」の言葉を使っている。

《事実経過5-主治医はサジを投げた》
 5月19日、A某病院主治医は「頚椎内腫瘍」について、ようやくその存在を正式に認めたものの、「A某病院としては、なす術がない。ついてはX大学病院に相談(紹介?)してみてはどうか?」と、要はA某病院としてはサジを投げ、X大学病院に転院を促すというものだった。
 〔教訓3-不明なものは、いい加減にしない〕
 A某病院主治医の薦めにより5月26日、X大学病院へのセカンドオピニオンを受けに行った。
 X大学病院セカンドオピニオンは、「脊椎腫瘍について、外見上、良性に見えても悪性の場合もあるし、その反対もある。また悪性・良性と関らず、第3の問題組織である場合もある。脊椎腫瘍を多少、切除し、組織検査=確定診断をしなければならない」というものだった。このX大学病院のセカンドオピニオンは、まだ一応、なす術がある意味で、希望が持てるものであった。
 同時に昨年12月3日のA某病院での脊椎症性脊髄症手術以前のMRI画像では一応、頚椎内腫瘍と思わしき白い肉芽が 映っていたのだから、何故、その時点でA某病院での確定診断の能力がないならないで、X大学病院等に紹介してくれなかったのかという疑問と怒りが沸き立つ。現に後程、転院したY大学病院医師は、「そもそも医学の世界で原因等が不明で放置しておくことは、原則、有り得ない」とまで明言している。
 なおY大学病院のセカンドオピニオンも受けたところ、ほぼX大学病院と同様の見解だったことから、6月20日にY大学病院に入院、7月8日に再び首―頚椎を切除、頚椎内腫瘍組織検査を受けた。そこで組織検査の結果、白い頚椎内腫瘍(肉芽)の正体は[サルコイドーシス]であることが判明したのである。
 そして現在は、9月10日にY大学病院も退院し、ステロイド系の経口薬を中心に服用し、車椅子と手の痺れに耐えながら、自宅リハビリに励む闘病生活送っている。
《その他、闘病生活を通じて得た教訓と問題意識等》
 〔教訓4-横柄な医師ほどヤブ医者(?)〕
◎このA某病院主治医は、詳しいエピソードは省略するが、日常的に患者に対して上から目線で横柄かついい加減な治療態度であった。
  ◎大学病院医師との主観的違いは
 そもそも大学病院等の医師と民間病院の医師との主観的な比較であるが、大学等病院の方が実に医学的で、わかりやすく説明しようとする姿勢が見られ、率直に言って横柄な医師ほど、ヤブ医者が多いのではないかと感じられる。
 〔教訓5-医大同系列でないと連携はとれないのか〕
 ある時、A某病院主治医が突然、病室に訪ねてきて、「Y大学病院は退院後も患者の面倒を見てくれるのか、聞いておいてくれ」と依頼するのである。どうも質問の意図は「Y大学病院とは日常的に連携関係がなく、後々の情報が入らないからだ」と言い訳していた。この件は後程、Y大学病院主治医にも報告したが、Y大学病院主治医は「日常的に医大学同系列であろうが、なかろうが、地域医療連携の中で淡々と処理するだけのこと」と聞いて安心した。しかし医大同系列に患者紹介すら躊躇する医師も、まだなお存在することは多少、認識した方がよいと感じた。

《問題指摘1-深刻化する医療スタッフの労働条件問題》
◎先ず民間病院であるA某病院では近年、退職金制度が廃止され、その事の不満、不安が結構、広がっているようである。
 一方、経営側に取ってみれば、人件費の後年度負担として重くのしかかってくるのも事実であろう。しかし看護師は国家資格であり、日進月歩に進化する医療技術の中で、それなりにモチベーションを維持して働き続けるためには、安定した労働条件の提供は必要不可欠である。逆に言えば、悪い労働条件では、それなりの医療スタッフしか確保されず、良い医療スタッフは良い労働条件で買えるのである。
 その他の問題把握も含めて、全体として経営コストを下げようとする民間病院経営側の意図と、それに不満があれども文句の言いようのない医療スタッフの意思が浮かび上がり、結果として民間病院の医療水準の低下を招いているように思える。
◎またY大学病院では、看護師のほとんどが20歳代の若い女性で、年配の看護師はあまりいない。この事は、Y大学病院に限らず一般的に看護師という職業が夜勤もあり、配偶者の相当の理解と条件がないと、長く働き続けることのでいない職業であることを物語っている。

《問題指摘2-医療検査に関する円滑な個人情報の還元を!》
◎民間病院でも大学病院等でも、意外と患者本人に対して医療検査結果等の本人情報の還元がされていない。医療検査結果等に関する個人情報保護法の規定は、先ず本人から医療検査結果等について開示請求があった場合は、病院側は遅滞なく開示しなければならないことになっている。しかし実際の運用実態は、多くの医療検査を行いながら、ほとんどが患者本人に医療検査結果を知る権利の説明もされずに、病院側だけが保有管理する状況が一般的である。そこで医療検査結果等の本人情報を、必ず患者本人に対して紙媒体等での検査結果の還元をルール化してはどうかと思う。その方が病院側の事務の煩雑さは増すかもしれないが、元々、患者の医療検査結果は患者の所有する本人情報であるし、病院と患者との信頼関係の醸成にも繋がる。

《これからどうなる医療行政》
 今回、サルコイドージスという難病を経験して、感じ取った教訓、問題意識等を羅列したが、その経験上から見える構図として、段々と医療水準が低下する民間病院、しかし、そこで何らかの医療アクシデントに見舞われ、紹介状がなければ、大学等病院では外来診療も受診できない現状。そして患者と医療機関側とでは、圧倒的にその専門的知識や経験上においても患者に不利にありながらも、患者自身の人権は患者自身が守らなければならない現実。また新たな問題としてAPEC自由診療導入も検討されている。
 厚生労働省が全体として医療費抑制にあることはわかるのだが、その先にあるグランドデザインが、勉強不足の自分にはわからない。今後、どなたか、日本の医療行政システムの見通し。解説と問題点を執筆していただくとありがたい。(民守 正義)

 【出典】 アサート No.446 2015年1月24日

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