【投稿】注目の堺市長選挙 維新解体の危機 

【投稿】注目の堺市長選挙 維新解体の危機 

 9月29日投票の堺市長選挙が注目されている。4年前の選挙で、橋下府知事(当時)の後押しで、当選した竹山市長が、今回の選挙では、橋下維新の「大阪都構想」に反対の立場で立候補し、維新からは市議会議員の新人が立候補、一騎打ちの選挙戦となっているからだ。
 
 <維新が、全力選挙の理由>
 マスコミは、「崖っぷちの維新」が総力戦で市長選挙に取り組んでいると報道している。橋下は、依然支持者を確保している一方で、その頂点はすでに通過している。慰安婦発言がそのターニングポイントだが、東京都議会選挙、そして7月の参議院選挙でも、埋没と言ってもよい状況に陥っている。さらに、自ら市長である大阪市政において、地下鉄民営化策も、議会の反対で頓挫し、公募した区長の乱行・不適切行動、公募学校長のセクハラ事件報道などが相次いで発覚し、自らの市政にも赤信号が点滅しているのが現状である。
 大阪都構想についても、法定協議会の設置はできたものの、区割り案・財政調整はスケジュールどおりに進んでいない。費用対効果の比較でも、大阪都構想は「夢」を語れても、現実には効果が薄いという結果も出ている。橋下維新は、こうした大阪都構想の停滞状況に、どうしても堺で負けられない事情があるわけである。
 大阪における維新派の伸長は、民主党政権下で進行した。府議では1人区を中心に、自民党脱党組が維新に合流した経過がある。政権は変わり、自民党単独でも衆院で過半数という状況では、「議員」ポストが欲しいだけなら、1年半後の統一地方選挙を前に、復帰を考える議員もかなり存在しているとの情報もある。堺で負ければ、大阪都構想も頓挫、橋下維新も大阪から解体の可能性は大いにあるのである。
 
 <自民・共産共闘の影響>
 迎え撃つ現職陣営は、民主が推薦を決めたが、自民は「支持」に止めた。また、話題になっているのが共産党であり、橋下維新・大阪都構想反対の立場で勝手連的に現職の支持に回っている。公明党は、早々と「自主投票」を決めて静観の構えである。
 先の参議院選挙の各党票数は、自民7万、民主2.5万、共産4万に対して、維新10万。合計すれば、13.5万対10万ということになる。簡単な算術では、現職優位ということだが、そう簡単ではないのが、選挙というもの、選挙戦時点で当落予想は止めておこう。
 選挙も終盤に来て維新陣営は、「共産党に担がれる現職」との批判を強めている。勝手連とは言え、選挙行動は整合されているようで、常にオール与党と共産が対立してきた堺市長選挙は、様変わりした印象は強い。
 
 <「堺はひとつ」だけでいいのか>
 確かに、大阪都構想に賛成か、反対かが今回の堺市長選挙の争点ではある。しかし、都構想で堺が発展する、という維新派の主張は「夢」物語である一方、「堺はひとつ」を唱える現職も、余りに「無策」ではないか、言うのが筆者の見解である。
 阿倍野や北大阪の発展と比べても、堺のポテンシャルは下がり続けている。買い物客は大阪市内に流れ、ベッドタウン化が進行している。行財政改革で生み出されたはずの資源を有効に活用できていない。泉北ニュータウンの高齢化問題、オールドタウン化は、千里ニュータウンの「再生」の取組みと比べても、比較にならないほど遅れている。
 こうした現状を「是」とする現職を、大阪都構想に反対しているからと支持する勢力には、他の利権の臭いが付きまとう。都構想論議も結構だが、肝心の重要政策についても、大いに議論があって然るべきだと、感じる。
 
PS 本紙が発行される時点は、丁度選挙結果が出ていることだろう。1週間前の選挙状況報道は、現職がリードとのこと(読売)。選挙結果が、どのようになるか、注目していきたい。(2013-09-22 佐野) 

 【出典】 アサート No.430 2013年9月28日

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