【投稿】民主党綱領(素案)を読んで
民主党は、2月24日に党大会を開催する。先の総選挙での大敗を受けて、党改革創生案・党綱領が大会で提案されると報道されている。民主党のHPで、文案が確認できるのは、2013年2月8日付の民主党綱領(素案)のみである。党改革創生案は、表題のみ明らかにされている。そこで、民主党綱領(素案)を読んだ感想を以下に、記してみたい。
<決意が見えない前文>
正直な感想は、余りに短時間で作られた事もあろうが、あまりに抽象的表現が多く、インパクトに欠け、何を言いたいのか、意味不明な文章であると言う点に尽きる。
前文は、高齢化や新興国の抬頭によって、国民に閉塞感・不安感が生まれ、さらに東日本大震災と福島原発事故により、生き方や科学・技術・物質文明のあり方まで問い直している、として、「大きな変革期を迎えた今、公正・公平・透明なルールのもと、生きがいを持って働き、互いに負担を分かち合う持続可能な社会を再構築しなければならない。そして政党と国民が信頼関係を築かなければならない。」と続く。
これが前文の中心である。何か、訴えるものがあるのか。「公正なルールの下で生きがいをもって働き、互いに負担を分かち合う持続可能な社会の再構築」とは何をいうのか。
すべての勤労者の均等待遇を実現する、とした方が立場が明確になると思うが、「負担を分かち合う持続可能な社会」とは、消費増税を推進したことを基礎にしているようだが、貧富の格差拡大に対して所得再配分を進める税制改革を意味しているようには思えない。
<「既得権や癒着の構造と闘う改革政党」>
次に、「私たちの立場」として、「我が党は、「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立つ。」として、改革政党云々と続く。4つの羅列で何が言いたいのか。生活者と働く者で十分なのではないか。むしろ加えて、大企業や株式会社ではない、社会的起業者を加えて、新たな社会の仕組みを築く、ぐらいはあってもいいのではないか。
<共生社会をつくる>
最後に、「私たちの目指すもの」として、一共生社会をつくる、二国を守り国際社会の平和と繁栄に貢献する、三憲法の基精神を具現化する、四国民とともに歩む、の4項目が示される。
共生社会云々は、抽象的表現ながら、そこそこまとまっている。しかし、「国を守り云々」の第2項は、日米同盟の深化・自衛力を着実に整備と続き、完全に「右派」に配慮した内容である。
憲法課題の第3項では、日本国憲法の基本精神を大切にしながら、「未来志向の憲法を構想していく」とし、これも「改憲志向」派を意識したものであろうか。
党綱領と言っても、これだけのA4、2枚である。そこで曖昧にされているのが、新自由主義・グローバリゼーションの評価、平和志向とアジアとの向き合い方、非正規労働蔓延への基本的態度であろう。改憲派に擦り寄り、非正規労働への態度を曖昧にし、消費税増税を既定のものとする内容である。これでは、現在の自公勢力に対抗できるはずもない。せめて社会民主主義的な政策を並べた方が立ち位置が明確になると思われるが。(佐野)
【出典】 アサート No.423 2013年2月23日