【日々雑感】いい年の取り方、生き方 —菅原文太氏に学ぶ—
私の菅原文太という人についての認識は、単にアクション映画、ヤクザ映画のスター位の認識でした。ところが、私の知人から「文太は、なかなかいいよ、考え方もしっかりしているし、特に3.11以降の彼の言動は、すばらしい」と聞いておりましたので、私も文太氏についての認識を新たにして見ておりました。先月もテレビで文太氏が放映されており、「農業が第一、農業が基本だ。」と言われていた、文太氏の主張にはまったく同感で、うれしくなりました。氏は、今、山梨県で農業生産法人代表を努めておられ、農業活動にも携わっておられるとのこと。
先日も、2013年1月25日(土)の朝日新聞夕刊、「人生の贈り物」というインタビュー記事で、写真入りで紹介されておりました。その写真の横には、「–有機農業者の輪を広げる菅原さん。「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんと。」との添え書きがあり、お二人が並んで微笑んでおられる1枚でした。
次に、私見が混じり、紙面を汚すのは勿体無いので、インタビューの全文を以下に引用させていただきます。
「人生の贈り物 俳優・農業生産法人代表 菅原文太(79)」
風潮に流されず、自分の足で立て
–反原発を訴えられていますね。
原発が人間にとって悪いことは誰にだって理解できる。福島県の原発被災者だって、戻りたい人々の気持ちはわかるけれど、ほとんど半永久的に住めないんじゃないかな。まして農業なんてできないよ。事故になればこうなることは造る前から学者達には分かっていたはず。原発建設に関わった学者達は、純粋な学問じゃなく、研究費をもらって電力会社や国に加担してきたんだからはっきり言えないわけだろ。
–マスコミもですか。
そう。マスコミも加担者。原発は危険だと知らしめてこなかったわけだから。チェルノブイリやスリーマイル島の事故が起きても、我が国でも起きると真剣に考えなかったんだろうね。今になってもこういう可能性もあれば、こういう意見もある、なんて曖昧な報道をしている。善悪をはっきり言えない。経済の問題もある、とかさ。福島だけの問題じゃないんだ。原発が脅かしている命は、日本、世界、地球、宇宙につながっているんだから。海外からもはっきり言えないのは、先進国全体が人の命より経済優先のシステムになっているから。
–原発以外の社会問題も勉強されていらっしゃいますね。
ニッポン放送で、日曜の朝5時半から「菅原文太 日本人の底力」という番組をもう10年近く続けている。毎回、次のゲストを考え、その人の本を1冊や2冊読んでから収録しなきゃならない。だから自然に勉強するんだ。
–若い人にも勉強してほしい?
そうだね。財布に入れて持ち歩いているこの記事を見て。イタリアで、人気芸人が毒舌で腐敗した政府を批判する「5つ星運動」をして、政党を立ち上げたら、第2の人数の政党になったという記事だ。日本の若者達にも、周囲の人や風潮にひきずられず、自分の足で立ってほしい。今の日本は明らかに右傾化している。世の中に蔓延する不満を巧に誘導している勢力に若者が迎合しつつある。このままいけば、燃えやすい紙にライターで火をつけるようにパッと燃え始め、あっちでもこっちでも火がついて一気に危険な方向に行ってしまう。究極のナチズム。戦艦大和をカタカナの「ヤマト」で知る世代が危なっかしい。
–戦争を知らない世代へのメッセージは?
スズメのように大勢が群れて目先のことでパタパタしないで、タカやワシのように遠くまでたった一羽で飛び、大きく羽を広げて世界を見てほしい。都会から時々観光で田舎のにおいを嗅ぎに来るだけじゃなく、いのちを身体で感じてほしい。そうしないと日本だけじゃなく地球の未来も危ないよ。(終わり)
長い文章になりましたが、どうです皆さん。79歳といえば、世間では言えばもういいおじいさん、いい年のとり方、生き方をされているなあと、菅原文太氏に学ぶ思いで記事を読ませていただきました。(2013年2月14日早瀬達吉)
【出典】 アサート No.423 2013年2月23日