【日々雑感】熊森 VS 小出対談 ②

【日々雑感】熊森 VS 小出対談 ②

8月と言えば、広島のこと、長崎のこと、終戦のこと等、語り継いでゆくべきことは山ほど有ると思いますが、今現在最も大切なことは、原発問題だと思います。
前号で書ききれなかった熊森協会のインタビューと小出先生との対談の続きを書かせていただきます。お許しください。

<被爆障害は、5年後ぐらいから出てくる>
熊森:放射能を恐れすぎるなと言う方も出てきましたよ。
小出:それは愚かな人です。ドイツのレントゲンが放射能というものを見つけたのは、1895年なんです。エックス線です。その正体をつきとめようと研究したキュリー夫妻は2人とも身体がボロボロになりました。夫人は白血病で死にました。その後もたくさんの人が放射線に被爆をして、命を落としていくという事態が続いたのです。
広島原爆の後、米軍は、放射能が人間に与える影響を調べるために、ABCC(原爆傷害調査委員会)という研究所をつくりました。
5年後、どうも白血病が増えているということに気付きます。10年後くらいから癌が増えてくるということがわかりました。

<核の世界は、奥山生態系同様、人間がコントロールできない>
熊森:湯川博士が、核の世界は人間にはコントロールは無理だと言ったとか言わなかったとか、最近ネットで議論されていますが、先生はどう思われますか?
小出:核エネルギーを利用しようとすると、必ず、核分裂生成物という放射性物質ができます。これを無害化するための研究を、人類は70年間続けてきたのですが、無害化できません。それなのに、原子力利用を進めるなど、論外です。人類は原子力利用研究をしてはならない。ただ、すでに造ってしまった大量の核のゴミを、なんとか後世に重荷にならないようにする責任が、今の私たちの世代にあると思います。その研究はしなければなりません。
熊森:除染は移染でしかありませんが、消染に成功したという話がネットに出ています。
小出:有り得ません。完璧に有り得ません。だから私はやるなと言っているんです。放射能は、燃やそうが煮ようが水をかけようがEM菌をかけようが、何をしても消えないのです。汚染された瓦礫を燃やせば、焼却灰の中に、猛烈な濃度で残っています。
熊森:今日、先生のお話をお聞きして、核の世界と、私たちが取り組んでいる奥山生態系の世界が、永遠に人間がコントロールできないという点で、全く同じであることがわかりました。
結局自然界には、人間の頭ではどうしようもないような、どんなに科学を発展させたところでコントロールできない、神の領域があるということですね。
そういうところに中途半端に手を出すことによって、取り返しがつかない事態を招いてしまう。現代人は、科学万能信仰に冒されて、傲慢になっていることに気付かねばなりません。
小出:人間には、わからないことを、わかるようになりたいという欲求があります。そして、知識を増やしていくわけですが、その知識をどう使うかは、知恵です。こちらの方は、ソクラテスの時代から見ても、全然進歩していません。
熊森:人間って愚かな生き物ですね。
小出:そう思います。ある程度、科学の進歩にたがをはめないと、暴走してしまうでしょうね。

以上、いろいろ書き綴ってまいりましたが、今回もまた、小見出しの二つを残して書ききれませんので、次回に廻させていただきます。
この、くまもり協会72号は又10部づつ取り寄せて、友人や知人に配ってゆこうと思っております。何ら元活動家らしきこともできず、生活に追われ、生き恥をさらしている自分ですが、せめてもの出来ることは誠実に実行してゆこうと思っております。 (2012-08-17早瀬達吉)

【出典】 アサート No.417 2012年8月25日

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