【コラム】ひとりごと -大阪秋の陣:反橋下・反独裁で統一すれば—
○大阪府知事選挙は、11月10日に告示され、前池田市長の倉田候補・大阪維新の会松井前府議・共産党推薦の梅田候補などが立候補し、事実上、倉田・松井の戦いとなった。○一方、大阪市長選挙には、現職の平松候補、そして大阪維新の会代表の橋下候補が立候補した。○これで、大阪維新の会VS反独裁連合の闘いの構図となり、まさに「大阪秋の陣」がスタートし、共に27日投票日に向けて、論戦が繰り広げられている。○今回の選挙は、任期途中の橋下が、大阪市解体実現のため、知事を辞任し、知事・市長のダブル選挙にする、と宣言したことから、大きな注目を集めることになった。まさに橋下の仕掛けで始まったわけである。○橋下の狙いが、大阪全域を「独裁的」に支配したいことにあることは明白である。しかし、候補者選びから、すでに躓きが始まった。○アナウンサーの辛坊次郎、元横浜市長中田、前宮崎県知事東国原、民間公募の府立高校校長、果ては堺屋太一まで、すべて実現しなかった。名前が上がっては消え、橋下も「意中の人」がいる、と公言してきたが、結局誰も手を上げず、維新の会府議団長が候補となった。○ここは、ポイントである。WTCを府庁に、と「思いつき」に頼って購入したものの、東日本大震災で被災、90億で安い買い物と思いきや、防災補強など今後1200億円が必要と試算されるほどの「安物買いのゼニ失い」となった。○うそ八百は、橋下「知事」なら、突き通すだろうが、候補に名が挙がった人々は二の足を踏んだことは想像に難くない。○さらに、橋下に大きな逆風が吹き始めた。10月発売の「新潮45」を皮切りに、ジャーナリズムが、橋下批判をスタートさせた。それは週刊誌にも及び、発売日に完売する程大きな反響を呼んだ。○まだまだ橋下人気は根強いものがあるのは事実だが、「そこまで言わんでも」から、「人気にあぐらをかいて、やりすぎ」という空気も出始めているように感じるのは、私だけだろうか。○一方の「反橋下」陣営も、候補者選びでは最後まで混迷した。○自民党府連が、参議院議員の丸山弁護士に要請、民主党は郷原信郎弁護士に要請した。いずれも実を結ばなかったが、前大阪市長会会長の倉田薫氏が、「府内市町村長の支持をいただけるなら」との条件を付けて出馬の意欲を見せると、事態は急変し、倉田出馬に流れが動き始める。○ある市長の話によると、橋下は中学校給食の補助金を予算化した。しかし、各市によっては耐震化を優先したいところもある。橋下は、中学校予算の活用に逡巡する市長に対して、次の選挙で対立候補を立てるぞと、発言したという。このような「地方自治」も「分権」とも無縁な対応に、府内首長も怒り心頭に達して、21首長が倉田支持を公表、30首長が応援に回るに及んで、倉田出馬が決まったと聞いている。○まさに「独裁政治」。反独裁の一点で、良心のある政治勢力は結集する必要がある。○その点で評価したいのが、大阪市長選挙における共産党候補の立候補見送りである。これまで、共産党の政治姿勢を批判してきた筆者だが、この点は大いに評価したい。今後の国政選挙等でも、大局に立った決断が続くことを期待したい。○さて、公明党である。わけのわからない「自主投票」を決めたらしい。共産党の判断と比較すると、なんとも理解に苦しむ。次期衆議院選挙での協力関係を考慮して、と報道されている。府民のための政党ではないことを、改めて証明したにすぎないのだが。○大阪市長選挙について、10月末に2000世帯を対象に選挙リサーチが行われた。橋下候補支持率38.5% 平松候補支持率37.5%との結果であった。まさに接戦・がっぷりよつという状況である。○橋下のマスコミ露出度の多さと逆風の中、橋下の街頭演説への参加が少なくなっており、ますます「キレル」ことが多くなったと伝わっている。「人口10万人の市長が、880万人の大都市のトップには絶対なれません」などの発言も、直ちにネットで暴露されている。○地方自治を破壊する大阪都構想を断固拒否し、地方独裁政治をストップさせるために、府民・市民の良識が問われる選挙となるだろう。(2011-11-13佐野秀夫)
【出典】 アサート No.408 2011年11月19日