【コラム】ひとりごと—統一地方選挙を大阪から考える—

【コラム】ひとりごと—統一地方選挙を大阪から考える—

○今回の統一地方選挙の特徴の一つは、都道府県議会議員選挙で、自民党が大きく議席を後退させ、民主党が躍進したことである。○茨城、東京、沖縄を除く44道府県議選が行われ、合計2544の議席内訳は、自民1212人、民主375人、公明181人、共産100人、社民52人、国民新1人、諸派40人、無所属583人という結果となっている。○自民党は101議席を減らして過半数を割り込み、民主党は63議席増で全都道府県で議席を確保した。○しかしである。我が大阪府では、自民党は議席増を果たしており、民主も横ばいと言う結果となった。そこで、どうして大阪ではこんな結果になったのか、分析してみることにする。○まず、大阪市・堺市を見てみよう。両政令都市を合わせて、1人区が17区、定数が2人以上の区が12区ある。1人区で自民党は13人が当選(13/17)、民主党はわずかに2人。圧倒的に1人区では自民党が確保している。定数2人区以上の12区では、自民党が7名、民主党が7名と互角の戦いであった。○もうお気づきの方もいるだろうが、自民党が当選した1人区は、すべて公明党候補は立候補していない。2人区について見ると、自民公明が1名ずつで独占した選挙区は、大阪市内では淀川区のみ、堺市では2人区は、自民公明が棲み分けをして、5区を分け合ったが、堺区では自公が立候補したが、自民党が落選している。○大阪府内の衛星都市部では、2人区で自公が独占したのは4選挙区だが、残り1区では、自民候補が落選している。○合計大阪の2人区で、自公が立候補した場合、自民は6区中、2区で落選していることになる。○要するに、自民党が単独で闘った場合は、公明の支援を受け、公明は1人区では立候補せず、立候補する場合は、自公で分け合える場合のみである。○大阪の場合は、自民の当選が完全に公明党支援なしにはありえない、ということになる。もちろん、それだけ公明党・学会の勢力が強いということである。○自公政権と言う枠組みであるから、これらの選挙協力はなるほどというわけだが、許せない事態もある。○公明は、労組関係にも、個別のバーター攻勢を積極的に行い、今回の統一地方選挙でも、一部の産別労組が、一部の選挙区で民主党候補の応援を行わなかったことは、紛れも無い事実である。○過去の統一地方選挙において、連合系産別労組と公明が、交換条件を付けて、票をバーターすることは常態化していた。社公民路線の時代があり、反自民連立政権の歴史があったわけで、その時代としては理解ができた。○しかし、政権選択が問われる今になっても、こうした「悪弊」が存続していることはいかがなものか。○弱体化した自民党地方組織と公明・学会の集票マシーンの利害が一致しているわけだが、これを突き破らずして、あるいは分解させずしては、政権交代など、夢のまた夢ではないか、と思うのは私だけであろうか。(佐野)

【出典】 アサート No.354 2007年5月19日

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