【コラム】ひとりごと —NHK受信料不払いについて—

【コラム】ひとりごと —NHK受信料不払いについて—

○NHKの不払いが依然高水準にある。不払いが対象世帯の3割を占めるとも言われている。ETV特番「問われる戦時性暴力」が、政治家の介入によって変更されたのは2001年のことであるし、以来、プロデューサーの横領事件など不祥事が続発、従来支払っていた人も「不払い」に回ったからである。○現在、実際に契約している割合は、一般世帯で70%と言われている。契約者であっても障害者手帳所持者や生活保護世帯には受信料免除制度があり、実際の支払い者は、どれ程の数字なのであろうか。H17年度の連結決算によると、受信料収入は、前年比96億円減収の6319億円。さらに未収受信料償却費に300億円増の610億円が当てられている。○私自身は、社会に出て以来、一度も払ったことがない。勧誘員とも幾度も「交渉」し、未契約のままである。大学卒業後数年間、同和地域に住んでいたが、一度も「勧誘」はなかった。結婚して地域外の公営住宅に転居したとたん、「勧誘員」が現れた。お世辞にも丁寧な対応ではなく、脅しに近い「勧誘」であったが、「差別体質」が許せなかった。以来ブラックリストに載っているのか、20年余勧誘はない。○現在増えている「不払い」は、私のような未契約者ではなく、契約者が不払いに転じているわけである。1950年施行の放送法では「NHKの放送を受信できる受信設備(テレビ)を設置した者はNHKとの間で受信契約をしなければならない」とある。1950年と言えば、私はまだ生まれていない。テレビがある家庭は余程裕福な家庭であり、貴重品の時代である。現在のような、商品流通・広告経済も発達しておらず、高度成長はまだ先の時代である。国内放送を整備するのに、「受信料」を徴収する必要も、時代としてはあったのかもしれない。○学生運動で揉まれた私には、NHKは「自民党の手先」としか映らなかった。しかし、現在の不払い急増の根本原因は、NHKの存在そのものに内在する問題が噴出しているからであろう。民間放送が広告収入により、無料であるのに、何故NHKが有料なのか。「公共放送」というなら、最低限のニュースと天気予報だけで良いではないのか。さらに、インターネットが普及し、ニュースも天気予報もテレビは必要ない。○経営改革を打ち出したNHKは、第三者組織「NHK“約束”評価委員会」を立ち上げ、6月27日報告書を公表した。その中で興味深いのは、NHKの番組を見ている平均時間に世代格差が著しいということだ。若い世代では一日平均30分以下であるのに対して、60歳台では1時間40分であり、NHKの視聴者は、高年齢に偏っているという。○高齢者は受信料を払うが、若い世代は払う必要性を感じていない。○受信料の減収が止まらず、政府も動き出し、2008年から受信料支払いを義務化するという。政府が焦る理由は他にもある。地上デジタル化という問題である。2012年からは、アナログ放送が終わり、地上デジタル放送のみの放送となる。民間放送も、地上デジタル化に膨大な投資を必要としており、特に地方民間放送の経営は厳しくなっている。NHKもH17年度に500億円のデジタル関連投資を行っている。デジタル化に伴う投資のためにも、受信料収入の増加・安定化が必要となっているわけだ。○テレビが貴重品でなくなり、有料放送には、それなりのメニューが用意され、必要な人は契約するというシステムの中にあって、NHK受信料の問題は、単に法律で義務化するとか、未契約者は罰するとか、「義務化」の枠の中では、決して解決していくとは思われないのである。当然、私は未契約を貫くだけだが。(佐野秀夫)

 【出典】 アサート No.344 2006年7月22日

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