【コラム】ひとりごと–医療改革はどこへ–

【コラム】ひとりごと–医療改革はどこへ–

○最近気になるのが医療を巡る問題である。小児科医や産婦人科医が不足している事が吉村先生との対談で話題になったが、医療を巡る問題はおそらく今後、財政再建の面のみならず、根本から改革の対象とすることが必要だろうと思う。○まず、医師をめぐる問題である。最近関係者から聞いた話だが、関西の私学の医学部の場合、卒業までに最低1億円の「学費」が必要であり、さらに2億・3億必要な医学部はざらであるということらしい。○投資をしたからには、回収が必要になる。福祉系の仕事をしている私自身、レセプトを見る機会も多い。はっきり言って、医者は病気を直すのが仕事ではない。「病名」をつけるのが仕事だと感じる場合が多い。○小児科や産婦人科ははっきり言って儲からない。検査して多数の病名を列挙して、薬をたくさん出す、そうしないと儲からないらしい。○日本はどういうわけか「医者」の診断書がなければ、障害認定も労災認定もできない。介護認定もそうだ。にも関わらず、医師免許の更新制もなければ、どんな治療をし成果をあげたかも、情報公開されていないのである。この医者天国をどうにかしないといけない。○医療費の算定の仕方、保険制度のあり方も、現状のままでは、先が見えている。医療費の自己負担の引き上げばかりで「改革」をしたというのが小泉改革である。この「聖域」こそ破壊の対象だと思う。○次に必要なのは、病気に対して「健康」をどう守るかについての国民の意識改革であろうか。健康ブームと言われるが、それは一方で、生活習慣病など「病気」が蔓延している社会である事の反映である。健康不安があるからこそブームなのである。○長時間労働やストレスの蓄積は、確実に身体を蝕む。社会のシステムそのものが、「不健康」を生み出しているのである。○一方で「代替医療」への関心も高まっている。セルフメディケイション・漢方などなど。医者に頼らない健康管理は、医療制度への挑戦とも言えるのではないか。○こうして「医者不信」の私は、3年間以上医者のお世話になっていない。健康であり続ければいいと願うばかりであるが。(佐野秀夫) 

 【出典】 アサート No.338 2006年1月21日

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