小野暸さん講演録を読んで【感想2】

小野暸さん講演録 「21世紀のグランドデザインをどう描くか」を読んで

【感想2】 講演「21世紀のグランドデザインをどう描くか」に参加して 
 講演会の連絡をいただき、こうした会への参加は何年ぶりかもう忘れたが、とにかく久々であった。講演会では、唯物論とか観念論、疎外の三形態など最近の私の目には触れていない懐かしい言葉が並んでおり、大学時代にタイムスリップしたようなひと時であった。聞くほどに普段使っていない脳の一部が刺激され、こうした場と疎遠になっていた私には、久々に心地よい機会となった。
この講演で、まず、私の実感とピッタシと重なったのは、アメリカによる世界一元支配化をめざす動きについてであった。子どもも大きくなったせいか、最近、家族で映画を見に行くことが多くなり、映画の題名は「インディペンデンス・デー」とだったと思うが、宇宙からの侵略に対して、総指揮官はアメリカ大統領であり、誰に相談する訳でもなく攻撃に水爆を使い、一人で動いていた。「何で、お前が決めんねん。」というのが私の直感であった。一緒に見ていた子どももそう感じていた。民も官も通じて、アメリカという国は、自分達が中心に世の中が回っているような錯覚に陥っているのではないだろうか。巨大な軍事力を駆使してアフガンを制圧し、次はイラクを狙っている。特に最近の動きには、ニュースを見るたびむかついている。
 次に、新たな気づきを与えてくれたのが、組織というキーワードであった。大学時代から学び、対立物としてとらえ、善と悪、水と油と考えてきた社会主義と資本主義が、実は組織を前提とした同じ穴の狢という話に、「おお、そうか」と大きく膝を打ちたくなるような驚きがあった。
 この組織に関わって、自由、平等、博愛を実現する形態として小野さんの持論である「万人企業家社会論」の紹介がなされたが、これも確実に急速に進んでおり、会社という組織を離れ、独立する人、せざるをえない人が増えている。私の周りの独立人は、自らの意思で組織を離れた人たちであるが、その自由と責任のあり方を楽しんでいるかのように私には見える。「では、自分は」と問いかけてみると、残念ながら、自分にはこの組織を飛び出す勇気がない。勇気というよりも自信がないのである。独立に耐えるだけの自分の売りが何であるのか、見えていないのである。今の自分には、組織だからできることを考える方が前向きのようである。
 紙面が限界に近づいたが、書くほどに新しい想いが頭に浮かんでくる。いい話はやはり頭に長続きするようである。感謝!(W)

 【出典】 アサート No.292 2002年3月16日

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