【コラム】ひとりごと–雇用不安・失業率戦後最悪について思うこと–
◆長期不況は益々、深刻で、完全失業率は戦後最悪の4.3%を更新しつづけ、有効求人倍率も統計史上、最悪の0.48倍となっている。実際、職業安定所に行くと、職を求める人、失業給付の手続きに行く人で殺到している◆安定所職員の話によると、求人開拓の努力で、求人数は昨年より若干、増えているとのこと。しかし、それ以上にリストラが進行して、悪化の傾向にあるらしい。また最近では、ニーズに応えて午後6時30分まで開所しているのだが、夕刻に訪れる人も結構、多いとのこと。その人達は、今現在は仕事があるのだが、どうやら会社から内々にリストラを宣告されて、職探しに来ている人も多くいるようで、やがて、こういう人達も失業者としてカウントされると思うと、空恐ろしい感がするという◆政府は緊急景気対策と銘打って、7兆6379億円もの補正予算での措置を行っているが、その内容は、合いも変わらず6割が公共事業などの社会資本整備費。そして3割が、金融特別対策。公共事業が景気に与える影響には疑問があることは定説になってきていると思うのだが。それよりも今日の不況の要因には、個人消費の冷え込みも大きいと思うのだが、減税は、不評の地域振興券とやらで、もっと低所得者から中堅所得者全般に行き渡る消費効果を高める政策を打ち出すべきではないか。そして、なお思うのは雇用対策費は、たかだか1,246億円。特に低成長期に入って以降、景気が回復傾向にあったとしても、経営側は雇用を抑制する姿勢にあり、必ずしも景気と連動しないことを見ると相当、意識的に雇用創出政策を打ち出さないと、雇用不安は一層、固定的なものになるのではないかと危惧される◆若干、話は変わるが、自自連合の絡みで消費税の引き下げも議論されているが、政府は安定的税収確保のために、引き下げには応じる姿勢にはない。福祉目的税として限定する代案もささやかれているが、そこで筆者がかねてからの持論を敢えて言いたい。消費税を3%にする変わりに税収を大きく落ちこまさないためにインボイス方式にする。そうすれば消費税の取りこぼしもないし、税に関る不公平・不透明感も解消される。おそらく、これを実行すれば、商工業者からは、相当の反発が予想されるし、政治家が口にしないのは、大幅な票の落ち込みを気にするからだろう。しかし我々、賃金労働者から見れば、何かと私的なものまで必要経費に落としているところを見ると何とも言いがたい不公平感を持つ。所得の透明性と公平な負担、そして減税と一体的な税政策も望みたい。(民)
【出典】 アサート No.253 1998年12月19日