【投稿】障害者問題 雑感
最近いくつかの出来事が、個人的にありまして、「障害者問題」(この表現には少し抵抗がありますが)に重なり合うことが多かったので、少し意見をまとめてみました。
<コンピューターと障害者>
これは、テレビで紹介していましたが大阪のボランティア団体のことです。(団体名は忘れてしまいました)障害者の人々のための「コンピューター(以下はPCとします)講座」を行っている団体が大阪にあるそうです。それを運営するスタッフの皆さんと参加する障害者の皆さんの有り様をドキメンタリーで描いていくものでした。
障害者が自立して生計を立てていく、給料をもらうためには、PCを使いこなすことは、結構可能な状況の皆さんが多いようです。車イスの人や、かろうじて手だけが、動く人たちも熱心にがんばる姿を描いていました。その中で、関西電力やその他の会社が、この団体からの要請に対して「仕事」を出していこうという場面もあり、企業や社会の「障害者自立への理解が少しは進んできたのかな、と感じた次第です。
また、この団体の「キャップ」のおばさんが、中々しっかりしていまして、お茶をにごすだけの講座ではなく、初めてPCに触れる人にも自立のための厳しさを要求する姿勢などがあり、とてもさわやかな番組でした。
<労働組合が全盲の書記採用>
次は、労働組合の本部が全盲の書記を採用した話。自治労の本部(東京)のことですが、全盲の女性を書記採用し、機会があってお話を聞くことができました。大学卒の女性ですが、盲導犬を連れての移動だったそうです。大阪に着いた日に大阪駅で食堂に行ったそうです。ところが、「ペットお断り」ということで何軒も断られた末に、やっと食事ができたそうです。盲導犬はペットだというのです。「東京ではこんなことはもうありません」ということなので、大阪は遅れているな-と感じました。(ちなみに盲導犬が食堂で料理を注文するわけではありません。盲導犬用のペットフードを日に1回食べるだけだそうで、彼女の食事中はテーブルの下で寝ていました。
共に生きることは、いっしょに働くことでもあるわけで、私の自治体には、車イスの人もいませんし、今度障害者雇用で要求書を出してやろうか、と考えているところです。
元気な彼女に、また会いたいものです。
<障害者カヌー協会のこと>
実はこれを書こうと、ここまで引っ張ってきました。最近設立されたこの団体。マスコミの注目度はトップクラスです。5月(?)には日経新聞の最終Pの欄で、副代表の吉田さんが文章を載せていましたし、最近毎日新聞も取り上げていました。
京都と奈良の障害者団体が中心になり、障害者のためのカヌー教室を始めたのが4・5年前でしょうか。私も、京都嵐山・和知などで開かれた教室にボランティアで出かけていました。(最近、中々行けないのが残念ですが・・・)
関西だけか、と思っている内に、今では北海道、栃木、大分でも障害者カヌー教室が開かれ、これがバックボーンで、今回「障害者カヌー協会」が設立されました。これら各地のカヌー教室(パラマウント・チャレンジ・カヌーと呼ばれています)の年間の集大成・全国大会が9月奈良の吉野川で開催されます。
上半身の自由が何とか効けば、カヌーはOKです。パッドでもかまして、腰は固定できますから。元気な障害者、といえば失礼ですが、一人で1BOXカーで乗り付けて、自分で降り、ごろ石だらけの河原を車イスでスイスイと乗り越え、カヌーを自由に操る「障害者」を見れば、「障害」って何だったのかと感じます。また、最近はボランティアも大学生などたくさん参加してくれるそうです。
関心のあるかた、資料を送りますので、ASSERTのNIFTY-ID までメールをいただければ幸いです(佐野)
【出典】 アサート No.224 1996年7月20日