【投稿】社会党は解党して出直せ!
92年の社会党は、ここ数年になく混乱していた。PKOへの対応、参議選の敗北、政治腐敗の追及、緊急政治改革への対応等々。考えればむしろ今に始まったことではなく、土井人気による上昇の中で隠ペいされていた矛盾が吹き出したにすぎないのであろう。極め付けは、年の瀬の「突然」の田辺委員長の辞任表明と山花書記長への候補者「一本化」の動きである。以下、これまで社会党を支持し、日本の将来を託してきた者の一市民としての立場から、今の社会党の現状に対する思いを巡らせてみたい。
確かに社会党は日本の民主主義運動の大きな一翼を担ってきた。社会党の存在とそれを取り巻く大衆運動の力がなければ、日本の社会と市民は今以上に閉塞状態に置かれていたであろう。だからこそ人々は社会党に期待し、党勢以上の票を獲得出来たのである。この支持度合の中身の分析は別に必要ではあるが、時々の自民党の暴走を一定食い止めてきたのは事実である。
ところが今の状況はどうか。政権獲得を叫べども具体的な政策は見えず、むしろ個別具体的な課題になればなるほど、わかりにくさが鮮明になってくる。党内左右の対立は、語られてきたものであるが、今やわかりにくさの象徴になってしまっている。党改革も遅々として進んでいない。また、以前なら金銭に絡む政治腐敗と言えば自民党のみの問題であったが、ここ最近の諸事件には必ずと言っていいほど社会党の名前が出てくる。国対政治の中での金銭のやりとりは、公然の秘密にすらなっていると言えよう。それらの腐敗は中央のみにとどまらず、地方レベルでも広がっている。
関西では尼崎市や高槻市の問題をはじめとしてそのだらしなさが指摘されている。
こんな事態で、はたして当面の目標としている解散・総選挙に勝てるのか。まず無理であろう。次期委員長の山花では、土井前委員長に比して、イメージ的に言っても映えるものがない。何より党内左右に気を使って大胆な提起も出来ず、例によって調整人事の中から決められていることに市民はヘキヘキしているのだから。
この際「解党的出直し」などと生温いことを言わずに、解党してしまう必要があるのではなかろうか。政治腐敗のウミをすべて公にさらけ出し(浜幸が本人の希望で証人喚問に出て「野党のこともしゃべる」と言っていた時は本気で期待してしまったが)、全ての真実を明かにした後に、堂々と解散してはどうだろうか。議員辞職に値するものは当然政治の世界から身を引いていただき、残されたものによって、魅力ある政策を徹底して議論し、我々市民に指し示してもらいたいのである。必要ならば、日本新党等の新興勢力や既成政党の良識派と結びついていっても良いだろう。連合との関係も、その中の具体的な政策課題を通じて整理して行けば良いのである。
新年早々、いささか子供じみた暴論になってしまったかも知れない。しかし、冷戦のツケが回って混沌としている国際社会への対応と国際貢献のあり方、バブル崩壊後の複合不況と呼ばれている経済の状況の下で改めて認識された生活の「豊かさ」の中身、そして来るべき高齢化社会への対応等々、日本の政治が解決しなければならない課題がこれほどまでに山積みし、まさしく平和と民主主義の目的ありようが問われている時に、その担い手たる社会党の現状を見ると余りに悲観的になり、新党の登場を待ち望まざるを得なくなるのである。
労青の機関紙という場を借りて私見を述べさせていただいたが、(こういうことができるのも「旗」ならではなのだが)私の職場の同僚と議論していても、良心的な者は同じような思いを持って、今の政治そして社会党を見つめているのだ。「旗」の読者の中には社会党員として第一線でがんばっている方もおられるだろう。労青の中にも社会党貝がいると聞く。是非とも同じこの場で、皆さんの意見を伺いたいものである。 (大阪 K.N)
【出典】 青年の旗 No.183 1993年1月15日