【投稿】パート労働法 国会通過参院で附帯決議とともに採択
<均衡待遇って何だ?>
6月10日参院労働委員会で、衆院で修正されたパート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が附帯決議とともに採択された。政治改革法案が今国会で棚上げになるという状況の中で、急遽動き出した政府提出「パート労働法」。まとまらない政治改革で国会の無能ぶりをさらけだす前に、なんとか会期内にまとめる法案として矢面に立たされたようである。
突如の集中審議と「今国会成立を」という国対の強い要請に、ユニオン全国ネットワークでは全国から国会に声を集中して、議員要請や国会傍聴行動、記者会見、街頭宣伝等を勢力的に取り組んだ。もちろん、政府案として提出されたことは前向きに評価できるが、法案の中身はあくまでも「短時間労働者の雇用管理」であり、野党・連合側がこれまで提出してきた「均等待遇、就業条件確保」とは性格を異にする内容であったからである。
衆院における討議結果、以下の内容で修正が行なわれた。
①適正な労働条件の確保、②通常労働者との均衡これが参院でもめた)、③「雇い入れ通知書の発行、④就業規則の作成、⑤3年後に法を見直す等である。
参院では、衆院での修正をふまえ、結局たった1日の審議で通過。その日は午前10時から午後7時までの「残業委員会」となり、「均等待遇か均衡待遇か」をめぐって論戦がたたかわれた。結局、討議をふまえた附帯決議を確認し、「均衡」の概念に関する確認答弁をとるなど異例づくめの法案成立となった。(衆院、参院での討議内容については後述「国会傍聴記」を参照されたい)
とにかくパート労働法は駆け足で衆議院、参議院の労働委員会を通過して成立することになった。今後、法案成立によって6ケ月後の施行前に作成される「指針」の内容をつめること、また3年後の見直し(附帯決議による)をみすえた全国のユニオンでの活動も予定される。さらに微力ながらパート問題ではユニオンの存在を無視できないという認識も広がりつつあり、700万から1000万人ともいわれるパート労働者、今後各地に作られる援助センターへの働きかけも含めてますます、ユニオンの活躍も期待されるところである。
【出典】 青年の旗 No.188 1993年6月15日