【コラム】ひとりごと–細川政権と共産党に思うこと
▼いまさら周知のことを繰り返すのはどうかと思われるのだが、共産党は、現在の細川政権を、「保守反動の第二自民党」政権と位置づけ、自民党政権よりも悪質な政権として、国会の場では共に野党である自民党と共闘することもしばしばである。共産党議員の質問に対して自民党席からやんやの拍手喝宋が行われることも珍しくはなくなった。それが時によっては必要なことも理解できよう。▼しかし、細川首相の「侵略戦争」発言や、韓国訪問の中で表明した「植民地支配に対する反省と陳謝」にまで、もってまわった論理でケチをつけるのはどうにもいただけない。細川首相は、日本語強制や創氏改名など日本の植民地支配の中での具体的な事実を上げて加害者としての反省と陳謝を表明したのである。これは戦後48年も要して、初めてなされた謝罪発言なのである。自民党政権が決して行おうともしなかった行為である。▼ところが11月9日付「アカハタ」紙主張は、この発言の背後にあるものから説き起こしてくれる。「細川内閣は、日本・南朝鮮の新しい関係を作ることによって、自民党政権にはできなかった、いっそう危険な役割をはたそうとしているのです」と述べ、「この態度表明は、連立与党の中枢にいる小沢新生党代表幹事が最近の「朝鮮日報」紙で、日本の戦争責任についても「明かな侵略」とのべていることとの関連でみる必要があります」とくる。したがってその発言の意図は、「米・日・南朝鮮三国の軍事的一体化をめざすものであることは明らかです」というわけである。▼当然、韓国の金泳三大統領が細川首相の態度表明を「歴代自民党首相にはできなかったこと」と称賛、今回の会談を「両国が未来に向かって共同の努力を誓った重要な転機」と位置付けたことも気に入らぬ。金大統領は「韓国外交の基本は米国と日本の関係だ」と述べており、これは米・日・南朝鮮の軍事的一体化をめざすものである、だからとても評価できるものではない。とにかく、細川や非自民連立政権を評価するものは、何がなんでも気に入らぬという論理である。▼現在、連立政権内で社会党などが中心となっ、て大戦中の「謝罪決議」の本会議での議決が目指されているが、自民党の一部議員65人が「歴史検討委員会」なる新グループを作って、これを「絶対に阻止する」と息巻いている。共産党は、細川「保守反動政権」と対抗するために彼らと共闘するのであろうか? (T.Ⅰ)
【出典】 青年の旗 No.192 1993年11月15日