【コラム】ひとりごと–もっと社会に目を向ける「ゆとり」を!–
●年末に、焼き鳥食いながら考えた。居酒屋にはサラリーマンが灯りにひかれる夜光虫のように集い来たり、夜毎消火器と肝臓、そして声帯の鍛錬に怠りない。朝は小生の帰省にかかる時間を超える通勤時間を耐え抜き、休日より会社にいたほうが体が休まるという不気味な実感に甘んじている・・・。今日の日本の繁栄を創り出し、更なる発展に向かってまい進する誇り高きジャパニーズビジネスマン●ビールを飲みながらまた考えた。湾岸戦争から約一年、91年初頭はデモと集会に明け暮れた生活を送っていた。なんとか戦争をやめさせたいとできる限りの努力を注いだ●平日の夕方の集会に参加して感じたことは、なんとスーツ姿の参加者の少ないことよ!オフィス街をデモ行進して感じたことは、夜も8時を過ぎているオフィス街にともったビルの灯りのなんと多いことよ!●年末がやって来た。PKOもなんのその、小生は年末の繁忙期に押し潰され、家と職場をただ往復するだけという生活を強いられていた。新聞もろくに読まないうな生活を一か月ほど続けたある日、ソ連邦消滅のニュースを知らされ、浦島太郎になっていた自分を実感した。日々の労働に追われる生活では、他のことへの興味は(特に社会参加に対する意欲)は、徐々に麻痺していくのだろうか●日本の労働者のエネルギーが別の方向に向いたなら、確実にこの国は変わるだろう。しかしそれにはまず生活の「ゆとり」が不可欠である。小生は声を大にして叫びたい。残業と労働者の社会への関心とは非和解的に対立しているのだ!もっと社会に目を向ける「ゆとり」を!そのためにはなにが必要か、なにから始めるべきか・・・…正月休みにじっくり考えて見よう。(東京 十二指腸潰瘍)
【出典】 青年の旗 No.172 1992年1月15日