【投稿】地域ユニオン運動の状況
「知らせ愛、励まし愛、助け愛、連帯しよう」
このスローガンはわたしが活動している地域ユニオンの合言葉です。わたしも子供ができ保育園や地域とのかかわりできるなかで地元で地域ユニオン結成という話もあり、最近になってかかわりはじめました。そこでみなさんにユニオンの活動を紹介しながら、ちょっとだけ問題提起もしたいと思います。
昨年は大阪でCUNN(コミュニテイ・ユニオン全国ネットワーク)全国交流集会が開かれました。わたしはユニオンに参加したばかりでしたので参加はしなかったのですが、組合員の報告をもとにお伝えします。
全国から集ったのは33ユニオン。その代表約150名が参加。事務局の報告では現在全国で65ユニオン、会員数は約1万人だそうです。活動としては、パートや女性、外国人、派遣、生協・ワーカーズコレタティブなどとのかかわり、市民運動などとの連帯ではばが広がっている、ユニオンの組織化や財政面でもと総評系地区労の解散などで活動のバラツキや停滞状況等がでているなどが報告されています。
開会式の挨拶で、連合組織局長の戸崎副事務局長が「連合も努力しているが、まだまだ大企業中心の労働運動。中小・パートの問題にも力を入れ、パート労働法の実現のために積極的に取り組む。来春、連合としてパート集会をひらく」とあいさつ。ちなみに大阪ということで、このほか大阪総評センター下市議長、社会党の佐藤衆議院議員、山中府議会議員、甲南大学熊沢教授等があいさつしました。
交流会はパネルディスカッション「地域・ユニオン・未来」ということで、各ユニオンの活動交流、「おんな・ユニオン・夢」というテーマで女性陣が活躍、この他に3つの分科会が開かれ、全体を終了しています。
ユニオン運動ではそれこそ秋田のように連合が全面的にバックアップしているところもあれば、独立独歩てやっているところ、地区労の支援で自立してきたところ等があります。運動としてはまだまだですが、ユニオンにはある意味で他の組合がタプーとしていることを地域を拠点に展開しているということで注目されています(マスコミがとびついているだけで、運動としてはまだまだです)。たとえば自治労のなかにも全国で20万人ほど非常勤がいるのですが、このうち組織されているのはほんのわずかです。こうしたひとたちもユニオンに入っています。
本当は自治労自身の問題です。こうした例は民間ではもっとあります。
<労働組合はすべての労働者の味方か?>
いま労働組合の組織率は24.5%です。公務員・教員関係では組織率90%ほどでしょうから、民間の実態はさんざんたるものです。
民間の給与の実態はどれくらいか知っていますか? 国税庁企画課が毎年調査する「民間給与の実態」によると、給与所得者の56.1%が年収400万円以下です。特に女性は73.5%が年収300万円以下です。全体の平均給与は425万円(年齢41.4歳)、男子は520万円(41.8歳、勤続12.7年)、女子は249万円(40.8歳、勤続8.7年)です。全体の54.5%が99人以下の事業所に勤務しています。これら労働者はほとんど組織されていないと言っていいでしょう。また共働き家庭は全世帯の1/3に達しています。
一方で、特徴的なのは従業員5000人以上の事業所では年収800万円を超える人が25.4%もいることです。こちらは大体、労働組合があって、社宅や福利厚生面でも手厚い労働者と言っていいでしょう。連合の中心組合もこんなものかもしれません。(詳しい方がいましたら教えてください)
さて日本の労働組合は企業別で、従業員の組合なのはよくご存知でしょう。つまり企業のなかでは労働組合員でありながら、ひとたび外へ出ると、「企業戦士」(このことばは本当に軍隊みたいですネ)なわけです。自社製品を売らなければ飯が食えないのですから、自分の企業を守ります(本人は知らず知らずこうなっているのです)。もっといえば競争相手とたたきあいます。産別の労働組合の中にもこうした面がどうしてもでてしまいます。
労働組合の事務所や労働会館等も会社のなかにあって組合員以外は入れません。これでは労働組合はそれ以外の人に取っては権力といっしょです。固く門を閉ざした労働組合です。たとえ隣に困った労働者がいても相談する事もできないのです。組合員はそれがあたりまえになってしまっています。
<企業組合のからをやぶるべきだ>
春闘ということばも知らない世代が増えてきました。労働組合運動もある意味でこれまでのやり方では力を持てないのではないでしょうか?組織率の低下や運動のダイナミズムという点でも、これまでのからを破らなければ「公正、平等、連帯」などはスローガンに終わってしまいます。
そこで一つ。企業別組合にとらわれない組織化を地域を基盤に支援してほしい事です。地域ユニオンや全国一般など地域でいろいろあると思います。できるところは組合事務所やセンターでこうした活動の場を提供してほしい事です。そして共済組合員や生活協同組合、労働者事業、労働者基金をつくってほしいとおもいます。よい街づくりにはこうした地域での活動をもとに働くものの広-いネットワークが必要です。
知らせ愛、励まし愛、助け愛、連帯する活動を、誰の目にも見える活動として展開するならば、そこにひょっとすると労働運動の再生のヒントもあるかもしれません。まわりは誰を見ても働いている人が圧倒的なのですからネ。
まあ、こんなことを夢におもいながら一歩一歩やっているのです。
だれか好きな人がいたら声をかけてください。
ユニオンはその地域で働く人、住んでいる人ならだれでも加入できます。
(東京・R.Ⅰ)
【出典】 青年の旗 No.173 1992年3月15日