『詩』 「皇太后」
こんな言葉が突如這い出してきた
「皇太后さま」、まさに天皇制時代の遺物
「万世一系」「神の国」の継承者
6月16日、前天皇の妻「皇太后」が死去したのだった
驚かされたのはその後だ
歴史上初めて共産党委員長が弔意を表明
「私は皇太后の死去にあたり
同じ社会と歴史を生きてきた
一人の人間として、弔意を表するものです」
おりしも衆院解散・総選挙の真っ只中
「神の国」「国体」に対して主権在民が問われているさなか
6月19日、参議院議員運営委員会理事会
皇太后弔詞文を全会一致で可決
賛成した共産党書記局長の弁
「今の憲法を守る限り、天皇制と共存していく
象徴天皇制も国の機構だ
それを担う方がなくなられたので
当然弔意を表す意味で賛成した」
「当然のこと」と胸張りながら
180度の豹変、すりかえ論理
ただただ選挙目当てのこびへつらい
何の断り、言い訳、弁明もない
これまで共産党は皇族への弔意、弔詞文
一切の議決に反対してきたのだ
前天皇死去の際には
「憲法の主権在民の原則に反する」として反対
本会議での議決にも欠席してきた
天皇が「お言葉」のべる国会開会式
これも旧憲法・天皇主権の遺制そのもの
現憲法・「国権の最高機関」を否定し
国政関与禁止の天皇条項にも反するとして
欠席を堅持し続けてきた共産党
これまた何の説明、弁明もなく
これからは「お言葉」をいただくという
そこまでして「神の国」にごついしょう
それでも選挙結果は苦渋の惨敗
幹部が独走して勝手に方針変更
責任とらずに居座りつづけ
党内民主主義などもぬけの殻
幹部はどれもこれも同じ詭弁、同じ言い回し
抗議続ける党員には「査問」と除名
これぞ民主主義と人間の平等に反する
天皇制的唯我独尊制度の遺物
名称変更程度ではすまぬ党の実態
さてそれでも「お言葉」をいただきに行きますか
(M.K)
【出典】 アサート No.272 2000年7月22日