【投稿】メディアは何を伝えているのか?

【投稿】メディアは何を伝えているのか?

PKO法案をめぐり国会は山場だ。かずかずの行動が取り組まれ、傍聴へも多くの人がつめかけている。特別委員会の審議打ち切りと手続きもはっきりしない中での採決があり、参議院での反対派の牛歩での抵抗、そして採決。
この法案をめぐって労働組合での議論や討論はどれほどあったのだろう。そうした組織の中にある人はともかく、かやの外、国会外の人は?
牛歩で二日目ともなると、「どうせ通過するのです」「牛歩は民主主義に反する」などとTVキャスター・アナウンサーは主張し、日頃にない自己主張ぶりを徹底している。もちろん反対派への直接取材はない。このひとことが与える影響ははかりしれない。大手新聞の社説もTVのこのリアルなひとことにはかなわない。PKO法案をめぐって何が起きているのかを客観的に視聴者に提供しない。
面白かったのは、朝日新聞が報じた参院特別委員のメンバーである議員の地元での様子である。後援会幹部が、「先生がそのようなことをなさっているのもまったく知りませんでした」というような報道であった。これが「民主主義」の実態である。もちろんだからといって「国民」の政治選択の責任がなくなるわけではない。一票を投じたのは「国民」である。
これは反対派も賛成派も同様であるが、やはり「民主主義をいかに貫くことができるのか」(実践的)が重要な問題である。現実には、この点で妥協してしまっているのではないだろうか?納得、満足している人はいるのか?現状で上程されている「PKO法案」は、当初の法案からかなりの内容の変更があったにもかかわらず、「審議をつくした」というのは暴論である。自衛隊員からも「わたしは海外へいくために隊員になったのではない」という意見が寄せられているという。そもそも憲法問題もあるこの法案をこのまま通過させて、いったいどのような整合性と大義名分の「国際貢献」をできるのだろうか?法案は通過しても「何もできない」事態が待ち構えている可能性もある。この法案こそ「国民的合意」が必要ではないだろうか?湾岸戦争での「機雷撤去の掃海艇派遣」でもそれは示されたのではないだろうか。

【出典】 青年の旗 No.176 1992年6月15日

カテゴリー: 平和, 政治 パーマリンク