【投稿】エクパット・ジャパン・関西について
私の友人がエクパット・ジャパン・関西(アジア観光子ども買春根絶国際キャンペーン)設立にかかわり、精力的に活動を展開しているのでその紹介をしたい。
★エクパットとは何か?
世界中で毎年100万人を超える子どもたちが、新たに「売春」へと引き込まれていると言われている。たいへんな数の子どもたちが、観光のために買売春の被害にあっている。例えば、タイのある地域では、9才から13才ぐらいまでの少女たちが売春を強いられていたという。まだ第2次性徴を迎える前の子どもたちに対して、家畜用の排卵誘発剤が打たれたため乳房が不自然に大きくなり、下腹部が出てくるなど副作用がありありとうかがえたとのことである。
1990年5月にタイのチェンマイでソーシャル・ワーカーの会議が開かれ、この間題が話し合われた。そして、観光旅行者を送り出している国の組織とアジアの諸組織が協力しあって、観光の中での買春を根絶しようという国際キャンペーンが始まった。このキャンペーンは、英語での頭文字をとってECPAT=エクパットと呼ばれている。
★どんな活動をしているのか
エクパットはその活動の課題と期間(1991年~1993年)を具体的に限定している。それは、第3世界の人々が直面している抑圧のほんの一部にすぎないが、課題を狭く限定することによって、かえって幅広く力強い運動が展開できる可能性に期待し、なによりエクパットを創設した人々がその目標はとげられると信じたからである。
エクパットジャパン関西は、以上のような考え方に基づいて、世界各国や日本国内各地でエクパット活動に取り組んでいる人々と協力して、自らのアジア観、女性観・男性観、子ども観を問い直しつつ、関西の地で子ども買春の問題にとりくんでいる。その際子ども買春の被害者を「かわいそうな犠牲者」と見るのではなく、厳しい体験をくぐり抜けて自分自身の人生を切り拓く主体としてその姿に学ぶこと。買春する人々がいる日本のありかたと、それを支えてしまている私たち自身のありかたを問い直すこと。他のアジア諸国の人々との対等な関係を築くこと。立場や意見の違いを尊重しながら、人権という観点からの共通認識を広げること。を大切な柱としている。
具体的には、旅行斡旋業者や航空会社の各種パンフレットに「アジア観光における子ども買春問題に関わって、日本の責任が問われています。買春はやめましょう」という文面を印刷させる。「子ども買春規制法案」(仮)の必要性を国会議員によって国会で問題提起させる。等を獲得目標としてしてる。
(以上エクパット・ジャパン・関西結成趣意、方針より)
★問題の根深さとその広がり
友人の活動を是非紹介したいということでこの記事を書いたが、何回かの学習会報告を読む中で、この間題の根深さと、関連する問題の広がりを痛感させられた。売春の広告の載った新聞が白昼堂々電車の中で読まれ、韓国や東南アジアへの売春観光が職場でもおおっぴらに話題になる日本の現状の中で、この間題に取り組むことは、まさに日本の人権状況を正面から批判していくことにつながると思う。それは私たちの日常生活そのものの開い直しである。
また、この問題は批准が決った「子どもの権利条約」にも大きくかかわる問題である。「条約実施のために新たな国内立法措置は必要ない」「予算措置は不要」とひらきなおる日本政府の姿勢は、全くこの間題で日本のおかれている立場の認識を欠いている。ドイツでは、国内はもとより、国外で子どもを性的に搾取した者も処罰できる法律が制定されようとしている。
日本政府への追及を強めなければならないと思う。 この記事では、十分にエクパットの活動を紹介しきれていないと思うので、関心のある方は下記のエクパット・ジャパン・関西に連絡をとってほしい。また、エクパットでは、来春までに1000人の個人会員加入と活動資金のカンパを募っているので協力をお願いします。
(大阪 N)
【出典】 青年の旗 No.181 1992年11月15日