【投稿】「社会党党改革案」についての論議に当たっての私見

【投稿】「社会党党改革案」についての論議に当たっての私見

9月21日の全国協議会での討議に備えて、私の思うところをとりあえず述べさせていただきます。
この間題を検討する際に私の頭に上るのは、どのような姿勢・立場で討議に望むのかということです。私は労働青年同盟とその運動を、この日本において「新しい政治の流れを作り出す」一歩であるとかつては位置付けて取り組んできました。かつてと言ってもそう遠い昔ではありません、わずか3年前の労青の正式結成・全国協議会結成の際にそのように主張し、その後1年間ぐらいもそう主張し続けてきたわけです。
そのような私にとって、社会党は我々とは政治的にまったく異なる組織・存在であったわけです。私はこの4月まで都委員会の責作者をやらせていただき、また責任者となる直前の数年間は都委員として働かしてもらいました。その間私は同盟員に対して「基本的には社会党に入るべきではない」と「指導」し続けたわけです。地域で活動している仲間に「社会党の候補として区議選に出てみないか」という話があったときも、止めさせたことを覚えています。
私のその頃までの認識からいえば、既存の政治組織・民主団体・民主運動を始めとして、その周囲に結集する多くの人々に、「我々が作り出す運動の正しさを、実例の大衆運動、あるいは政治運動によって示すことによって、それらの政治組織・民主団体・民主運動を始めとして、その周囲に結集する多くの人々を我々が作り出す運動に結集させて、世の中を変えていく力を作り出す」というものでした。まあ勿論これほど単純に主張していたわけではありませんし、反独占統一戦線の一翼」を担うなどといちようは控え目に言っていたわけですが、まあ単純化して言えばこんなものだと思います。今から思えば非常に尊大な考えで恥ずかしくなりますが、これが笑うに笑えない事実のわけです。そういう私にとっては、社会党と、その周囲こ存在する多くの運動は「我々」が目指す運動をより広げ、量を拡大していくための「道具・手段」のようなものとして捕らえられていたわけです。従って、社会党の存在とその運動を支え、その周囲に結集しているさまざまな民主運動や社会党に積極的に関わり、そのことを通じて、また社会党の持つ影響力を有効に活用して、社会を変革し、新しい社会を創造していく運動とそのネットワークを広げていくというような活動には全く無関心、冷淡であったわけです。
私は恥ずかしい話ですが前述したような私の過去の姿勢に十分な総括を加えることもなく、今までとは全く異なる姿勢で社会党および、その周囲の運動に対して今日臨もうとしているわけです。そこで、是非論議に先立ってどのような姿勢で討議に望むのかを論議していただきたいと思います。それは、労青がどのような性格を持つ組織として存続していくのかということとも深く関わってくると思います。
社会党との関係から労青の今後のあり方を考えますと(労青の今後のあり方を考えるのは、別にこの視点からだけに限られるものではないと思いますが、とりあえず今回はこの視点から)、第一に、「社会党という存在がありながら(あるいは社会党だけではないかも知れませんが)、なぜ我々は独自に労働青年同盟という組織を構える必要があるのか」という問題が出てきます。この点に付いては私は、私の知る限りにおいては、社会党に満足しているものではありませんので、現時点では、漠然とした感じではありますが、労青という組織の必要性を感じています。
では、労青という独自の組織の必要性を認めた場合、労青はなにになるのでしょうか、「社会党の中のフラクション的存在」になるのでしょうか。「社会党の中のフラクションとして労青は存在する」などと言えば、真面目に社会党をやってる人から叱られますし、「自分は別に社会党に入ってやっているわけではないが、労青はやっていきたい」という人もいるかも知れませんし、これはチヨット難しいかと思います。
そうすると、労青というのは「平和と民主主義をこの日本においても、世界においてもより徴底させ、より民主的、より公正で公平な社会、よりよい社会、よりよい世界を目指す人々が、(建て前としては)自民党に入っている人から日本共産党にはいっている人までだれでも自由に参加できる、学習・研究・討論・社会啓蒙グループ」というようなものになるのでしょうか。私としてはこの方向に進んでいくのが良いように思います。しかし、私達の組織の生い立ちを考えると簡単には進まないと思いますが・・・。
いずれにしろ「自分は社会党とこのように関わる」と決めている人はよいと思いますが、私をはじめとして、どのように臨むのかをまだ考えあぐねている人も多いと思います。そこで、全国協議会の場ではまず最初に、労青の同盟員と社会党およびその周囲の民主運動との関わり方としては、(注:労青という組織と社会党およびその周囲の民主運動との関わり方についてではチヨッと課題が難しいと思いますので、とりあえず同盟員の関わりについて、)「このような姿勢」「あのような方法があるんじゃないか」「こんなふうに考えている人もいる」、というような意見、実情を何種類か確認していただけたらと思います。そして、その上で社会党の党改草案に付いて論議していただけたらと思います。
(1991.09.05.東京 W.K)

【出典】 青年の旗 No.167 1991年9月15日

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