【報告】新時代に対応した運動の模索・・・第59回自治労大会報告

【報告】新時代に対応した運動の模索・・・第59回自治労大会報告

第59回自治労定期大会が、8月24日~27日までの4日間にわたって秋田市で開催された。連合が結成されて約2年、名実共に連合の中核的役割を果たす自治労が、90年代の時代の変化に対応した自治労運動をいかに展開するかが問われる重要な大会であった。
運動方針は、「基調」を「基本的考え方」に改める等、一定の工夫をしつつ、連合を中心とした新たな労働運動の展開、全般的な労働者の組織率の低下、様々な社会構造、政治状況、価値観の変化を意識して、何とか新時代に対応した組合運動を展開しようとする姿勢がうかがえる。

<組合員意識の変化に対応して>
今年の運動方針の特徴の一つとして「—組合員のニーズの多様化、—組合員の意識と価値観は大きく変化しています。組合運動を従来の枠組みや経験的手法にとどめる事なく、常に自己革新していくことが必要です。自立した組合員の創意や多様ニーズを包括することによって、新しいエネルギーと活力ある組合運動の活性化をめざします」と多様化する組合意識を把握した運動の構築を唱えている。これに対する大会論議、自治労大会に先駆けて行われた7月16日・17日の組織集会では一定程度、評価する意見と「やはり労働組合としての結集軸は、『賃金・労働条件・反合理化闘争』であり、『多様な運動形態』とは、組合の本来の役割と団結を弱めるもの」といった意見とが出され、まだまだ全体としての意識改革・理解が得られたとは言い難いものだった。

<連合の中の自治労の役割>
また労働戦線統一以降、連合の中でも最大単産である自治労が、連合の「力と政策-制度・政策闘争」を推進するために、その中心的役割を果たすべきだとする一般論には異論がない。しかし各論となると様々な意見が交錯する。例えば「反行革・直営堅持」から「公的サービス体制の確立」へとトーンが転換され、現業評議会を中心に不満が出された。また道州制についても従来の一定、「道州制反対」の立場から「地方分権を促進する『地方主導型』の構想については、その可能性について検討を行う」と変化しており、市町村職を中心とする代議員から本部の具体見解を質す意見が出された。
こうした連合傘下における自治労の役割に対する「思い」の食い違いは、政治課題になると一層、顕著であった。「護憲(自衛隊,PKO問題等)・消費者運動・反差別・反原発」等々の連合の中で不一致な課題では、「総評センターの運動を、より発展させると共に、自治労として連合に強く申し入れるべき」と言う意見が多く出された。これらに対して中央本部からは「自治労としての、これまでの方針を変えるものではない。しかし旧同盟からも様々なことが言われており、連合800万との連帯・共闘の一層の推進の中で理解を得ていきたい」との答弁が出され、連合統一が果たされた今日において、なおうん動的な克服が多く求められていることを如実に示している。
更に政権構想の問題では、「『新しい政治勢力の形成』が—、社会党がその中心を」担う勢力である。—社会党との支持協力関係については、主体性と自立性を踏まえた積極的提言と共同闘争を通じ、相互の自己革新と発展をめざします。92年度参議院通常選挙を—、社会党の前進を期す—。」としており、代議員の発言も従来からの社会党との支持協力関係、連携をより強化すべきと言う意見が大勢を占めた。しかし一方で、統一地方選挙で民社・同盟系候補を支持・支援した単組の報告も出され、今後の連合の提起する政権構想も踏まえた、より全般的かつ慎重な議論が必要であると思われる。併せて職場段階では、常に問題となる「政党と労働組合との関係」という古くて新しい問題について、我々としては再度、議論と問題指摘をしておく必要があるのではないか。

その他、賃金・労働条件闘争、高齢社会に対する総合政策、環境保全政策等々、多くの議論が出されたが、いずれにおいても自治労自身の今後の力量、政策形成能力、運動領域の拡大を改めて問い直されるものであった。
総じて今回の自治労大会は、極めて流動的かつ多様に変化する政治・社会状況の中で自治労が、主体的・能動的に如何に運動を発展させるべきか、その意識も運動も過渡的であると共に、我々の闘いもまた、その中で自らの意見・立場を明確に出しながら、運動の一翼を担っていくことが一層重要である。       (大阪 U)

【出典】 青年の旗 No.167 1991年9月15日

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