青年の旗 1985年7月1日 第101号
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【主張】 85世界大会から宇宙軍拡阻止への統一闘争を!
六月二五日、原水禁、原水協、総評、日本平和委員会、地婦連等十一団体の参加の下に八五原水爆禁止世界大会準備会が発足した。会議では①世界大会は実行委員会が主催する②実行委員会は幅広い団体、個人を結集する③世界大会開催のための準備会を関係十一団体で発足させることが確認された。
しかし、これまでの紛糾の原因であった実行委員会のもちかた、代表委員、運営委員の構成などについては継続協議となっており、引き続き統一大会の開催にこぎつけるまでにはまだ幾多の困難を乗り越えなければならないことが予想される。
今八五世界大会は、おりしも第二次大戦終結四〇周年とともに被爆四〇周年にあたり、世界の平和世論と日本の国民各層からの熱いまなぎしがむけられるなかで開催されようとしている。
こうしたなかで出された六月二二日付の『赤旗』記事は、統一世界大会の開催と平和運動の統一と前進に対する期待と努力を真っ向から否定するものとして厳しく批判されなければならない。その記事「なぜ原水爆禁止一九八五年世界大会の準備がおくれているのか!総評の分裂提案の背景」は、昨年、日本共産党の不当な介入によって原水協代表理事を辞任させられた吉田嘉清氏らが組織する「平和事務所」を「反原水協かく乱集団」と規定し「総評が、ことしの原水禁世界大会について『従来の枠にこだわらず、広く』とか…いっているのは…あれこれの反原水協かく乱集団原水禁運動のなかに位置づけ、ことしの世界大会でかれらを公的に認知させようとするねらいがあるからです」と主張している。
言うまでもなく、原水禁運動は、原水爆の使用・保有・製造の禁止をめぎした政治的・思想的・宗教的差違を乗り越えたまさしく核戦争の阻止を願うすべての個人・組織の結集が必要かつ可能な運動なのである。こうした点からも『赤旗』の主張は、原水禁運動という大衆運動の利益とはおよそかけ離れたものであり、そのセクト主義は原水禁運動にとって極めて有害である。
<分裂させたのは誰か>
一九七七年の禁・協合意により、七年間に及ぶ統一世界大会開催の中から対立を克服しながら協調点を拡大し、まがりなりにも運動体が統一する方向へと前進してきていたにもかかわらず、再び運動の統一を破壊し、運動体の統一の気運を後ろへ追いやったのは誰なのか。
そもそも、昨年四月、日本共産党は発表した「論文」で、総評・原水禁を安保・自衛隊肯定の団体と規定しこれとの共闘を分裂固定につながると拒否したのである。こうした動きは八四世界大会を前にして①原水禁連絡会議の結成の問題②平和行進における団体旗の問題③核兵器完全禁止と日米軍事同盟の問題というかたちで全く国際情勢や運動の発展論理を無視した論争を持ち込むことによって大会開催に至る経過のなかで混乱をもたらしたのである。そして、大会自身は、何とか″統一″の灯を守ったものの『東京宣言』にみられるように軍縮と切り離された″核兵盟禁止緊急課題論”に、GNPい%枠突破など軍事大国化牌線を歩み出しが強調されるなかで、反核・平和の闘いのための具体的な闘争課題の設定と行動計画についての論議が極めて不充分に終わってしまったのである。
そして、こうした事態は、米レーガン政権の日本周辺へのトマホーク配備が日程にのぼるなかで反トマホーク行動を国民的規模で展開することが要請されていたにもかかわらず日本共産党が再び安保容認をもち出したため八四世界大会準備委員会による反トマホーク集会の開催を不可能にしてしまったのである。
もちろん、こうした日本共産党のセクト主義と大衆運動への介入に抗議する声は大きく拡がり、原水協・日本平和委員会等の内においても日本共産党の誤れる指導に抗して運動の統一と前進のために闘う多くの活動家が輩出したことも我々の記憶に新しい。しかしこれに対し、日本共産党は大衆団体の人事、運動論に党自らが介入するといった過去に犯した誤ちをまたもや繰り返したのである。
<被爆四〇周年を平和の年に>
八五年原水禁世界大会の任務は昨年にも増して重大なものとなっている。米レーガン大統領は「SDI」構想を打ち出し、新たに軍拡競争を宇宙空間にまで拡大させようとしている。この構想には、反帝平和勢力のみならず西欧諸国までもが反対しており、ジュネーブで開催されているソ米交渉にすへての国際世論を集中させなければならない。また、レーガン政権とともに、GNP一%枠突破など軍事大国化路線を歩み出している中曾根政権に対する闘いは急を要している。被爆四〇年を迎え被爆者の高齢化のなかで、国家補償に基づく被爆者援護法の闘いは正念場を迎えようとしている。八五世界大会の成功と原水禁運動の大衆的高揚に向けて前進しよう!