青年の旗 1986年7月1日 第113号
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【主張】 SDI阻止!核実験全面禁止!を掲げ
被爆41周年の闘いに合流しよう!
<ソ連の軍縮攻勢>
ソ連はジュネーブでの包括的軍縮交渉第五ラウンドに以下の様な新たな提案を示した。
① ソ米両国がABM条約から少なくとも一五年は離脱しない。これを条件にSDIの作業を研究室の研究レベルに制眼する。
② 戦略攻撃軍備(ICBM、SLBM、重爆撃機)は等しいレベルで制限する。この場合、相手方の領土に到達する中距離軍備の問題は、地上発射の長距離巡航ミサイルの問題点をも含めて、別個解決する。
この間、交渉が欧州各国のソ連領土に到達する核兵器とSDIをめぐり合意に至っていなかった。その間にレーガンはSDIの研究参加に英国、西独などの合意を取り付けたのをはじめ、最近では大気圏でのミサイル迎撃実験に成功するなど、SDlで着実に既成事実を積み重ねている。
このソ連の大巾な譲歩はレーガンの軍拡に足かせをはかせる為の緊急かつ現実的な条件を示したものといえる。何としても軍事的な緊張の激化に歯止めをかけたいというソ連の意欲の表われである。この間ソ連は二千年までの三投階核全廃をゴルバチョフ書記長が提案したのを皮切りに、首脳会談の開催と「軍縮実現」の合意をレーガンとの間で取り付け、停止されていた包括的軍縮交渉、中欧兵力削減交渉等々の再開を実現させた。ワルシャワ条約諸国首脳会談では通常兵力の百万人削減計画提案を行なった。
そして、何よりもソ連は核実験の停止を実行している。昨年の八月六日-アメリカ帝国主義が史上初めて核兵器を使用した-から停止をはじめ延長に延長を重ね、期眼を今年の八月六日に再度設定した。核実験全面禁止は国連の場での帝国主義国以外の一貫した要求であり、今年二月には非同盟六カ国首脳からの「ソ米両国への次の首脳会談までの核実験の停止要求」も出されている。ソ連の核実験停止延長はこの非同盟諸国の提案に答えてのものである。
<被爆四十一周年の闘いへ>
今年の八月六日は例年以上に重要な局面を迎えている。昨年の八月六日がソ連の一方的な核実験停止声明で迎えた以上のものである。反帝勢力は全面的核実験停止に句け、着実な闘いを展開してきた。ソ連をはじめとした社会主義諸国・ワルシャワ条約諸国は、核実験の停止の実例と様々な軍縮提案を指し示してきた民族解放勢力の闘いも、非同盟諸国政府の提案に見られる様に結実している。今、残されているのは、統一した国際労働者階級の闘いである。未だに核実験を続け国際的に孤立するアメリカレーガンを先頭とする帝国主義者の手足をしばる闘いを自国内で展開することが求められている。ソ連が停止の期眼としている八月六日までに何としてもレーガンを包囲する闘いで、核実験の全面禁止に結びつけなければならないのである。
かかる中、被爆四十一周年の原水禁運動が全面核実験の停止に向けて重要な闘いとなっている。しかし、残念ながら、今年は78年以来続いた、禁・協の統一した世界大会の開催が困難な状況に陥っている。その一方で様々な団体が八・六-九を焦点とした取り組みを進めている。
五月に結成された「核兵器廃絶運動連帯」は六月一一日の第二回賛同者会議の発表では、新たな賛同者として一五九団体個人を加え、団体三〇、自治体九五、個人四一四に呼びかけ人三四人を加え、総計五七三に及んでいる。そして、八月の行動として、東京での国際′フォーラム・国民大会の開催を決めている。又、昨年から進められている「草の根市民のつどい86」も取り組まれる。
これらに代表される取り組みは「これまでの」原水禁運動に対するアンチとしての「巾広」統一を目ぎしている為、当面の緊急な課題に対する闘いを困難にしている。核兵器廃絶は一致する。ではその為に今何が必要なのかという課題の選択が求められている。
又、広島のYMCA国際平和研究所ではレーガンに対する核実験停止を求める電報運動を進めている。又日本考古学協会では「原爆ドーム特別史跡指定の請願」運動を進める等、課題の実現に向けた現実的な運動を始めている。
これら、八月六日・九日を焦点とした取り組みが様々な団体で行なわれていることは現実の核軍拡に対する危機感の表われであるし、様々な団体が様々な取り組みで八月六日を迎える事は続けなければならない。しかし、この様な運動の集約の場であり、年間の統一方針確立の場である「世界大会」が開かれない状況は平和原水禁運動に対する決定的な損失であり、日本の反独占闘争の現状を如実に表わしている。
かかる中、我々に求められている事は、全ゆる職場地域で八月六日・九日を焦点とした恒常的取り組みととりわけ今年は核実験の全面禁止を求める声を全ゆる場から築きあげ、広島・長崎へ合流しよう。