【投稿】深化する経済恐慌と異常な株高--経済危機論(34)

<<ニューヨーク株式相場、史上初の3万ドル台>>
11/24のニューヨーク株式相場では、ダウ工業株30種平均が、前日終値比454.97ドル高の3万0046.24ドルで終了、史上初めて3万ドルの大台を記録した。これは、トランプ現政権の必死の抵抗にもかかわらず、バイデン次期米大統領への政権移行作業が動き出し、政治的経済的混乱状況の不透明感が薄れ出したこと、新型コロナウイルスのワクチン開発が進展しだしていることなどを好感して、株価を押し上げた、と報道されている。
日経平均株価もこの間、連日高値を更新し、11/12には、29年ぶりにバブル崩壊後の最高値となる2万5520円に達し、11/18には大幅反落したが、11/25にはさらに上値の2万6581円98銭を記録している。
しかし、日米いずれも実体経済は冷え込み、新型コロナウイルスによるパンデミック危機が進行、新規感染者が過去最多を記録しているそのさなかにこの異常な株高が進行しているのである。

この異常な株高は、金融バブル崩壊寸前のカジノ化した株式市場を象徴するものである。今やこの市場はマネーゲームの賭場と化しており、群がるギャンブラーは各国政府および中央銀行のばらまくヘリコプターマネーがいつまで続くか、それがいつ破綻するか不安と危機感に怯えながらも、カネがカネをうむマネー・ゲームの最大のチャンスとして、このマネーを奪い合い、金融界だけが「好景気」に沸き、金融資本と独占大企業、1%の富裕層は、まさにこの危機を利用して膨大な利益を懐に入れているのである。彼らにとっては、パンデミック様様であろう。

<<二つのアメリカ>>
FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)、日銀といった中央銀行が注ぎ込んだマネーは既におよそ1000兆円をこえると見られ、今や止めることもままならぬ状況の中で、破綻するまで追加資金を投入せざるを得ない事態に直面しているとも言えよう。FRBは2021年には、この量的緩和をさらに2倍にするこことが求められている。そしてまさにこの「異次元」のカネ余り状況が、異常な株高を招いているのである。それはいつ、どこで、また何らかのきっかけで破綻してもおかしくない状況である。
きっかけは、金融市場そのものにもあるが、より重大なのは、深化する経済恐慌によって、実体経済がさらなる冷え込みに落ち込む可能性である。
今現在、米国だけでも1100万人以上がまだ失業中であり、270万人以上の人々が住宅ローンを支払えない状態である。そして数百万人が、家族を養うためにフードバンクに依存せざるを得ない状態である。ダウ3万ドル突破と対比して、何百万もの家族が食糧にさえ事欠く「二つのアメリカ」(There Were Two Americas Today As Dow Struck 30,000)の実態である。

問題は、バイデン政権への移行の前段階、12/31に、トランプ政権下で民主・共和両党の合意が成立せず、CARES法(「コロナウイルス支援・救済・経済保証法」)の延長がなされない場合、2021/1/1には1400万人が失業手当を失い、立ち退きモラトリアムの同時満了で3000万人の賃貸世帯が立ち退きの危険にさらされ、約70億ドルの学生ローンの支払い凍結も解除される、等々、さまざまなモラトリアムが終わり、経済がさらにいっそう危機的な状況に引きずり込まされる可能性があることである。
バイデン政権には、こうした経済危機を打開する根本的政策転換こそが求められている。バイデン氏のこれまでのようなあいまいな中道主義では事態を一層泥沼化させるだけであろう。
(生駒 敬)

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