【投稿】原発全面停止で切羽詰まった関電:中間貯蔵施設「共用案」で自治体を振り回す

【投稿】原発全面停止で切羽詰まった関電:中間貯蔵施設「共用案」で自治体を振り回す

                              福井 杉本達也

1 切羽詰まった関電がぶり返したむつ市使用済み核燃料中間貯蔵施設「共用案」

電事連は12月18日、東京電力と日本原電の専用に建設されたむつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設の「共同利用案」を青森県とむつ市に説明した。森本関電社長はあたかも第三者であるかのように「高い関心があり、積極的に参画したい」と述べ、12月21日に福井県に報告するとしていた。杉本達治福井県知事も了承していた。しかし、関電社長と知事の面談は見送られた。青森県とむつ市の反発が強く、地元理解が得られなかったためである。電事連が説明した際、宮下むつ市長は「むつ市は該のごみ捨て場てはない。全国の燃料を引き受ける必然性はない」と強く反発。三村申吾青森県知事にも「全くの新しい話で、聞き置くだけにする」と突き放された。関電と福井県知事の面談も、こうした経緯から経産省側からのストップがかかったと思われる(福井:2020.12.22)。

関電の使用済み核燃料は保管するプールにたまり続けており、5年後には美浜原発で89%、高浜原発で98%、大飯原発で93%になる。運転開始から40年を超えた原発の再稼働を巡り、福井県からは県外の中間貯蔵施設の候補地を示すよう求められており、その最終期限が2020年12月末であり、関電を支援するのが実質的な狙いであるが、2018年にも同様な案が浮上したが、地元の反発で関電は断念している。今回は、関電単独ではなく、電事連という電力業界全体の意向として「共用案」を提示するものであったが、またまた同様の経緯をたどりそうである。

2 福井県における使用済み核燃料の「県外立地」“計画”の経緯

関電の使用済み核燃料の中間貯蔵施設候補地選定は1997年、福井県の栗田幸雄知事(当時)から「県外立地」を要望されて以来の課題である。特に、福島第一原発事故後、それまで全国すべての原発が停止していたが、民主党・菅直人政権下で、大飯3・4号機のストレステストを実施し、再稼働させようとしたもので、当時の原子力安全・保安院は「妥当」とする審査書を発表、2012年5月、当時の民主党・枝野経産相(現立憲民主党党首)が大飯3,4号機の再起動を福井県に要請、それに応じた西川福井県知事(当時)が「福井県だけで対応する訳にいかない事もある。中間貯蔵施設は消費地を含め痛みを分かち合う事もお願いしなければいけない。」とした。こうしたことを受け、国はアクションプランを作り、関電は2015年に「福井県外で理解活動、可能性調査等を計画的に進め、2020年頃に計画地点を確定」するとした。

大飯3,4号は再稼働後、2013年9月には定期検査で停止したが、2014年5月には福井地裁(樋口英明裁判長)において運転差し止めの仮処分があった。福島第一原発事故後につくった規制委の新規制基準に合格したとして、2017年11月27日、西川知事(当時)は、大飯原発3、4号機の再稼働に同意した際、県外保管施設について「2018年中に具体的な計画地点を示す」と関電は約束していた。2020年には候補地を確保、30年頃操業という計画であった。しかし、回答期限の2018年12月16日に関電は、候補地提示を断念したが、20年に確保の計画には変わりないとした。記者会見で西川知事(当時)は、原発停止などは必要ないとした。この回答期限の直前に、東京電力と日本原電が共同運営するむつ市の施設への相乗りを検討していると報道された。しかし、宮下宗一郎むつ市長が「地元への相談がない」と反発。結局、候補地を示せず、岩根茂樹社長(当時)は福井県に謝罪、「20年を念頭に」と先延ばしした。

2019年には関電役員らによる高浜町元助役からの金品霊問題が発覚し「信頼関係が崩れている」(杉本知事)状況の中、2020年10月、杉本知事は、関電が再稼働を目指す美浜原発3号機(同県美浜町)、高浜原発1、2号機(同県高浜町)計3基の老朽原発に関し、地元同意の「前提」として、年内に候補地を示すよう求め、関電としては後がない状態だった。

3 使用済み核燃料の再処理かワンスルーか

青森県むつ市にある使⽤済み核燃料「中間貯蔵施設」の安全対策が、新規制基準に適合したとして、9月2日に了承された。運営会社は2021年度以降に使⽤済み核燃料を受け⼊れ、核燃料3000トンを最⼤50年間保管する「乾式貯蔵」と呼ばれる⽅式で管理する(使⽤済み核燃料を⾦属製の容器に⼊れ、空気の⾃然対流で冷却しながら貯蔵する仕組み。冷却するのに電⼒を使わない)。この使⽤済み核燃料からウランとプルトニウムを抽出して再利⽤する⽅針を⽰している。しかし⽇本原燃の「使⽤済み核燃料再処理⼯場」(⻘森県六ヶ所村)は稼働しておらず、再処理して、プルトニウムをどんどん増やすという政府の核燃料サイクル政策は事実上破たんしている。

中間貯蔵施設に搬⼊される使⽤済み核燃料は東電柏崎刈⽻原発(新潟県柏崎市、刈⽻村)、⽇本原電東海第⼆原発(茨城県東海村)、同敦賀原発(福井県敦賀市)での保管分であるが、3原発は現在、運転していない。事故が起きた福島第⼀原発と廃炉が決まった福島第⼆原発の分の取り扱いは未定だが、福島第一だけでも2,130トン、福島第二には1,650トンもある。全原発では16,060トンにもなる(2020年3月末)。青森県やむつ市は、再処理工場が稼働しない中で、「中間貯蔵施設」が事実上の使用済み核燃料の最終処分場となることを懸念している。

福井県においては、2020年4月の知事選挙において、西川前知事は「(県外に)中間貯蔵施設ができるまでの若⼲の期間、⼀時保管するという議論も並⾏して起こりうる。乾式貯蔵を含め、そういう議論はする」との方向性を打ち出していた。これは関電が「中間貯蔵施設」の候補地を選定できない中で、美浜町長や高浜町長ら原発再稼働を目論む地元市町長らの意向に沿った発言であった。一方、杉本知事は「使⽤済み燃料の貯蔵や放射性廃棄物の処分は県外で対処すべきと考える。県外搬出までの保管⽅式については湿式、乾式等様々(さまざま)あり」議論していくというこれまでの方向性を踏襲していた。しかし、今回の電事連の「共用案」には前のめりになったようである。

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