「新時代」誌 創刊号 (1973年4月) より
民主主義学生同盟第十二回全国大会文書
民主主義学生同盟第十二回全国大会基調報告
当面する学生運動の課題とわが同盟の任務 一般政治・任務方針
<目 次>
の学生運動の現状とわが同盟の任務
②新たな局面を迎えた大学再編成攻撃とわれわれの基本的任務
③日本軍国主義に反対し、ベトナム人民の完全勝利、安保条約破棄、 軍縮、アジア集団安全保障条約実現のために–平和と平和共存をめざす闘争
④諸戦線での任務方針–学生運動の持続的強化、発展のために
⑤全員加盟制自治会の再建・強化の目的意識的推進のために
⑥反動的イデォロギーと対決し、科学的世界観の確立のために(略)
(1)学生運動の現状とわが同盟の任務
<反独占闘争の高揚、その一翼としての学生運動の課題>
来たるべき大学法期限切れ時期、七四年八月にいたる一年余りの闘争は、大学法粉砕、大学の民主的改革の重大な時期となろうとしている。
全国大学闘争の再爆発ば不可避であり、それは政府、独占資本の反動的な内外政策、独占資本による大学支配と鋭く対決してゆくであろう。
この一連の過程でわれわれは、教育の機会均等の破壊、独占資本の大学と学生支配を制限し、大学制度、教育、研究内容、条件、学生生活条件の民主的改革へと前進していかねばならない。労働者階級、部落解放同盟、反公害、反基地運動など、すべての反独占勢力との連帯、同盟をかちとることが要諮されている。
世界の平和と国際緊張の緩和、平和共存の前進と、その下での階級闘争の高揚、チリ、フランスにおける人民連合の勝利的前進、日本における春闘、スト権奪還闘争、部落解放運動、反公害闘争など反独占民主主義闘争の高揚は、われわれの一貫した政治戦略=平和共存、反独占民主主義の正しさを次々と証明している。ソ連邦を先頭とする社会主義世界体制、国際労働者階級、反帝民族解放勢力がつぎつぎと闘いとっている諸成果は、帝国主義の侵略的、反動的意図を、諸国における民族排外主義、軍国主義の危険を封じ込め制限している。日本帝国主義もその例外ではない。高度に発達した生産力の水準を維持することを、一方で労働者階級の闘争によって規制された独占資本は、他方ではより一層の搾取の強化、大衆収奪による資本の蓄積を目的として、国家の諸機構を動員して、反動的政策を推進している。平和共存の全世界的な規膜での貫徹は、帝国主義者の軍国主義政策を規制し、矛盾に満ちたものとしているが、かれらは、軍国主義を平和と社会主義に対抗し、国内の階級闘争の 弾圧の武器として利用するという意図を捨て去ってはいない。日本帝国主義の軍事力の強化、安保条約堅持、沖縄、本土米軍基地の米軍と自衛隊による共同作戦基地化、対ソ北方領土返遠要求等はその表現である。
われわれはベトナム和平協定の完全実施、全インドシナからの米軍撤退をかちとり、日本帝国主義の軍事力強化、軍国主義政策に反対し、安保条約破棄、米軍基地撤去、国境の現状承認を原則とする日ソ条約の締結と朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム民主共和国の承認、アジア集団安全保障条約へと前進しなければならない。われわれは、原水禁運動、部落解放運動、反公害闘争などの諸戦線における闘争を持続的に発展させるとともに、その時々の政冶的中心課題と正しく結びつけ、学生運動と反独占勢力との連帯を強化していくであろう。
国家独占査本主義の下で蓄積した諸矛盾は、国際通貨危機の再爆発を呼びおこしている。そのしわよせを勤労人民の肩に転嫁するために行なわれている田中内閣、自民党の内外政策は、戦闘化する労働運動の高揚によって、深刻な政冶危機に転化する可能性をはらんでいる。動労・国労の順法闘争、スト権奪還闘争の高揚、年を追うごとに強化される春闘の展開は、政府・独占資本を窮地に追い込んでいる。
われわれは、諸闘争の機械的な結合ではなく、有機的な関連を明確にし、重要局面での最大の大衆的動員を準備し、反独占勢力の前進・統一戦線の一翼としての大衆的学生運動の形成をかちとり、カ関係のいっそう有利な展開をかちとっていく必要がある。
諸潮流の新たな動向とわが同盟の任務
七一年から七二年にかけて、民主青年同盟内部で発生した「新日和見主義」は、小プル民族主義、議会主義、セクト主義、諸要求羅列主義に特徴づげられる”古い日和見主義”に対する罰であった。この新日和見主義の発生は、日本帝国主義を帝国主義として忍めず、アメリカ帝国主義の世界支配を絶対化する彼らの”対米従属規定“に基づく「指導」理論の実践的破産を意味している。
民主青年同盟とその「指導」下にある民青「全学連」は、あいつぐ学費闘争の高揚、べ反戦—-相模原随争、そして、昨年十一月以後の反革マル・早大民主化闘争の高揚の過程で大衆的学生運動の指導能力喪失を宣告されている。しかし、彼らはこのような誤まりを正しく克服する方向ではなく、一連の活動家の権力への告訴「戦術」に見られるように「トロツキスト」主要打賂、セクト主義、ゼミナール運動への傾斜を深め、他方では、日本共産党(代々木派)の議会における議席数増大という「権威」を利用し、戦闘的な学友のエネルギーを歪曲し、議会主義と大衆追随への転落過程を歩んでいる。
阪市大の三・一六闘争、学費、新寮闘争、大阪学大の“同実組”運動などを「トロツキスト」、「反党修正主義分子」の”大学破壊策動”ときめつけ、大量のデマ宣伝を組徹し、大学の民主的改革闘争に公然と敵対している。
「トロツキズム」諸派は、その街頭武装闘争、軍団建設路線の理論的・実践的破産のなかで、マル学同中核派、革マル派、社学同諸派、社青同解放派等に代表されるように、内ゲバと学生自冶会の暴力的占拠に訴え、自己の延命の道を歩んできた。だが、早大闘争の爆発による内ゲバ・暴力支配への大衆的批判の高まりのなかで、また、学生運動が一定の上昇面に入りつつあるなかで、その一部は「大衆路線」へと路線転換を開始している。共産同”ボルシェビキ通信派”、第4インターなどがその典型である。他方、中核派は自らの政治路線の破産を”反革マル”の「党」派闘争に歪曲し、ジプシー集団と化した活動家をよせ集め、「拠点防衛」に血道をあげている。革マル派、社青同解放派も同様である。後者は、学生運動の大衆的発展の完全な阻害物として存在しており、その「革命的暴カ」=内ゲバ路線が、直面する大学闘争のなかで果す危険な役割を厳しく警戒し、いっそう大衆運動の発展に依拠するなかで彼らを実践的に批判していかなければならない。彼らの超主観主義的な「政治戦略」は、いまや平和共存、軍縮と集団安全保障条約への前進、民族解放闘争の高揚とその勝利、チリやフランスで現実化する反独占民主主義、社会主義をめざす闘争の一大高揚によって、そしてこれらの諸勢力がソ連をはじめとする社会主義世界体制との結合を強めているという歴然たる事実によって否定されている。われわれは、日本における”革新勢力”内部の種々の弱さや欠陥が一方では再び無政府主義的な運動に先を譲りかねない危険を考慮するとともに、諸国人民の闘争の実例の力を正しく利用し、原則的な闘争を強化することで「トロツキズム」諸派の誤まりを克服しなければならない。
「現政研」=「学生共闘」派は、そのセクト主義と街頭政治主義、主体形成至上主義のもたらす破局的事想の終極点に到着しつつある。
それは、広範な民主的、戦闘的学友からの完全な孤立と、まったくの少数派への転落の道である。わが同盟の光輝ある隊列を暴力的に分裂させた彼らは、高崎経済大学の学友の原則的批判とわが同盟への結集というまったく正当な行動を、ありとあらゆるデマと中傷でぬり固めている。わが同盟へのファナティックな敵対心を煽動し、まじめな、事情をよく知らない若い同盟員(「学生共闘」派)の動揺を阻止しようとしている。このような態度は民族主義者が内部矛盾を隠ぺいするために、大衆の関心を外部に、他民族への優位性や侵略の必要性を煽動する態度に酷似している。彼らは「第十八回大会」を開催し、わが同盟との「党」派闘争を宣言している。
だが、このような彼らの動向を規定する最も重要な問題は、民主的・大衆的学生運動の前進の中で必然的にもたらされた彼らの孤立と完全な少数派への転落を、いっそうのセクト主義化と少数「精鋭」主義=少数派への転落の合理化によって乗り切ろうとするところにあり、ますます現実との矛盾に直面し、決定的な破産を宣告されるであろう。彼らは、阪市大や神戸大の教養部におけるクラスを基盤とした学友の大衆的決起、自治会再建へむけた目的意識的な闘争を「無党派主義」、「アンチ・セクトの運動」=アナーキズムとのみ評価し、「学生共闘」派のいちぢるしいセクト主義、エリート主義、大衆べっ視への正当な批判であることを見落している。なぜなら、政冶同盟であるわれわれは、阪市大の広汎な学友とともに闘っているし、神C大クラス連絡会議は”社青同協会派”の諸君のイニシアチプで進められているのである。
われわれは、このような諸派の動向のなかで、いまこそ、この間獲得してきた大衆運動の成果にいっそう深<依拠し、「悪じき政冶主義、街頭主義、セクト主義、活動家のみの少数『精鋭』主義」の一掃のために闘い抜く任務を自覚しなければならない。全国百八十万学友に勝利の展望を提起するうえで不可欠の戦線の分裂の止揚.統一行動の中心の形成は未だ不十分であり、わが同盟は大衆運動の組織化と自治会再建強化の闘争に全力をあげ、この戦線内部の弱さを克服する闘争の最前線に位置しなければならない。
苦闘を続ける学生運動は、昨年の学費闘争、早稲田大学闘争の高揚と政経、一文を中心とした自治会再建の勝利、そして、阪市大の三・一六闘争、学費値上げ阻止、新寮闘争のなかで、大衆的学生運動の姿をよみがえらせ、全国学友にその健在を示し、―つの展望を示してきた。これらの闘争の中で勝ちとられた力を―つの全国的イニシアチプとして発展・強化しなければならないであろう。
(2)新たな局面を迎えた大学再編成攻撃とわれわれの基本的任務
政府、独占資本は全世界的な規模での市場争奪戦の激化のなかで、効率的な自主技術開発体制の整備、科学・技術研究の成果の全面的私物化を目論み、学内管理支配体制の強化(=寡頭管理支配)、教育・研究内容のいっそうの改悪—-一般教育科目の切り捨て、カリキュラムの再編等—-、教官・学生の民主的諸権利のハク奪、学生運動に対する露骨な弾圧を行ない、中教審具体化=大学と教育の資本主義的合理化を強力に推進している。
政府・独占資本は、国際通貨危機の再燃に象徴されるように、深刻な経済的・政治的危機に直面するなかで、この大学と教育の資本主義的合理化の過程をこれまで以上の大衆収奪の強化=「受益者負担」主義の押しつけで貫徹しようとしている。独占資本は、戦後の一貫した低文教予算政策の維持すなわち「教育投資論」の徹底、勤労人民の教育費負担の深刻な増大を自己の教育政策の基本としている。あいつぐ国公私立大学の授業料、学費値上げは、その結果としてひきおこされている。
大学と教育をめぐる情勢は、政府・独占資本の中教審答申に基づく大学の資本主義的合理化、反動的再編成、支配強化—-総じて大学の私物化政策の新たな具体化の段階に逹した。今年度十月開校をめざして今国会に提出された筑波大学法案(国立学校設置法等改正案)、および関連する教育公務員特例法改止案、学校教育法改正案、昨年十一月の大学設置審議会最終答申—-これらの一連の法案が意味するものは、中教審構想のなし崩し的実質化の段階から、その法的追認、法制化による具体化への移行である。こうして、一九六八~九年の大学闘争以降も間断なく続けられてきた大学闘争ー大学と教育の社会的帰属をめぐる政府・独占資本と反独占民主勢力との重大な政治対決は、新たな局面を迎えている。
この筑波大学法案のめざすものは、中教審モデル大学として設定されている。この攻撃は大学の公的性格とその構成員の全体としての動労人民への接近の傾向がますます強まるなかで、大学の研究・教育が今日の独占資本の緊切の要請に十分応えていないことに対する政府・独占資本の危機感の表現であり、危機のりきりを策す国家独占資本主義的解決策である。
大学の研究・教育の私的占有、独占資本への直結による資本主義的合理化
社会主義世界体制と民族解放運動の勝利と前進、国内での強大な反独占閾争の高楊のなかで、社会主義との平和共存、競争的共存の関係は不可避となり、また、高度の生産力水準は帝国主義諸国間の市場競争、貿易戦争、資源確保戦争を加速度的に進行させている。同時に、日本独占資本主義の高度成長がゆきづまり、その打開策を再び高蓄積・強度の搾取と各種の労働力の効率的配分による超GNP主義政策に求めているが,この成功の鍵を科学技術と資本主義の無政府的生産との直接的結合、科学技術の諸成果、教育過程の独占体による私的占有に見いだしている。
旧七帝大を中心とした全国十学園都市構想と大学院大学化、、研究組織と教育組織の分離などは、科学技術研究の戦略的マンパワーの効率的確保とその研究成果の資本家による占有をめざす意図の露骨な表明にほがならない。
また、教育系新構想大学(管理者養成の大学院制度を含む)の設置と「教員給与改善」策は、教育労働者の中に差別と分断を持ち込み、校長、教頭二人制の下に、勤評体制のいっそうの強化を狙い、日教組を弱体化させるととを通じて、教育課程の国家統制をおしつけようとしている。
昨年十一月の大学設置審議会大学基準分科会、「大学院および学位制度に関する特別委員会」の最終答申は、中教審答申の教育と研究の分離=大学院大学化構想を具体化せんとするものである。ここでの大学院組織は学部組織から完全に切り離され、独自の教員組織をもち、学位審査に関しては学外の専門家が参加するものとされている。この構想は、昨年四月の大学間の単位互換制の具体化と結びついて、大学院大学の機能を持つに足る研究組織・設備を備える一部国立大学への研究機能・教員組織の集中、修士大学と博士大学への格差化・目的化をもたらし、学位審査への巨大企業研究所の介入に法的に道をひらくものとなることは明らかである。
筑波大学の特殊法人化構想が破産するや、文部省は、この法案を医科系大学、学部、その他大学院、研究所の設立と抱き合わぜにして反対勢力の分断を企てている。くわえて、学校教育方の改悪(すべての国公私大に適用)による筑波方式の他大学への波及に道を開いている。これらの意味するところは、今後一片の省令で他大学に筑波方式を強制すること、すなわち、大学管理法を実質的に完成することなのである。
筑波法案粉砕の闘争が、全国国公私学のいっせい決起、日教組、総評など労働者階級、すべての反独占民主勢力の統一した闘争として闘い抜かれる必要性がはっきりと確認される必要があろう。
全国の自治会の共同した闘争を強化し、学生運動の統一した決起を保証していく必要がある。現段階における政府・独占資本の大学管理法攻撃が全員加盟制自治会の全面的否定の立場から行われようとしていることは、この闘争の過程で自治会の再建・強化を闘いとることを不可欠の任務としている。
独占資本による支配強化・管理体制の独裁化反対、民主的改革のための闘争
このような目的を達成しようとして、政府・独占資本は、大学の管理運営組織の独裁化を目論んでいる。
全国大学闘争の爆発的高揚を大学臨時措置法の強権的発動、警察力による弾圧の強化でがろうじてのり切った政府・文部省は、それ以降の学生戦線の四分五裂状態と停滞に乗じて、全国の大学に「紛争対策本部」の長期固定化を強制し、独占資本と結託した一部の特権的教授グループ、私学理事会を中心に管理支配機能を集中し、学内寡頭支配体制を強化してきた。学長–副学長制度、参与会制度、教授会をはじめ種々の権限の廃止などは、大学に於ける寡頭頭管理支配の法的追認、他大学への波及効果を直接目的としたものである。
同時に、私学に対しては「私学振興財団」を設立し、私学経営の危機と研究・教育条件および水準の低下、勉学生活条件の悪化に対る学生・民主的教官の抵抗と不満をたくみに利用して、独占資本への金融的従属、政府の直接的統制管理の下におくことを条件に財政操作による私学の再編・統合、スクラップ・アンド・ビルド政策を推進しようとしている。沖縄「返還」が沖縄県の勤労人民に何一つ利益をもたらさず、軍事・基地機能で本土の沖縄化を意味したと同様に、教育に関しても沖縄大学と国際大学の統合=沖縄国際大学の設置は私学の反動的再編の先導的モデルとしてすすめられた。この反動的「統合」と沖縄大学の廃校処分は、政府・文部省の命に従わぬ教員にたいする、事実上のパージをも意味している。こうした政府の反動的な廃校処分の強行に対し、沖縄大学では、学長を先頭に教授会、教職組、学生自治会は、全学ぐるみで抵抗を続け、文部省の入試中止命令を拒否し、入学試験を敢行した。沖大存続の成否をかけた闘争は沖教組その他の諸団体と沖縄県民の支援の下に闘い抜かれている。われわれは、沖大への攻撃を明日のわれわれへの攻撃としてうけとめこれを支援して闘い抜く必要がある。
大学の資本主義的合理化攻撃との闘争は、この間の大学における寡頭管理支配打破の闘争、教育の民主的改革のための闘争を徹底して闘い抜き、大学当局の政府・独占資本への迎合を紛砕し、また、教官層の現状維持路線、あるいはエゴイスティックな「自由」を批判し、全体として反対に決起させることが要求されている。大学内部における中教審の具体化を許した一片の反対声明要求にとどまるならば、結果として、その実質化に対して無力なのである。
大衆収奪強化・低文教予算政策を粉砕し 学生生活擁護・改善のための闘争
日本独占資本は、その新たな高度成長政策の基盤を勤労人民からの収奪と搾取の強化にもとめようとしており、円再切り上げによる損失もまた勤労人民の肩に転嫁しようとしている。彼らにとって緊切に必要となっているものであっても、それが直接的に利潤を生み出さないものであれば、すべてを国家投資に委ねるのである。七三年度予算にもそれは鮮明にあらわれている。一般会計では、 一兆五千億円(対前年比17%増)と見るべき増加を見せておらず、 一般会計全体に占める割合はむしろ低下しているありさまであり、わずかに私学職員人件費への補助率が引き上げられたのみである。財投ベースでは対前年比三二%の伸びとなっているものの、最緊要の課題である私大国庫助成額は三一七億円と、たった七億円の増加という貧弱さである。
直接的収奪の攻撃はさらに強化されている。国立大学費三倍化と私学に対する学費値上げの強制(昨年一〇六校)、学費の物価スライド・アップ(甲南大学を先頭に、関西私学連盟—議長校、関西大–は、その導入を決定した)など中教審の予定する受益者負担主義の徹底、昭和五〇年学費水準– 国立年二四万、私学四八万—-への道を着実にたどりつつある。学生の七〇%がアルバイトをし、その四〇%がアルバイトなしには生活できないところまで追い込まれている。学費上昇が家計におよぼす影響も、破壊的作用を強めている。都市の物価上昇は、都市に集中する私学学生の生活条件をますます劣悪化させている。この四年間に、下宿学生への親からの送金額は、ニ万五千円から四万円へと倍近くはね上った。
教員にとっても同様である。教員の給与水準が、技能熟練工のそれよりも低いという事態が一般的になろうとしている。講座制の下で、低い給与に甘んじている若手教員にとっては、生活難から否応なく、特権教授・財界の意向を受け入れた研究教育を強いられている。
政府の文教政策は、こうした事態を何ら改善するものではない。だが、注意しなければいけないことは、教員の給与体系の改善が、教員に対する管理の強化・教官からの人事権剥奪と抱き合わせで行なわれようとしている点である。教育公務員特例法の改正とは、その強制に他ならない。筑波大学では、給与水準は、現行より若千のアップとなっており、教官の懐柔が民主的教官のいっせい大量パージ、学生運動への弾圧と共に行なわれようとしている。
われわれは、このような情勢の下で、この間の学費値上げ反対闘争や寮闘争のなかで蓄積してきた学友の生活擁護・勉学条件改善のエネルギーを正しく組織し、持続的に発展させねばならない。
最近の学費値上げ攻勢には、新らしい特徴が見られる。南山大学(愛知県)、甲南大学(兵庫県)など学生自治会の力が弱く、学生の民主的諸権利が制限されている大学が先頭にたって、いわゆる「スライド方式」を採用し—-これには文部省の指導が働いているといわれている—-反対運動を不発に終らせ、諸勢力を分断して、巧妙に”スマート”に値上げを強行した。これは注目すべき、新しい値上げの特徴である。この値上げ方式が関西私学連盟(関大、関学、同志社、立命館など関西主要私学のほとんどが加盟している)によって採用されたことは、今後の学費値上げ反対闘争を組織するに際して十分考慮しておかなければならない。なぜなら、このスライドは、かつてのよに物価にスライドするだけでなく、「教職員給与の引き上げにスライドする」という方式でおしだされており、これは学費問題において教職員と学生を分断し、対立させるという客観的な作用をもたらすからである。そして、これは独占資本と政府・文部省にとってももっとも好都合な方式なのである。このような攻撃をハネ返す闘争は、今後の私学におけるいっそうの「受益者負担主義」を粉砕する意味で緊急の課題となっている。私学理事会に対し、学費物価スライド制撤廃を断固として要求していく必要がある。また、マスプロ解消、奨学金の大幅増額、対象者の拡大、新寮・学館建設など福利厚生施設の拡充の闘いもこの過程で推し進めていかねばならない。このような闘争を持続的に発展させ、学友の中一にある不満の消極的な解決、自らの犠牲(ァルバイトなど)による矛盾の「繰り延べ」等の姿勢を正しい解決の方向へとその意識を組織する必要然あろう。また、われわれの闘争は、このような政府・独占資本、私学資本の「受益者負担主義」の押しつけが勤労人民の真に深刻な生活破壊をもたらしていることから、勤労人民との連帯を不可避としている。労働者階級は、大衆収奪の強化に反対する闘争に決起している。国鉄運賃・健保値上げ法案、円切り上げ、商社による土地・生活必需品買占め、物価値上げに反対する闘争は、国労・動労を先頭とする公労協労働者のスト権奪還闘争と結びついて高揚を開始している。われわれは、政府・独占資本、公企体当局の種々の反労働者的な差別・分断攻撃を許さぬ世論の形成を政治宣伝し、暴露し、組織して連帯を表明しなければならない。
このような学生の闘争を前提としてはじめて、学内の勤労者、教官、また、総評など労働者階級との真の連帯をかちとりうることを確認しなければならない。大学と教育の問題を労働者階級のものとするためにも、そして、政府・独占の貧困な差別的低文教政策の根本的転換をかちとるためにも学生の持続的闘争を組織し、社会的問題としてこれを提起していく必要があるのである。
(3)日本軍国主義に反対し、ベトナム人民の完全勝利・安保条約破棄・軍縮・アジア集団安全保障条約実現のために –平和と平和共存をめざす闘争–
ベトナム和平協定の完全実施・ベトナム民族民主革命の完全勝利へ
一月二八日の歴史的なベトナム和平協定調印によって、アメリカ帝国主義の十八年にもわたる残虐なベトナム侵略戦争は完全なる敗北を決定づけられた。ひき続いてラオスにおいても和平協定調印が勝ち取られ、両国からの米軍全面撤退を余儀なくさせた。
これは、英雄的なインドシナ人民と全世界の反帝平和勢力の勝利であった。この勝利は、アジアの平和と平和共存秩序の確立にとって不可欠の基礎を築き、アジアの緊張緩和の歴史的流れを不動のものとし、アジア集団安保条約実現の展望を切り開いた。
停戦と米軍全面撤退を基本的内容とした和平協定調印後、全世界の反帝平和勢力は、米帝国主義とチューカイライ政権、さらには日本帝国主義の協定破壊の反動的政策に不断に警鐘を乱打しなければならない。現在においても、チューが南における政治的自由を一切保障せず、共産主義者を射殺せよと指令し、また挑発的な軍事行動を繰り返し、「政冶犯」の釈放をもまったく明らかにしていない。ニクソン政府は、いぜんとしてチュー政権擁護を声明し、民間人顧問の名目で数千人の軍事顧問団を残留させ、新たな戦略で巻き返しを策動している。日本の基地から和平協定調印後も弾薬、武器が輸送され、米第七艦隊の空母、ミッドウェーの母港化をはかるなど、日本政府の侵略加担者としての役割はいぜんとして変わらない。それは中国の反ソ主義を利用して、米・日・中の反ソ反民族解放ブロックを打ち立て、東南アジアにおける民族解放運動の進展を抑えるための政治的軍事的力を残存せんとする危険な戦略である。
そして、ベトナム・ラオスから米軍が全面撤退せざるを得ない段階に到達し、緊張緩和の流れに逆行して米軍の肩代りとして日本帝国主義は、インドシナさらにはアジアの平和の前進に対する大きな障壁として極めて反動的な役割を担っている。だが、このような日本帝国主義の危険な志向は、成功の見通しを与えられていない。それは、日増しに深刻さを加える帝国主義間の矛盾の激化によって、また、資源・原料輸出国の民族独立と反帝国主義的気運の高まりによって、ますます非現実的かつ矛盾に満ちたものとなっている。日ソ関係の改善と発展は、アジアにおけるこのような日本帝国主義の反動的構想をほりくずさざるをえないし、現実にそのような方向に進んでいる。このような矛盾をわれわれは正しく利用し、われわれが日本帝国主義の東南アジアヘの軍事的圧力の拡大、緊張の激化をひき起こす軍事力の強化と対決することは、アジアの平和確立にとって極めて重要で第一義的な国際的意味をもっている。われわれは、日本帝国主義のあらゆる危険な外交・軍事政策と闘わなければならない。相模原闘争の成果を正しく発展させ、和平協定の完全実施、ベトナム人民・インドシナ三国人民の民族民主革命の完全勝利まで、われわれが警戒心を高め、最後まで闘い抜かなければならない。
四次防の全面中止、在日米軍茎地の完全撤去・日米安保条約破棄のために
一月二三日、第一四回日米安保協議委員会が、大平外相、増原防衛庁長官、ガイラー太平洋総指令部長官らの出席のもとに行なわれ、日米両国政府の国および防衛当局者で構成される”f安保運用協議会”の設置が明らかにされた。安保協議委員会合意文によれば、この協議会は、昨年九月ハワイにおける田中・ニクソン会談での合意を基礎とし、安保条約およびその関連取り決めの円滑かつ効果的な運用について協議および調整をいっそう促進するものであり、また、在日軍事基地の整理統合が基地機能の縮小や撤去を意味するものではない。一月三一日アメリカ大使館筋は、米国政府が在日米軍基地の新しい整理統合を検討し、この中で、整理統合は米軍の能力を低めるものでないことを重ねて明らかにし、先の横須賀母港化は世界的な計画の一環であることを明言した。これら一連の日米両帝国主義者の意志統一はベトナム以降の安保の姿を示している。今ベトナム和平は、不可避的に帝国主義間の矛盾を激化させ、日米安保も必然的にその手直しを迫られた。閣僚クラスの制服自衛官をまじえた安保運用協議会の新設、在日米軍基地の再編強化はその表現である。
日本帝国主義は、アメリカのベトナム以降の戦略、ニクソンドクトリンに、ハワイ会談によって宣言したパートナーとして協力しつつも、独自の利益を追求している。一方で対中、対ソ関係において柔軟な姿勢を表面上装わざるを得なくなりつつも、他方、四次防、産軍複合体の育成など軍国主義の強化をはかっている。階級的軍事同盟としての日米安保をあくまでも基礎として、その上に独自の帝国主義的膨張をめざしたものであることを示している。自衛官の七千人増強、防衛医科大学校の設置を内容とした防衛二法案の特別国会への上程、二月二六日発表された防衛庁の「平和時の防衛力の限界」に関する見解において、「有事の際に必要な力の母体を作る」として、いっそう重装備をふやす方針を打ち出すなど、田中内閣は冷戦政策をなんら捨てていない。
世界的すう勢とまった<逆行する田中内閣の軍国主義政策と対決する四次防即時中止、基地撤去、安保廃棄の闘いをいっそう強化していかねばならない。
沖縄や立川における自衛隊員の住民登録拒否の閾いや、北富士をはじめ全国各地で展開されている住民運動と結びついた反基地、反自衛隊の闘いは、昨秋期の相模原閾争を契機に全国各地で高揚している。重要なことは、これらの闘争が自治体闘争と結合して発展していることであろう。これらに連帯する闘いを最大限追及すると共に、原水禁組織や他の民主団体の協力で、全国的な反政府世論へと高めていくことである。
そして、院内における闘争と、院外の春闘に決起する労働者階級、学生、民主諸団体の反独占諸闘争と同時に、四次防の全面中止・米軍基地完全撤去・安保条約廃棄のための全国的共同闘争を展開し、田中内閣の矛盾に満ちた冷戦政策に打撃を与えてゆくこと、そこに軍事力拡大をストップさせ、平和外交への一定限の転換をかちとる展望が存在する。同時に、インドシナ人民の闘いでアジア情勢はわれわれの闘いに有利な条件を創り出している。とりわけ、ミッドウェー横須賀母港化阻止の闘いは、相模原闘争の教訓からも、現地闘争を含む全国的湖いを要請している。
また、日本の核武装阻止にとって決定的意義をもっている能勢ナィキ基地設置阻止の闘いは、現在油断できない情勢にある。土地の買収はほぼ完了し、基地に大電力を供給するための東洋一の関西電力猪名川発電所が突貫工事で建設されている。
われわれは、なおも住民へのオルグ活動を強めるとともに、防衛庁が直接的な動きを行なっていない現在、防衛庁に対する攻撃を組織していく大衆行動を今春期設定していく必要がある。これは、各学園における研究・惜宣活動を強化する中で、軍縮協、住民連絡会議、反安保府民共闘などとともに必ず設定していかなければならない。
そして、われわれが反ナイキの大衆巡動を展開する中で、四月の町議会選挙で反ナイキ派の議員を多数選出することに側面から支援することは、現在の情勢の下で重要となっている。
われわれに課せられた任務は、軍備拡張、基地の再編強化の具体的現われを暴露し、その危険性と反動性を全国民の前に明らかにし、不断の宣伝煽動によって学友を組織することである。そのことによってはじめて、インドシナ人民がその基盤を確立した極東の緊張緩和を促進させ、日本帝国主義の野望を封じ込め、アジアの平和体制=アジア集団安全保障条約の確立へ前進することが可能となるであろう。
日ソ国境の現状承認、日ソ平和条約の締結とアジア集団安全保障条約の締結のために
昨年五月のニクソン訪ソに前後して、急速な進展を見せた欧州における緊張緩和、東西交流の拡大、欧州集団安全保障条約締結への動きは、第二次世界大戦後の現存国境の承認、軍事プロックの相互解消、軍縮、経済・科学・文化などの全般的な相互交流・協力の拡大、両体制間の平和共存的国家開係の樹立を基本原則とし、欧州における載争の火種を駆逐しつつあり、欧州におけるこの勝利をアジアにおいても現実のものとして展望しなければならない情勢を迎えている。
インドとソ連との友好協力条約の締結につづくバングラデシュ独立闘争の完全勝利、そして、七三年一月のベトナム和平協定の成立というベトナム・インドシナ三国人民の英雄的な反帝民族解放闘争の歴史的勝利は、インド亜大陸と東南アジアに一大平和地帯をつくり出す現実的可能性を切りひらいている。
反植民地主義、民族独立、平和と民主主義、社会主義をめざす発展途上諸国人民の闘争は、社会主義世界体制、国際労働者階級の支持と支援の下に多くの犠牲と流血、苦難に直面しながらも前進と勝利を闘いとっている。昨年の六四ヵ国の参加の下で開催されたジョージタウン会議の成功は、その実例の証明であり、同時に、この勢力が団結した進歩の勢力として成長していることを意味している。
ソ連を先頭とする社会主義諸国の強固な存在と、平和共存外交政策、民族解放勢力・発展途上諸国への援助は、帝国主義の軍国主義、植民地主義政策を窮地におとしいれている。
日本帝国主義とアメリカ帝国主義の諸政策は、アジアにおけるこの現実的な展望をおしとどめようとしている。ベトナム人民の最後的勝利を阻止し、また、東南アジア諸国人民のベトナムヘの連動を阻止し、社会主義世界体制とこれらの諸国との同盟を破壊し、自己の帝国主義的権益の擁護を企てている。アメリカ帝国主義は、中国を唯一の正統政府として認めないだけでなく、中国現政府の反ソ主義的、民族主義的政策を巧みに利用して、ソ連邦や民族解放遥動に対立させ、中国を決定的にひき離そうとしている。また、日本帝国主義は、アメリカ帝国主義のこのような政策に共通の利害を見い出していると同時に、ソ連に対して「北方領土」=千島の返還を要求し、日ソ平和条約の締結を遅延させ、四次防、さらには五次防へと軍事力を強化し、ソ連邦の提唱するアジア集団安保構想に反対している。
われわれは、このような危険な方向と対決し、現存国境の承認の原則に立ち、日ソ平和条約の即時締結を嬰求していく必要がある。
日ソ平和条約の締結は、アジア集団安全保障条約の展望と正しく結合されるとき、日米両帝国主義の階級的軍事同盟=安保条約の破棄、ASPAC、SEATOなどの反共ブロックの解消を促進することとともに、アジアの平和にとっての決定的な保障となるであろう。それは、先述したように、帝国主義の意図が、彼らにとって最大の脅威を与えているソ連に対決することを基礎に、反ソ・反社会主義宣伝を強めていることによっても説明できる。
アジア集団安保への道は、多くの複雑な諸条件、過程を克服しなならない。その第1は、帝国主義のこれへの反対・抵抗であり、第二に、中国の反ソ主義の存在であり、これを利用した帝国主義の反ソ政策であり、第三に、これらを補完する日本共産党(代々木派)、社会党など民主勢力の誤れる小ブル民族主義的政策の存在である。
だが、情勢の進展は、着実に緊張緩和と平和共存へと進んでいる。 ベトナムの勝利は、マレーシアやフィリピンのASPACからの離脱を進め、日本帝国主義は、日米間の深刻な経済的対立、エネルギー資源・原材料確保の矛盾に直面し、ソ連邦との経済協力は自
こらの延命に不可欠となっている。最近のブレジネフ書記長宛田中親書はその証明である。
このように、今日の世界の力関係、帝国主義間の矛盾と対立は、帝国主義の共通の階級的利害=反ソ・反社会主義的政策を不断に掘り壊し、社会主義との平和共存を不可避としている。
われわれは、このような反帝平和勢カの力に依拠し、帝国主義の反動的政策と対決し、民主勢力内部の誤まった傾向を批判し、日ソ平和条約の締結、アジァ集団安保条約の勝利へ前進しなければならないし、その先頭に立って闘い抜く任務をもっている。
不断の政治宣伝、暴露活動と共に、 学習会、 大衆集会などを組織しなければならないであろう。
(4)諸戦線での任務・方針
—学生運動の持続的強化・発展のために—
あらゆる国の核実験に反対し、日本政府の核防条約批准、
全面核停条約の即時締結のために
全世界的な規模での緊張緩和と軍縮、平和共存の前進の中で、全般的核軍縮をめざす闘いはその重要性を益々拡大している。原水禁運動はこのような情勢の下で、その原則的な立場を正しく発展させ、このような期待に応えねばならない。 ついにわれわれはニクソンのベトナム和平協定への調印を手にしている。このべ トナムにおける歴史的勝利は、それら英雄的ベトナム人民と連帯した世界反帝平和勢力の勝利でもある。
「ベトナム秘密文書」を待つまでもなく、最近では二月二五日アメリカ上院外交委が議事録を公表し、一九六四年五月を頂点として、「核兵器の使用」を真剣に検討して来た事実が再び完全に明るみに出された。この世界最強のアメリカ帝国主義軍隊に「核使用」の 冒険戦術を許さず、これを敗北においやった社会主義世界体制をはじめとした世界反帝平和勢力のこのカに確信をもち、このベトナムの勝利を機会に核軍縮にむかって前進することは決定的に重要である。昨年の原水禁世界大会でのベトナムでの核使用阻止、北爆の即時停止と米軍撤退の決議はその有効性を証明された。
また、全面的核実験停止、完全核軍縮にむけた国際的な努力はヨーロッパでで西ドイツ報復主義をおさえ、全欧安保会議を発足させている。部分核停条約以来の一連の核軍縮措置の実現、SALTのひきつづく前進とますます成果を上げつつある。とりわけ、昨年末の第二七回国連総会にて決議された世界軍縮会議の開催(五〇カ国以上の共同提案、満場一致)は準備機関会議の開始とともにすべての人々の闘いの焦点となっている。
全面核停条約締結のための闘争は、べトナム での勝利への巨大な前進、 全般的核軍縮の着実な前進の成果をひきつぎ、全世界の平和愛好勢力の国際的な共通の任務として確認されなばならない。
フランスはアルジェリアの独立でサハラ砂漠の核実験場をムルロア環礁にうつした。以来フランスは、毎年六月から九月にかけて大気圏内核実験を続けている。死の灰の影響を受けやすいオーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルーらの太平洋沿岸諸国の反対やストックホルム環境会議の反対にもかかわらず、昨年の六月、再びフランスは核実験を強行した。昨年六月の実験はポラリス型原潜のミサイルにつける水爆の安全度のテストであった。 このテストで完成した装置を用いて今年は数メガトンにのぽる水爆弾頭の実験を行なうことが宣言されている。
部分核停条約(大気圏内核実験を禁止)っと国際世論の高まりにもかかわらず、今日なお、フランスと中国は大気圏内核実験を中止せず、フランスは再び強行的実施を企てており、これを阻止する闘いは緊急の任務である。
すでに、オーストラリア、ニュージーランド量首相は一月二二日共同声明を発表し反対の立場を打ち出している。また選挙を直前にひかえるフランス国内では、この核実験を中心にした核実験反対闘争が高揚し、「非核武装、実験中止、部分核停批准」を掲げる社共連合は巨大な前進を克ちとった。このフランス自国内の事態は、核実験に対する国際的任務を自らのものとするフランス人民の反核世論の強固さを示しており、われわれはこのフランス人民と連帯し、またフランス人民の闘いを実例の力として誤れる日本共産党(代々木派)、民青や社会党一部指導者の偏向と闘う必要があろう。
原水禁運動にとって世界的核軍縮への努力と献身はその原則的課題の重要な一つである。
一九六四年日本原水禁運動が日本共産党(代々木派)の反米闘争路線のおしつけによるセクト主義、分裂主義を主要な原因として、組織上の混乱(原則の破壊)が持ち込まれた時、原水禁国民会議はかかる原則的課題と過去展開されてきた運動の教訓を正当に守り抜く部隊として発足した。しかし、 一九六九年を迎え、被爆二四周年世界大会基調から原則上の歪曲が自らの手によって始められた。最近では「中国の外交政策が情勢を根本的にくつがえす」とか、「中国の核提案がこれまでの核軍縮交渉の限界をうち破り本格的軍縮に接近する」などと繰り返し強調し、はては中国の核を事実上容認する立場すらとるまでに至っている。
今こそ、われわれはこれらの偏向に断固たる反撃を加え、原水禁国民会議が日本の核武装阻止、日米核安保の打破と一体のものとして核防条約、武力不行使、核使用の永久禁止、世界軍縮会議開催の支持、そして全面核停条約の締結などの核軍縮政策に積極的に取り組む必要がある。
一方、昨年一ニ月に発表された日ソ労組声明においては、「世界軍縮会議の招集、および武力不行使と核兵器使用永久禁止決議」を「一致して支持」することを明らかにじた。
これらの新たな情勢の転換は、われわれにますます有利な条件を与えている。核軍縮条約について原水禁運動が、ブルジョア・マスコミの後じんを拝するのではなく、今こそイニシアチブを発揮すべき時であるし、そのための条件は熟しつつある。
われわれは、八月世界大会にむけたそのための先進的なあらゆる努ガをさらに強化する必要があり、必ずや、やりとげねばならない。
部落差別に反対し、石川青年の即時釈放と解放教育の確立のために
狭山差別裁判取り消し要求の闘争は、反動的井波裁判長の十一月結審策動を粉砕し、一定の勝利をかちとった。この勝利は第一に昭和四十四年以来の部落解放同盟を中心にした百万入署名を始めとする広範な労働者・市民・学生を結集した大衆闘争である。第二に狭山事件の部落解放の原則的理論にもとづく分析による科学的政策、さらには検察側証拠のデッチあげを暴露する死斑についての上田鑑定をはじめどする「六つの鑑定書」と山上、松本弁護士を中心とする強化された弁護団による裁判闘争である。第三にこのような勝利を導く社会的力関係をみのがしてはならない。それは戦後の一連の反動的デッチあげ裁判にたいする勝利、国鉄労働者のスト権奪還闘争をはじめとする民主的権利の擁護と拡大をめざす闘いの高揚によるものである。
新しい裁判長には、寺尾正二裁判長がきまり、裁判の再開は四月末~六月になると予想されている。寺尾新裁判長は、地裁時代において、都公安条例違憲判決を行なうなど「民主的裁判官」 といわれ、また「六つの鑑定書」の提出により高裁段階での勝利の展望は明るくなっているが。楽観は危険である。それは第一に社会意識としての差別観念の根強い存在のもとで、寺尾裁判長をして弁護人の陳述に謙虚に耳を傾けさせるためには、井波を屈服させたあの力以上のものが要求されている。第二に、検察側は八海、松川、仁保、辰野、メーデー事件と汚名を重ねてきでおり、「狭山事件だけは敗けたくない」との政治的意図がはっきりと存在しているかちである。
このようなながで、「石川一雄さんを守る会」、「解同正常化」連絡会議、日本共産党(代々木派)、民青などの団体は、解同の井波を屈服させた大衆的闘いに対して、「運動の正しい発展に重大な困難をもたらしている」「『解同』朝田一派と中核派の癒着」というデマ宣伝に狂奔していることは厳しく糾弾されねばならない。かれらは、あたかも「守る会」 の運動によって闘争が勝利するかのように宣伝している。闘争の困難な局面で運動を放棄し、 一応の勝利をみた時点で、これまでの運動の成果を横取りしようとする彼らの卑劣な意図の横行を許してはならない。彼らは解放同盟を中心とする一五〇万人の署名と大衆的闘争をほとんど評価せず、「三〇万要請署名」という形で闘争を署名運動に媛小化している。三年余におよぶ狭山差別裁判反対闘争は、この事件の本質が部落差別を利用した権力によるデッチあげ事件であることを明らかにした。「寝た子を起すな」意識にのっかった「部落差別ということでは運動が広範にならない」という部落差別と狭山差別裁判をきりはなす「守る会」の連動は、理論的にも実践的にも破産している。
また、全国部落研、中核派はあたかも彼らが「六・七・八・九月公判闘争を全国動員で闘いぬき」、「十一月決戦」 の「戦争的態勢」をとったことが井波を粉砕したかのようにデマっている。さらには部落解放同盟幹部を「融和主義者」として幹部不信を煽り、井波が自ら敗北を認めた十月一二日付通告(「六つの鑑定書」のうち、上田鑑定を採用)に対しても、「ペテンだ」、解同幹部はこれに「屈服」したとデマ宣伝し「自らの破産を隠蔽している。
狭山闘争を勝利に導くものは、彼等の「十一月決戦」や「徹底糾弾」、「即時奪還」といった”空文旬”にあるのではなく、部落解放同盟の要求闘争と結びづいた「石川青年即時釈放」、「公正裁判要求」という正しい政策と大衆的な運動にあることは明らかである。
十一月結審を粉砕し、井波を退官させるという一定の勝利が克ちとられ、彼らの一揆主義的闘争の破産が明白になるや否や、彼らは「東京高裁寺尾=カクマル新体制粉砕」ということで、狭山闘争をカクマルとの「党」派闘争にすり替え、狭山闘争からの逃亡をはかろうとしている。権力に、「屈服」したのはまさに彼らなのである。
われわれは以上のような分裂主義的運動と闘うとともに部落解放同盟の正しい理論と政策をさらに学習、宣伝していがねばならない。
今後のわれわれの闘争は第一に、寺尾新裁判長をして現地調査を行なわせ、真実にもとづいた裁判を進めさせる圧倒的なカ関深を築きあげることが必要である。それには、二〇〇万人署名を早期達成することが重要である。わが同盟はこの闘争を全同盟のものとしなければならない。全同盟意思統一のもと「石川一雄支援、二〇〇万人署名達成〇〇大学実行委員会」(仮称)等の大衆的組織をつくり、クラス活動を基礎に運動をすすめること、「狭山差別裁判反対」の学者文化人声明の追求を通じ、教官に部落問題の意義を理解させ、解放教育の確立、法学部等の専門分野に部落問題を位置づけさせることを通じて、民主的諸団体、大学構成員とともに国民的課題として、この闘いを推し進めていかねばならない。
第二に、昨年一年間で関西の大学だけで、ーバ件にもおよぶ差別事件が発生し、各大学の差別的体質を暴露しており、さらには今日、日本共産党代々木派の悪質な差別キャンペーンの下で、われわれ はこれまで以上に差別事件を重視して闘っていかなければならない。社会意識としての差別観念(ブルジョアイデオロギー)との徹底したイデオロギー闘争、クラス活動を基礎としだ全学的な取組みを組織しなければならない。
第三に、解放教育の樹立、改革の闘いとこれらの諸闘争を結合し、大学の民主的改革の重要な分野として位置づけ闘い抜く必要がある。教育系大学・学科などにおいては、同実組運動を大衆的に推進しなければならない。
今日、日本共産党(代々木派)と民青は、部落解放同盟を「朝田一派」「暴力分子」としてありとあらゆる低級な誹誇中傷をあびせかけている。労働者・民主勢力に対しては、その敵としてデマリ、市民には、その遅れた差別意識にのっかって暴力団視させ、かつ逆差別的なとらえ方をあおって、部落解放運動を孤立させようと策動している。彼らのこの差別キャンペーンは部落解放運動や民主主義運動にはかりしれない害悪をもたらしている。また彼らは、大阪学大においては「同実組=民学同」として大衆団体とわが同盟を同一視し、同和推進校実習生運動に多大の損害を与えている。
大多数の受講生が要求した解放教育の専任教師獲得の運動にも不当な干渉を行なっている。
わが同盟は、日本共産党(代々木派)、民青のセクト主義と理論的誤りを大衆的に暴露し、日共のデマ宣伝を効果のないものとし、彼らの分裂策動を粉砕していかなければならない。
(5)全員加盟制自治会の再建・強化と目的意識的な闘争強化を
政府・独占の大学私物化攻撃の中で全員加盟制自治会の擁護・発展は緊急の課題である。
六八年ー六九年の全国学園闘争の中で破壊された自治会の再建闘争は、未だ十分な成功を達成していないし、多くの阻害物に直面している。田中の大学支配政策は、それを見こしたかのごとく、一層露骨な独裁管理体制の実現を企てている。ロックアウト、クラス制度の廃止、ゼミの縮小、過重なカリキュラムによる実質的な自治活動の圧殺など、一連の学生の団結の基盤・形態の破壊攻撃にさらに輪をかけるものとして筑波法案は存在している。
このような政府独占のあいつぐ攻撃にもかかわらず、全国学友の生活と権利を守り、中教審大学化に反対する不満と抵抗は圧殺されてはいない。
学生層の中に存在する巨大なエネルギーは、正しく組織されなくてはならない。昨秋の学費値上げ反対闘争、早大闘争は、われわれに重大な教訓と任務を提起している。われわれは、今日の日本学生運動の分裂と停滞を引き起こしている最大の原因であるところのセクト主義と内ゲバ、大学の暴力支配との闘争を大衆的に推進しなければならない。このような原則的な立場こそが、真に大衆的な全員加盟制自治会確立の基礎である。
クラス・サークルを基礎とした全学の統一した闘いは勝利のために不可欠の前提であり、下からの大衆的統一に支えられてのみ全員加盟制自治会を建設しうるであろう。全員加盟制自治会の再建・強化は、中教審答申の「自治会否定」あるいは破壊攻撃との闘争であり、学生の政治活動、自治活動の自由、結社の自由を擁護・拡大する闘争である。
政府・独占資本の大学と学生への攻撃が明確に学生自治会の破壊と、いっそうの分断化を狙って提出されている現在、学生の最も有効な統一の制度的保障としての自治会再建・強化の闘争は不可欠の任務であり、最も目的意識的に進められる必要があろう。
われわれは、自治会のもつ戦闘的意義を正しく宣伝し、自治会の再建・強化にむけた学友の意識を組織しなければならない。
この間、一方において存在した大衆運動主義的な傾向が、自治会のもつ戦闘的意義の宣伝と学友の意識の組織化において果たしてきたマイナス側面(自治会建設における日和見主義)を克服し、全員加盟制自治会の再建・強化を闘いとろう。