投稿】岸田売国政権下の新NISA狂騒曲と株高

【投稿】岸田売国政権下の新NISA狂騒曲と株高

                                            福井 杉本達也

1 新NISA狂騒曲と株高

2024年1月から始まった新NISA(少額投資非課税制度)が、注目を浴びている。生涯投資額が1800万円まで大幅に拡大された。この範囲内なら、何度でも売買できる。22年9月末、日本の個人金融資産2,005兆円のうち、54・8%が現預金で保有されている。新NISAは個別株にも投資できる「成長投資枠」と投資信託を毎月積み立てる「つみたて投資枠」があるが、中心的な商品は投信になる。投信を長期で保有する、あるいは長期間積み立てていくことが、新NISAの最もオーソドックスな活用法だ。つみたてNISAの口座は1人1金融機関までしか作れない。新NISAの「つみたて投資枠」の年間投資額120万円まで積み立てたとしても、生涯投資額1,800万円を満たすには15年間かかる(「成長投資枠」限度額は240万円で「つみたて」と合わせて年間限度額は360万円)。ゼロ金利の預金をもつ高齢者がNISA の説明を聞き。関連本も売れている。証券会社は老後には 3,000 万円必要だと煽る(参考:「日経プラス1」2024.2.24)。

「購入額が開始から1カ月間で1兆8,000億円を超えた。過半は投資信託が占め、米国など世界の株式に投資する商品に人気が集中している」「投信の購入額が合計で9,788億円と全体の53%を占めた。」「投信購入ランキング上位10本のうち9本が全世界株や米国株で運用するす指数連動型の商品」である(日経:2024.2.14)。

2月22日に日経平均3万9,000円を超えた 23日の日経新聞は、生成AIが半導体株を引き上げだなどと、株価が上がった理由を様々に書いているが、「根拠のない推測」が含まれている。(1)証券会社の自己売買(6346億円ともっとも大きい)、2)24年1月から続いている外人買いが3013億円。1月からの株価上昇は、インサイダー相場である。世界最大のファンド、米ブラック・ロックの CEO が日本に営業に来て、岸田首相は、迎賓館でもてなしている(吉田繁治「ビジネス知識源」2024.2.24)。首相は2022年5月に、英金融街シティーのギルドホールで、「NISAの抜本的拡充、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員して『資産所得倍増プラン』を進めていく」と宣言し、「今後5年間で3,400万口座、投資総額56兆円まで倍増することをぶち上げた」(『東洋経済』:2023.2.4)。さらに鈴木俊一金融相は「2,115兆円ある家計金融資産の半分は、資産価値の高まりにくい現預金。これを投資に振り向けて、成長と分配の好循環を実現したい。家計が資金を投資に向ける」と説明している(日経:2024.2.18)。徹底した売国内閣の“成果”である。

 

2 新NISAで円安がさらに進む

「年間買い付け額が約5・2兆円ずつ伸びるという前提に立っと、27年までに対ドルの円相場を最大6円ほど押し下げる効果がある」(日経:2024.2.3)と試算する。別の試算では、1月以降、日に450億円の投資信託が買われており、これを年額で推計すると10兆円の資金が海外に流れるのではといわれる。「22年以降に本格化した円安局面は、国内外の金利差と貿易赤字の拡大という2つの要因が主導してきた。金利差の拡大には歯止めがかかり、貿易赤字も縮小基調にある。…それでも円が下落しているため、新NISAが3つめの円安圧力」になっていると解説する(日経:同上)。

現在、1 ドルが150 円を超える超円安である。「巨大ファンドは、円安の日本の良質な大企業の支配権を狙っています」。「高い株価が暴落したとき、あるいは敗戦のとき底値で買収するのは、ロスチャイルドが150年使った方法です」「日本で最高のトヨタの時価総額が48 兆円、アップルは2.92 兆ドル(420 兆円!)、マイクロソフトは3.12 兆ドル(450 兆円)、現金が要らない『株式交換』なら買収は容易です。」「米国のIT 企業の、高い株価(時価総額1,000 兆円)では、世界の主要企業を買収し、世界を植民地にすることができます。」(吉田:「ビジネス知識源」2024.2.10)。

日本経済は成長していない。むしろ景気後退局面に入った。不況なのに株価が上昇するのは、労働分配が圧縮され、企業収益が拡大しているからである。日銀や年金資金(GPIF)が86兆円も株式に投入されている。2013年4月からのアベノミクス以来、日本では通貨発行額(マネタリーベース)を5倍に増加させ、余剰資金には金利をマイナスにするマイナス金利政策を採用した。大量の余った資金が株式市場に向かうこととなった。企業は労働者の賃上げをせず、株主配当を増加し、自社株買いを行い株価を吊り上げようとしてきた。労働者の犠牲の上に企業利益拡大し、その結果としての株価上昇である。食料物価は2013年からの円安で趨勢的に上昇している。円安により資源・エネルギー価格も上昇している。しかし、雇用者の実質賃金は物価上昇と円安で落ち込みが大きい。2023年12月の実質賃金は前年同月比で1.9%減少した。21ヵ月連続の減少であり、日本の労働者の実質賃金は減少し続けている(賃金統計:2024.2.6)。

3 新NISAを政府は「ドル株買い」と考えている

米国は「貯蓄から株投資」へという政治のスローガンをかかげ、1500 兆円のゼロ金利の預金がある日本を「ATM」と考えている。新NISAの資金は米国の株式市場に向かっている。

一方、反対に日本の株式市場では外人が、売買シェアで70%を占め、持ち株シェアでも30%を占める。日本の株式相場は、70%を売買をする外人ファンドに支配されている。日本の株式市場はインサイダーによる「八百長相場」=「賭場」になっている。自社株買いは、完全なインサイダー取引であり、日銀・GPIFもそれに近い。株高は。外人ファンドによるマイナス金利の安い円を借りて株を買うキャリートレードによる日本株の買い越しと、自社株買いによってもたらされている。米国のシャドーバンクは国際金融資本の牙城であり、投資信託のバークシャーハサウェイを率いるウォーレン・バフェット、インデックス・ファンドのブラック・ロックは、運用総資産は10 兆ドルといった巨大な国際金融資本などが株の売買を行っており、世界での企業の買収を狙っている。1997年のアジア通貨危機では韓国はIMFの支配下に入り、韓国巨大企業である現代自動車、LG 電子、サムスンなどが米ファンドの手に落ちた(「ビジネス知識源」2024.1.17)。

カテゴリー: 杉本執筆, 経済 パーマリンク

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