【投稿】中東危機:米・イスラエル、イラン核施設攻撃へのエスカレート

<<「2つの選択肢」>>
12/12、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ドナルド・トランプ政権移行チームでは、イランの核施設への攻撃が真剣に検討されている、と言う。たとえ、イランが核兵器を製造しようとしている証拠がなくても、イランの核エネルギーインフラを攻撃するという脅しである。

「核施設に対する軍事攻撃の選択肢は、現在、政権移行チームの一部メンバーによってより真剣に検討されている」とWSJは説明し、「イランの地域的立場の弱体化と、テヘランの核開発の急成長に関する最近の暴露により、デリケートな内部協議が加速している、と政権移行関係者は述べた。」と報じている

そしてイスラエルでも、同様の議論が行われている。 やはり12/12、「イスラエル国防軍は、中東におけるイラン代理グループの弱体化とシリアのアサド政権の劇的な崩壊を受けて、イランの核施設を攻撃する機会があると考えている」と

タイムズ・オブ・イスラエル紙は報じ、さらに「イスラエル空軍は、イランにおけるそのような潜在的攻撃に対する準備を強化し続けている」と強調している。

WSJによると、トランプ次期大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は最近、イラン攻撃の可能性について話し合い、「トランプ氏は最近の電話会談で、自分の任期中にイランの核開発が勃発することを懸念しているとネタニヤフ氏に伝え」、2つの選択肢を検討、1つ目は、中東における米軍のプレゼンスを強化しつつ、イスラエルに米国の支援なしにイランの核施設を破壊する能力を与えること。もう一つは、交渉の場でテヘランに譲歩を強いるために米国が脅しをかけることである。

トランプ氏にとって、それは「次期大統領は、新たな戦争、特に米軍を巻き込む可能性のある戦争を起こさない計画を望んでいる」というポーズの必要性からの要請である、と言えよう。

<<「イラン爆撃の機会到来」>>
米国の諜報機関CIAや、米国防総省、国際原子力機関IAEAはいずれも、イランが現段階において核兵器を開発してはいないと確認しているにもかかわらず、この危険な動きである。

イランが、これまですでにフォルドゥのウラン濃縮施設で IAEA による監視強化を認めることに同意したと報じられており、イランはごく最近、ウランを60%レベルを超えて濃縮しないと約束しており、いずれにせよ、イランは、いかなる時点でも核兵器の製造を試みておらず、それが変化したという証拠は存在していない、のである。

しかし、米・イスラエルにとって事態は好都合に急展開しだしたのである。シリアのバッシャール・アル・アサド前大統領の政権の急速な崩壊と追放によって、イラン攻撃に対するシリア側の防壁が崩れ、イランが脆弱な状況に陥りつつあると見なしうる事態の出現である。

12/10、イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラエルによるシリアのゴラン高原の占領は永久に続くと宣言したが、これは、「国際法の明白な違反」行為である。国連は、「占領されたゴラン高原にイスラエルの法律、管轄権、行政を押し付けるというイスラエルの決定が違法であることを再確認する安全保障理事会決議497の完全な実施に引き続き尽力する」との声明を発表している。

しかしイスラエルは、国連決議など無視し、何十年にもわたって、どんな手段を使ってでもイランとの戦争を始めよう、米軍をそこに引きずり込もうとする野望、イラン爆撃の機会が到来したと判断し、攻撃開始の検討、具体化に着手しだしたのである。

 すでにイスラエルは、シリアで大規模な爆撃作戦を開始し、わずか48時間で480回もの攻撃を実施している。イスラエル軍は、旧政権の軍事資産を壊滅させ、残された装備の約80%を破壊したと公言している。事実上、イスラエルがシリアの制空権を掌握し、イランへの空爆が容易になる可能性を認めている。

米政権、現ブッシュ政権、次期トランプ政権、ともにネタニヤフ政権と一体の行動をこれまでも取ってきたことからすれば、危険極まりない事態の進展である。第三次世界大戦、核戦争への危険である。そうした事態をストップさせる、孤立させる、平和の力の結集こそが試されている。
(生駒 敬)

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