【翻訳】中国は、U.S. Steel 買収商談が揺らぐことを望んでいる
The New York Times International Edition、December 24-25, 2024
Opinion : The New York Times publishes opinion from a wide range of perspectives in hope of promoting constructive debate about consequential questions.
“ China wants the U.S. Steel deal to falter” by David Burritt
[ the president and chief executive of U.S. Steel.]
この取引は米国製造業の将来にとって決定的な瞬間である。米国は正しい決断を下さねばならない。
U.S. Steelは一年前に日本の日本製鉄株式会社(以下”Nippon Steel”と称す) によって買収されることに同意した。
この取引は我々の会社の将来を保証し、我社に投資し、より競争力ある革新的かつ力強い鉄鋼業に進化させるものである。この取引は米国の全世界における地位を強化するであろう。
我々の最強の味方の一人(Nippon Steel)として提携を深めて我々に中国との騒がしい、行き届かない市場操作とよく戦うことを許し認めてくれる。
その時以来、President Baiden and President-elect Donald Trump は、この取引に反対であると言ってきている。U.S. Steelは、アメリカ人によって所有されるべきであると主張して。多くの多様なる記事は、Biden政権の最終決断は近々に下されるであろうと論じている。
U.S. Steel のような象徴的な会社の売却商談は、米国民の感情を深く揺り動かすことは理解出来るし、私もその感情を分かち合っている。
U.S. Steelは、この国を形作るのに貢献した一つの会社(”institution”)である。 我々は、歴史に誇りを持つと同様に、今日の現実に対峙しなければならない。U.S. Steelは、もはやAndrew Carnegieの時代であったような米国産業界のリーダーではない。 我々は今やこの国の三番目の鉄鋼メーカーに過ぎず、世界では24番目である。 我が社の雇用は、1943年がピークであって、生産は1953年がピークであった。そして、我社の主要な顧客は今では自動車産業や家電メーカーであって、かって支えてくれた軍事や社会/産業基盤の分野ではなくなっている。
この商談は、U.S. Steel にとって最良であり米国にとってもそうである。 実際、それはU.S. Steel を傷つけず健全に保つ唯一の選択肢である。 我々は、我社の労働者、地域の選ばれた職員や自治体からの支持を受けてきている。 今日、我々は利害関係あるすべての人々に当社の繁栄と米国の鉄鋼産業の将来について、共に働き、正しいことを行い、この取引を成立させるために共に働こうと呼びかけている。
Nippon Steel は、我社の労働者や設備に対して重要な約束を行ってきており、それらは拘束力があり実行可能である。 Nippon Steelは、U.S. Steelが米国で組織された会社として、社名は変えず、本社を Pittsburgh に置いたまま保持すると約束している。 さらに、U.S. Steelは、米国人の統治チームを持ち、その取締役会の大多数を占めるであろう。Nippon Steelは、U.S. Steelの union-represented facilities* に$3 billion(約4,500億円) 近くの投資を行い、4,000人以上の雇用をPennsylvaniaとIndiana 州で保証し、5,000人以上の雇用を作り出すであろう。
*union-represented facility : そこで働く労働者が組合に加入している設備/施設と
訳すべきか。 1/5 朝日新聞朝刊の記事によれば、U.S. Steel の工場では、高炉で働 く従業員は、組合に組織されていて、この買収商談に反対している全米鉄鋼労働組合(USW)に加入しているのに対して、電炉で働く従業員、労働者は、組合に組織されていない、としている。
Nippon Steel は約定によって、我々の最終製品、生産物が、原料の鉄鉱石や石炭が米国内で採鉱され、溶解され、作り続けられる。 U.S. Steel の米国にある生産設備を永久に止めない。また、スラブとしての半製品、粗鋼は輸入しない。 加えて、外国との取引において、U.S. Steel の利益になるように行動し、不公正な取引から我社を守る。 また、我社は、Nippon Steel の立場に配慮することなく自社の議決に従って行動できるであろう。これこそが、我社従業員と我が国が望むべき未来である。これがNippon Steel が提供する未来であり、それなくしては、実現できない将来である。
U.S. Steel は、我社の union-represented facilities に投資する資源/資金を持っていない。Nippon Steel との取引がなければ、我社は、以前に描いた方針に立ち戻るであろう。それは、組合化されていない設備に集中的に効率化投資をすることを含んでいる。
皮肉なことに、この買収商談を妨害することは、鉄鋼労働者組合のトップリーダーとBiden政権の両方が、救いたいと振舞っている設備や雇用の衰退へと導くであろうし、100年以上続いている鉄の町:Pittsburgh の終焉に近づけるであろう。さらにこの妨害は、米国鉄鋼産業から世界の舞台でよりよく競争する機会を奪うであろう。
我々は、計り知れない重圧の下で産業界を運営している — 我々の操業をより友好的風潮にする要望と中国鉄製品の容赦ない大量供給の重圧の下で。 これらの課題は、大胆かつ戦略的決断を必要とする。このことは、何故にU.S. Steel が革新的で低コスト、低カーボンの製造技術を追求し、より持続的で競争力ある将来への道を目指す理由である。 この道は、我々に魅力的目標を獲得させるものであり、我々の主な競争相手の Cleveland-Cliff が、昨年、我社の買収活動を始めた時に、我社の取締役会は、代案も含めて再審議して、いかなる取締役会も、そうしたであろうように、Nippon Steel の$ 14.9 billion (約2兆2,350億円)の買収提案を受け入れる決断をしたのである。
我々の中国の競争相手は、この買収商談を注意深くながめていて、むしろ失敗することを望んでいる。この商談で我社の従業員/労働者の仕事はより確実に保証され、顧客は、よりよいサービスを受けられ、さらに、世界マーケットにおける中国鉄鋼生産の優位は弱まるであろう。 もし、この取引が成就しなければ、U.S. Steel はさらに弱体化するであろう。しかし我々は、それを起こしてはならない。 Nippon Steel と U.S. Steel は、この取引を完成させて、米国の鉄鋼生産のより強化された将来を確保する準備ができている。
[完] (訳: 芋森)