【コラム】ひとりごと —「難病とは何か」—

【コラム】ひとりごと —「難病とは何か」—

 最近、私が難病サルコイドーシスに罹患して、難病について考えてみた。
先ず難病についての定義だが、一つは概念上の定義で、要約すれば、、1972年の難病対策要綱を参考に「1,原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病 2,経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」とある。そして、もう一つの定義として、「厚生労働省健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会において検討の上で決定される、特定疾患」がある。この特定疾患には「難治性疾患克服研究事業(臨床調査研究分野対象疾患)-130疾患」、「特定疾患治療研究事業対象疾患-56疾患(2009年10月1日現在)」に大別されるが、いずれにしても、これら指定された特定疾患の医療費の一部または全額が公費で受けることができる。
 難病を巡る問題で、よく言われるのは、一つは、特定疾患に指定されていなくても、原因不明、治療困難で実質、難病とも言えるものもあり、その場合、医療費の公費負担を受けられず、本人と家族の厳しい看護・介護を強いられる現実もあるということである。もう一つは、一旦、難病に罹患すると、難病一般をまとめた偏見もあって、直ちに就職問題の壁にあたり、生活困窮に陥るということである。
 一方、難病をテーマとした運動側主体は、特定非営利活動法人 大阪難病連があるが、そこではホームページ等で情報の提供と、毎年1回、大阪府行政交渉等も行っている。自分も公務員現役時代、行政側立場で交鈔に臨んだことがあるが、大阪難病連の「もっと難病に対する啓発に努めてほしい」という要望に何とか応えようと、限られた予算とスペースの中で、僅かであるが啓発記載をしたことを覚えている。ただ苦言を呈すれば、大阪難病連の大阪府行政交鈔は、多少、マンネリズムで「今年は、何を具体的に焦点化し、獲得するか」等について、もう少し、戦略化した方がよいと思われる。今は一市民の立場に立った者の浅意見として許し願いたい。なお私のサルコイドーシスについては、組織されていないようである。
 難病については、古くて新しい問題だと思うが、障害者問題が注目されてきている中で、同類的に多少、関心の高まりがないわけでもない。ただ難病は難病として正確に理解されなくてはいけないし、医学的研究は当然のこと、難病だからこそある社会的問題にも直視し、具体的に対策を講じなければならない。難病は、あまりクローズアップされてこなかった問題だが、原因不明だけに誰でもが難病に罹患する可能性があるとの認識のもと、様々な問題意識の一つに加えていただければありがたい。(民守 正義) 

 【出典】 アサート No.444 2014年11月22日

カテゴリー: 医療・福祉, 雑感 パーマリンク