【翻訳】 朝日をめぐるもめごとへの誇張は日本を辱しめる

【翻訳】 朝日をめぐるもめごとへの誇張は日本を辱しめる
          Hyperbole over Asahi affair shames Japan :
          [ 朝日をめぐるもめごとへの誇張は日本を辱しめる]
           by Mr. Jeff Kingston, Temple University Japan,
              Director of Asian Studies
               (Japan Times 記事 on Sept. 28, 2014)

Journalistic wrong-doing in several articles として
1. 任天堂社長とinterviewしたとの記事
2. 福島原発事故での吉田所長の作業員への指示
3. 慰安婦記事
4. Regular columnist池上彰氏の掲載一時停止

 朝日新聞(以下「朝日」)の編集者たちは倫理上の責任と信頼回復に信じられないくらい愚鈍さを示した。
 The right-wing mediaは朝日を叩いた。
 保守政治家、反動主義者、権力者、堕落した人々 – ずっと”Liberal”な朝日の的を得た正確な記事に苦しんできた – は喜んだ。ごく自然に”Team Abe is manipulating the Asahi affair for political advantages”. このことは “more about politics than journalism, part of large culture war.. 朝日は、ずっとこれら保守反動層に対して”the right(正しい)main media” だった。
 慰安婦については、朝日は吉田精二氏の証言を信頼していたが、この証言が事実でなかったとしても、慰安婦問題は消すことができない。証拠は他にたくさんある(例えば”AWF digital Library [ 国会図書館監修] にても見られる。)。反動主義者は、朝日の失態を利用して慰安婦問題がなかったこと(“to wipe the slate clean”)にしたいと欲している。このような言い逃れ(“quibble”) はかえって日本の威厳を損なっている。 安倍歴史白紙化内閣 (“Abe’s history-whitewashing Cabinet”) には15名の日本会議(a reactionary political group)会員が入っている。
 ドイツはその恥ずべき歴史(“vile history”)を正視し向き合ってきて、威信を取り戻してきている。他方、日本は未だ戦時の物語の正当性を立証することに執着している。このことは、日本の名声 (“Japan’s brand”)を汚すと共に和解を妨げている。
 もう一つの悪評は、3/11の福島原発事故での吉田昌郎所長の証言に関するものである。
 サンケイ新聞は、朝日は吉田所長の証言(作業員の退去についての)を歪めているとして非難した。しかし両紙は自紙の指針を彼の言葉に読み込んだだけのものと思われる。
 吉田所長は言った。「10Km離れた第二原発に危険を察知して逃れた作業員達は、所長の当初の指令を無視して、より安全なところ(第二原発)に避難したのは、正しかった。」
 それ故に、彼は、朝日が暗示したような、作業員達は意図的に彼の指令をうけいれなかった、とは感じなかった。しかしハッキリしていることは、作業員達は彼の指令に従わなかった。恐らく作業員達は大混乱の中で、実際にその指示を聞かなかったかまたは理解しなかった。彼はまた不平を言っている。東電本社が避難退去に関するかれの意見を誤解した上に、現場実情を官邸にはっきりと伝えなかったと。
核の安全について、所長は、押し寄せる災難に対処することにかかりっきりで、危機の中で、結果として、指示は歪曲されて (“garble”) 伝えられたことは明白である。
以下の事は、未だはっきりしていず確定されていない、即ち、 [所長の指示が必ずしも効果的に伝えられなかったし理解されなかった。また、正しく使命を果たすべき作業員達は、危機の中にあって、緊急に必要とされていたとしても、間に合わず用をなさなかった。]
 心配なことに、吉田所長は、いくつかの緊急安全装置の適切な使い方を知らなかったことを認めている。原子力規制委員会の新安全基準は、今回のような重大事故や、事故の際の30Km避難地域から逃れてくる住民への不適切な対応計画には言及していない。原子力産業は、危険が消え去っていくことに望みを託す愚かさを学んでいないし、未だ安全文化を欠いたままである。
 朝日のお蔭で吉田証言が公開された。そしてずっと無視され続けていた重大危機の出来事について多くを学ぶことができた。
 政治がかった中傷のまっただ中で、このことを忘れてはならない。即ち職権乱用、違法行為の暴露と透明性の推進によって、朝日がどれくらい日本における民主主義の発展に寄与してきたことか。また朝日の戦争への適切な対処によっていかに日本の名声を高めたことか。
 安倍首相は、気が進まない国民を「右」側(反対多数の中での原発再稼働、武器輸出、集団的自衛権そして秘密保護法)に引っぱっている中で、日本はかってないほど朝日を必要としている。その土台を取り戻し、かつ彼の詭弁、ごまかし (“chicaneries”) を国民の眼にさらすために。(訳:芋森) 

 【出典】 アサート No.444 2014年11月22日

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