【コラム】ひとりごと—消費税増税と原発再稼動—
○国民の半数以上が反対しているにも関わらず、重大な2つの懸案事項が、強行されようとしている。一つは消費税増税であり、一つは関西電力大飯原発の再稼動である。○そして、それを進めているのが、政権与党の民主党主導の形をとりつつ、自民・公明が協力・追随する、というパターンである。○消費税10%への増税案は、手法はどうあれ、自民党の選挙公約であった。野党であるにも関わらず、民主党の混迷下にあっても、支持率が一向に好転しない谷垣自民党。このままでは、秋の総裁選挙では、党首交代が必至と言われ、総選挙に追い込むことが唯一の作戦であった。しかし、「維新の会・国政進出」の影におびえ、「民主党マニュフェスト撤回」を条件に、基本姿勢を消費税増税法案成立に、どこの時点か不明だが、転換したのだろう。明確な説明は全くされていない。○マスコミも、消費税増税反対の論陣を張る新聞は一紙もなく、14日毎日新聞主張も「大詰め修正協議–党首会談で決着を図れ」とは、消費税増税賛成、ということか。○一方、消費税問題のために、民主党は政権交代選挙で掲げたマニュフェストの主要政策を「撤回」した。もちろん、消費税増税そのものが、マニュフェスト違反であるが。○15日の民主党経過報告集会では、修正協議報告に異論が続出、「執行部一任」の取り付けができず、野田首相帰国後の20日全議員総会に持ち越されたという。○他方、労働者の団体である連合は、消費税問題では、口をつぐんでいる。○ホームページで消費税問題への見解すら出ていない。当然、大衆行動の提起もない。(「原発再稼動」問題も同様であるが。)大企業労働者のための組織であって、国民のための組織ではないからなのか。○修正協議が整えば、衆議院での採決となるが、その日程は見えていない。21日の可能性が高い。○民自公の3党合意ともなれば、数の上では衆議院で圧倒的多数となる。しかし、民主党内から相当の離反が生まれる可能性が高い。小沢グループしかり、増税反対派が100を越えるという話を聞いている。それでも、3党の増税支持派では、3分の2を越えるとも言われ、衆議院での可決は動かない状況ではある。○3党合意の後、2ヶ月程度の会期延長が行われて、舞台は参議院に移るわけであり、増税反対の運動を参議院での否決へと結実させる必要があるだろう。○同様に、国民の大半が望んでいない大飯原発再稼動問題である。安全対策など、全くできていないまま、野田政権が強行しようとしている。○関西広域連合の首長連中も、関電の「計画停電」恫喝に屈した。橋下市長も散々暴れた上で、旗を降ろした。○国民は、原発なしでも節電しようという意識になっているにも関わらず。○民主党内の、再稼動慎重派が13日に国会内で「再稼動の判断再考を求める緊急集会を国会内で開催した。○14日の毎日新聞は、再稼動の再考を求める署名の呼びかけ人(66人–衆47参19)と、署名した民主党議員(53人–衆36参17)合計119人の議員名を掲載している。○中々丁寧な報道だが、その目的は他にあったようだ。14日以後、署名等した国会議員には、地元の電力系労組から、署名撤回の「申し入れ」があり、対応によっては、今後の選挙応援はしない旨の「恫喝」が入っているとのこと。○なんと、きたない奴らだろう。労組も「原子力ムラ」の住民であれば当然のことか。○大飯再稼動の報道では、地元大飯町の住民が「再稼動」を望んでいる、原発が動かないと雇用が守れない云々の新聞記事が目立っている。それなら、全原発を再稼動することもできる論理じゃないのか。○過疎地に金を落として原発依存症にしてきた構造は、何も変わっていない。○このままでは、国民の賛成していない重要政策が、マスコミも一体になって強行される事態。それも、3党が国会で組めば、何でもできるという状況を許していいのか。まさに倒幕運動を巻き起こす状況あろう。○今日も仕事で、民主党国会議員の挨拶を聞いたが、消費税に触れることもできず、予算確保に全力を尽くします、とは情けない限りである。○この異常事態を異常と思えない感覚、やはり分裂でもして、やり直した方が良さそうである。(2012-06-17佐野)
【出典】 アサート No.415 2012年6月23日